2018年現在、約10種類の植物を水耕栽培で収穫、または育てている最中です。今使っている水耕栽培装置は、プラカップの底を液体肥料に浸けて給水する「底面給水式」のものです。
しかし育てる植物の種類が多くなるに従って、底面給水式では発芽しにくい種があることが分かってきました。この方式では、培地であるバーミキュライトに常に多くの水分が存在しています。植物の種類によっては、発芽の時に水分が過剰にあると、正常な発根・発芽ができないことがありました。
また落花生のような大きい種は、それに比例して出てくる根も太いです。今までの装置では、マイクロファイバー布巾や不織布でできたお茶パックを使って、バーミキュライトと液肥を隔てていました。水菜のような細い根の場合は問題ありませんが、太い根の場合、仕切りの目が細かいと根が通りにくいのではないか?と心配しています。
そこで以前作成した装置を元にして、どのような植物の種でも手間をかけずに発芽・成長させることがとできる水耕栽培装置を作ってみました。
先程説明をした底面給水式の断面図はこのようになっています。植物の根は下へ下へと育ち、液肥層に行きます。この方式ですと、常にバーミキュライトが湿っているので、植物によっては発芽に影響がありました。
次に、今回目指す水耕栽培装置のイメージ画像です。この装置では種蒔き~発芽の間は水面とプラカップは接触しません。そのかわり給水布を使って培地であるバーミキュライト層に水分を運びます。こうすることで適度な水分量に保つことができ、どのような植物の種でもちゃんと発芽・成長できるようになるはずです。発芽した後は液面を上げることで、底面給水式のような使い方もできます。では実際に装置を作っていきましょう。
まずはプラカップの底を切り取ります。その際、写真のように中央部分は切り取らずに残しておきます。
穴の開いたままの状態でバーミキュライトを入れると全て通過してしまうので、カップの底に土留めを入れます。今回は細い根だけではなく、太い根にも対応できるように、目の荒いスポンジを用意しました。
スポンジをカップの底と同じ大きさに切り、さらに中心部に切れ込みを入れます。そこに合成繊維でできた給水布、今回は「マイクロファイバー布巾」を差し込んでカップにセットします。
そうしたらバーミキュライトをカップに流し込み、蓋に穴を開けた容器に差し込めば完成です。プラカップやマイクロファイバー布巾などの材料は、全て100円ショップで購入できます。
横から見ると、このようになっています。発芽するまでは液肥を常にカップの底面以下にしておきます。この場合でも給水布がバーミキュライト層に水分を与えてくれます。
なお、真夏に育てると液肥に日光が当たり、液温がかなり高くなってしまいます。私はその対策として、装置の周りにアルミ蒸着保温シートを巻いています。こうすることで影ができ、液温上昇が抑えられます。取り付ける時はキッチリ巻かずに、ゆるく蒔きましょう。そうしないと液肥を補充する時に蓋が開きづらくなってしまいます。
水耕栽培装置で実際に野菜を育ててみると、ここをこうした方が良いのではないか?ああ、前の方が良かった…など簡単な構造の割には試行錯誤が必要になります。私の目指す水耕栽培装置は、より簡単に作成でき、どんな野菜でも育てられるものです。今はこの装置で枝豆を育てていますが、他にも野菜を作ってみて、さらにより良い装置になるように改造していこうと思います。