先日、LEDテープを利用した水耕栽培装置を作りました(LEDテープを使って水耕栽培装置を自作しました。見た目よりも価格重視で組み立てます)。照度は約5000lxですので、トマトのような太陽の光を求める野菜の栽培は難しそうです。そこで比較的弱い光でも育つレタス系を使ってこの装置、つまりLEDテープの光で育てられるか試してみようと思います。
レタスには結球・半結球・非結球型があります。どうも私にとって結球する種類は相性が悪く、成功率が高くありません。そこで今回は簡単そうな結球しないレタス(リーフレタス)を育てていきます。品種は『ちりめんしちゃ』と呼ばれるものを買ってきました。これを選んだ理由は、種袋の写真がとても美味しそうに見えたからです。それでは早速種蒔きをしましょう。
- ちりめんしちゃの種
- 栽培装置
- 液体肥料
- 2020年1月13日 種蒔き
- 2020年1月15日 発根
- 2020年1月16日 ライト照射
- 2020年1月19日 発芽(発芽から0日目)
- 2020年1月25日 本葉の成長(発芽から6日目)
- 2020年1月29日 2回目の間引き(発芽から10日目)
- 2020年1月30日 継ぎ手に移し替え(発芽から11日目)
- 2020年2月5日 移植(発芽から17日目)
- 2020年2月8日 装置の調整(発芽から20日目)
- 2020年2月11日 早い成長スピード(発芽から23日目)
- 2020年2月15日 茂る葉(発芽から26日目)
- 2020年2月16日 温度測定(発芽から27日目)
- 2020年2月22日 徒長気味(発芽から33日目)
- 2020年2月29日 収穫(発芽から40日目)
- まとめ
ちりめんしちゃの種
「ちりめんしちゃ」とは非結球型の縮れ葉レタスです。スーパーでよく見るレタス『グレートレーク』の種の色は白だったのですが、こちらは茶色をしています。
栽培装置
栽培装置はこの記事《LEDテープを使って水耕栽培装置を自作しました。見た目よりも価格重視で組み立てます》のものを使用します。初めて作った装置なので、今回の栽培中に何か問題が発生した場合は、その都度改修していこうと思っています。
液体肥料
液体肥料には、微粉ハイポネックスを水道水で1000倍に希釈したものを使用します。
2020年1月13日 種蒔き
食器洗い用スポンジを数cm角に切り、液肥を十分に吸わせました。この上に種をそれぞれ4個ずつ置いて、保湿用のトイレットペーパーを掛けました。
レタスの発芽は15~20℃くらいが最適です。部屋はこのくらいの温度なので大丈夫だと思いますが、昼と夜の温度変化を少なくするために、発泡スチロールの箱に入れて発根するのを待ちます。
2020年1月15日 発根
保温したおかげか、2日で根が出てきました。
2020年1月16日 ライト照射
もう少しで葉が開きそうなため、本日より光を当てていきます。光は12時間ごとに照射、時刻としては朝8時にライトがONになり、夜8時でOFFとなるように設定しました。
2020年1月19日 発芽(発芽から0日目)
無事に双葉が開きましたので、本日を発芽0日目として記録をつけていきます。
光量が十分なのか、徒長はしていないようです。双葉もしっかりとした緑色ですので、今のところは順調そうですね。
2020年1月25日 本葉の成長(発芽から6日目)
ライト部分から割と多くの熱が出るらしく、液肥の蒸発が早いです。ですので時々水道水を足して、水位を保っています。
念のため、装置内の温度がどのくらいなのか測定してみました。室内気温16.3℃に対して、装置内は24.3℃です。やはりLEDを光らせる時に出る熱が影響しているようですね。少し高めな気がしますので、空気の循環のために隙間を開けておこうと思います。
本葉が大きくなってきたので、だんだんとスポンジの上が狭くなってきました。そこで1回目の間引きを行います。成長の遅いものや葉に欠損があるものを、ハサミで切り取っていきます。
1つのスポンジに対して2株残しました。これで再び育てていきます。
