趣味として水耕栽培をしていますが、今少し困っていることがあります。それは「種まき」のことです。春になり気温が高くなってくると、野菜の種を蒔く季節になります。発芽したての芽は弱々しく、根が未熟ですので乾燥に弱いですし、曇空が続いてしまうと光が足りなくて徒長してしまいます。毎日暇ならば数時間ごとに見回りに行けるのですが、仕事があるので現実的には無理です。
働きながら、健康的でしっかりとした苗を作れる方法はないでしょうか。ふと思うと、家には使っていないLEDのデスクライトがあります。野菜工場では光源にLEDを使って野菜を育てているので、もしかしたらこのデスクライトでも同じことができるかもしれません。そこでLEDデスクライトを使って苗ができるか実験してみました。
家で余っていたデスクライトは「GENTOS LEDデスクライト ルミリオン S56」です。読書用に買いましたが、光の照射範囲が思っていたよりも狭くてお蔵入りしていたものです。スペックは以下のようになっています。
●明るさ:160ルーメン
●使用光源:白色LED 3W×1個
●光源タイプ:集光レンズ
スイッチを入れて試しに種に当ててみましたが、種に当てるには照射範囲が広すぎました。何か光を反射させるものがあれば解決しそうです。押し入れを見ると、以前水耕栽培装置を作った時に余ったアルミ蒸着の断熱シートがありました。これを筒型にして、その中に種を入れてスイッチを入れると、光を反射し十分すぎる光量になりました。
無事に栽培装置ができましたので、実際にこれを使って苗作りをしたいと思います。
2018年4月10日 21:00(0時間経過)
実験には水菜の種を使い、この種を2.5cm角に切った食器用スポンジに載せました。同じものをもう1つ用意し、LEDライトの光を当てた場合と、比較用として室内にある机の上に置いた場合(以降「室内置き」と表記)とで成長に違いが出るのか観察します。ライトの光は朝5:00〜夜19:00の間当てました。なお、晴れている室内の明るさは本を読むなど生活に支障がないくらいの光量ですが、曇の時は少し薄暗いです。
液体肥料には微粉ハイポネックスを水道水で1000倍に希釈したものを使用しました。また液肥は常にスポンジの上面と同じくらいになるように、継ぎ足ながら量を管理しました。
2018年4月12日 5:00(32時間経過)
種を蒔いてから一日ほどすると、数個の種から根が出てきました。
2018年4月12日 21:00(48時間経過=2日目)
同日、会社から帰宅すると全ての種が発根していました。この状態になると半日もたたないくらいで双葉が開くので、片方は翌朝からLEDライトの光を当てて、もう片方は室内の机の上に置いておきます。
2018年4月13日 21:00(72時間経過=3日目)
種を蒔いてから丸3日たちました。左がLEDライトの光を当てている水菜、右が部屋置きの水菜です。
写真を見て分かる通り、この時点ではどちらも目立った違いはありません。
2018年4月14日 6:00(81時間経過=4日目朝)
4日目の朝になると違いが出てきました。
ライトを当てている方は丈が葉の大きさと同じくらいです。
しかし部屋に置いている方は茎が伸びています。ライトを当てている方と比べると、約3倍くらい高さになっているでしょうか。部屋置きは光の不足で、徒長しかけているのではないかと思います。
2018年4月14日 21:00(96時間経過=4日目)
時間がたつにつれて、成長の違いがはっきりとしてきました。
光を照射している方は葉の色が濃くなり、茎も緑色になっています。
部屋の中に置いている水菜はやはり光が足りないのか、茎がかなり長くなってしまっています。また窓から入る日光を求めて、そちらの方に曲がっています。
2018年4月15日 21:00(5日目)
種を蒔いてから5日がたちました。LEDの光を当てている水菜は背丈が低く、がっしりとしている印象です。一方で部屋置き水菜は葉の大きさは変わりませんが、茎がニョロニョロと伸びています。
2018年4月16日 21:00(6日目)
今までのように写真を取ると、徒長している水菜の方にはピントが合わなくなってきました。成長度合いは昨日とあまりは変わりません。しかし根を見ると、光を当てている方は多くの分岐がありますが、当てていない方はまだ1本の状態です。
背丈は違いますが、どちらも双葉の間に本葉が見えています。もう数日で開くでしょう。
2018年4月17日 21:00(7日目)
種を蒔いてから一週間が経過しました。写真では分かりにくいですが、光を当てている水菜の方が明らかに葉の色が濃いです。順調に光合成ができているようです。
室内で育てている株の1つが、とうとう重さに耐えられず傾いてきてしまいました。
2018年4月18日21:00(8日目)
昨日倒れそうだった苗が、今日見たら完全に倒れていました。残りの3本は何とか頑張って立っている感じです。
本葉の成長ですが、光を当てている方は遠目で見ても分かるくらいになっています。部屋で育てている方は、まだ爪楊枝の先ほどしかありません。
あと大きな違いと言えば、根の本数です。こちらも光を当てているものは分岐を繰り返しし、何本も出ています。しかし当てていないものは1本しか出ていません。
今回、根の写真を撮った時に気付いたことがあります。初日の写真を見れば分かりますが、もともとのスポンジの色はピンク色でした。そのスポンジに一週間光を当て続けた結果、退色して白いスポンジになってしまいました。どうもこのスポンジの赤色は光に弱いようですね。
2018年4月20日21:00(10日目)
2つの条件で育ててみると、本当に同じ時に種を蒔いたのか疑うほど、違いが出てきています。
室内に置いている水菜の本葉は2日前と比べて、ほぼ成長していません。
LEDの光を当てている方は、本葉がここまで成長しています。水菜独特のギザギザした葉の形が見て取れると思います。
根も大分増えてきました。液肥のなくなるスピードもやはりこちらが早いです。
2018年4月21日 21:00(14日目)
とうとう部屋置きの水菜が傾いてきてしまいました。明日の朝には完全に倒れているかもしれません。
2018年4月22日 12:00(13日目)
もう水耕栽培装置に移植できるほど成長したので、今日を最終日したいと思います。
光を当てている水菜は成長が著しく、葉が容器からはみ出してしまっています。根もどんどん増え、これならば植え替えにも耐えられそうです。
一方で部屋置き水菜は、7日目以降ほぼ成長しませんでした。液肥の栄養だけではダメで、光がないと一定の大きさで止まってしまうようです。
まとめ
・3WのLEDデスクライトで水菜の苗作りに成功した
・約2週間で水耕栽培装置に植え替え可能な大きさになった
・光が不十分だと一定の大きさで成長が止まる
苗を作るのにやったことと言えば、液肥の補充を数回とライトのON-OFFくらいです。これならば仕事で昼間居なくても、水や日光不足に悩まされることはなくなりますね。育った苗は思っていたよりもしっかりとしていて、自分でも驚きました。また比較として室内に置いたものは成長が芳しくなく、やはり光が重要だと再認識する結果となりました。
この実験が終わって更に確かめてみたいことがたくさん出てきました。例えば違う植物では同じ結果になるのかや、光を8時間当てた場合と24時間当てた場合の成長の違いなど…新しい知見が得られたら、またまとめて記事にしたいと思います。
読書用で買ったデスクライトを水耕栽培に使うなんて思ってもいませんでした。このライトは首が自由に動かせるので、勝手が良かったです。もう少し太陽の代わりに働いてもらいたいと思います。
私は液体肥料として、微粉ハイポネックスを水に溶かして使用しています。間違えやすいのですが、水耕栽培に使うのは「微粉」ハイポネックスです。ボトルに入った青い液体のハイポネックスは適していないので気を付けましょう。