根は培地から突き出てきており、その数は10本ほでです。隣同士で絡まないか、ちょっと心配です。
2020年1月29日 2回目の間引き(発芽から10日目)
本葉がさらに大きくなってきたので、最後の間引きを行いました。1枚目の写真が間引き前で、2枚目が後になります。どれも同じくらいの成長度合いのため迷いましたが、葉が大きい方を残しました。
今現在、3枚目の本葉が見えているところです。もう栽培装置に移植しても大丈夫な頃合いかもしれません。移植は明日するとして、本日中に装置を組み立てておきます。用意する材料は、
- 容量3Lの容器
- 水道管の継ぎ手(TS-FS20)
- 圧力分散板(プラスチック板をドーナツ状の切り出したもの)
- アルミ蒸着保温シート
- 発泡スチロール箱
です。
まず容器の蓋と保温シートに、継ぎ手が通るくらいの穴を開けます。
そして各材料を写真のように取り付けます。
これを発泡スチロールの箱に入れて準備は完了です。保温シートを大きく切り出したので、LEDの光を反射してより明るくなると思います。
あとはタッパーで育てている苗を水道管の継ぎ手に差し込み、蓋に取り付ければOKです。この作業は明日行います。
2020年1月30日 継ぎ手に移し替え(発芽から11日目)
今日の作業は、成長した苗を引き上げて栽培装置にセットするところまでを行います。
やはり危惧していた通り、それぞれの株の根が隣のスポンジまで到達しており、取れそうで取れない状態となっています。仕方がないので、これらの根をハサミで切断しました。少々乱暴ですが、この位では大きなダメージとはならないでしょう。
その後、苗を折らないように継ぎ手に差し込み、蓋にセットしました。そして容器に液肥を入れていきます。しかしここで想定外のことが起きました。それはスポンジの底面が液面に届いていないっぽいのです。
何とかなるかな?と思い、容器の縁ギリギリまで液肥を入れましたが、継ぎ手の中が見えないので今いち状況が分かりません。多分長く伸びた根は浸っていると思いますが、それだけでは水分を吸うには足りないでしょう。
そこで予定を変更して、根が伸びてくるまでは小さな容器で育てることにしました。この状態で成長したら、改めて栽培装置に取り付けます。次回育てる時は、もう少し簡単に定植できるようなシステムにしたいと思います。
2020年2月5日 移植(発芽から17日目)
継ぎ手に移し替えた株は、驚異的なスピードで育っています。発芽してから約2週間でこんなに大きくなるとは予想外です。
根も伸びてきており、これならば栽培装置にセットしても液肥に届きそうです。
早速、装置を組み立てて、苗を差し込みました。
今回の栽培では液肥のエアレーションを行います。液肥を撹拌することで、成長が早くなる効果を期待しています。使うエアーポンプは「水心 SSPP-3S」です。スペックは、
・無負荷時の最大吐出量 2,500mL/分
・消費電力2.8W/50Hz(2.3W/60Hz)
になります。この機種には「吐出量調節機能」がありますが、今回は最大となるように設定しました。
本当は消費電力がもっと少ないエアーポンプにしたかったのですが、とりあえずは家にあったこの商品を使っていきます。
空気を送るとこんな感じです。このポンプは作動音が小さく、モーターよりも水泡が割れるブクブク(パチパチ)音の方がうるさいです。栽培装置は私の寝室に置いているので、もし夜に動かした場合、この音で寝付きが悪くなりそうです。そこで電源をコンセントタイマーから取ることにし、光を照射している昼の間のみエアレーションすることにしました。
あとは上にライト部を置けば完成です。しかし何となく分かっていたのですが、自作したライトよりも発泡スチロール箱の方が大きく、このままでは取り付けることができません。そこで物置きにあった適当な木の棒と養生テープを使って固定しました。ちょっと見た目が悪いので、週末になったら色々と調整しようと思います。
箱の中はこんな感じです。「ちりめん」しちゃの通り、葉が徐々にうねってきています。すでに美味しそうですね。
2020年2月8日 装置の調整(発芽から20日目)
仮で使っていた木の棒を外して、良いサイズのものに付け替えました。これで少しは見た目が良くなった気がします。
また大きな隙間から光が漏れているので、アルミホイルを掛けておきました。
前回から3日間しかたっていないのに、もうこの大きさです。調べたところによると、リーフレタスは環境が良ければ定植から1ヶ月で収穫できるそうです。確かにこの成長スピードなら納得できます。
2020年2月11日 早い成長スピード(発芽から23日目)
光をきっちり12時間当てているせいか、2~3日に1枚の割合で葉が出てきています。
この葉は2日前まで指先ほどの大きさだったものです。それが今や数倍の面積となっています。指で軽く摘むと、かなり薄い感じがします。もう少し時間がたてば肉厚になるのかもしれませんね。
2020年2月15日 茂る葉(発芽から26日目)
上から覗くと、見える銀色部分が少なくなってきました。あと1週間もたてば、全面が緑色になりそうな勢いです。
3日前に撮影した葉を再び撮影してみました。指全体が隠れるくらいまで大きくなっており、成長速度の速さが分かりますね。
現在、移植から10日目ですので、収穫まであと20日。どこまで葉が茂るのか楽しみです。
2020年2月16日 温度測定(発芽から27日目)
この栽培装置は光源としてLEDを使っています。連続して点灯していると触れないほどではないですが、それなりに熱くなります。そこで自作の温度計を使って、装置内部の気温がどのように変化するのか測定しました。(参考記事:IoTで水耕栽培 第7回目(最終回)。栽培装置にセンサーを入れて26時間のデータ取りを行います)
1枚目の写真に写っているのが測定器本体で、2枚目がセンサーとなります。このようにセンサーを宙に浮かせて10分ごとにデータを取っていきます。
※クリックで拡大
測定結果がこのグラフです。温度を赤線で、参考として湿度を青線で示しています。ライトが消えている時の気温は16℃くらい、点灯すると急激に上がって22℃となることが分かりました。高くも低くもなく、レタスの成長に適した温度であることが分かりました。成長の速さには、この安定した気温も関係していそうです。
2020年2月22日 徒長気味(発芽から33日目)
とうとう葉先がLEDに触れるくらいまで成長しました。箱の中はほぼ埋まっており、あとは四隅にスペースを残すのみです。
一部の葉は、ライトと容器の隙間から出てきてしまっています。数日前は1枚だけでしたが、日を追うごとに2枚、3枚と増えてきています。もちろんその都度、指でつまんで中に戻して上げています。
縁のフリルもかなりはっきりしてきました。このくらいの大きさが一番カールが分かりやすいです。
少し気になるのは徒長気味なことです。葉が密集しているせいで、光を求めて上へ上へと行こうとしているのでしょう。株間を空けるために栽培装置を大きくすると場所を取るし、株数を減らすと収穫量は少なくなるし、バランスが難しいところです。
2020年2月29日 収穫(発芽から40日目)
とうとう容器が緑一色で埋まりました。行き先がない葉は、あっちこっちに向かって伸びています。
初期に出てきた葉はこのくらいの大きさになりました。かなり薄く、手荒に扱うと簡単に切れてしまいます。成長すれば厚みが増すかと思いましたが、特にそのようなことはありませんでした。
茎はさらに徒長しています。屋外だったら確実に寝そべっているでしょう。しかし今回は室内栽培なので風は全くありません。それに加え、葉を通じて株同士が支え合っている状態ですから倒れずに育っています。
丈としては15cmくらいで、容器から少しはみ出る感じになります。実はこの高さだと、光源のLEDテープと軽く接触してしまっているのです。
その結果、触れているところは高温になり葉焼けが起ってしまいました。温度が高いと言っても40℃くらいなので、葉全体ではなく、触れている部分のみが乾いて枯れている状態です。
また問題点として、枯れた葉がLEDテープの防水シリコンに張り付いて発光部を塞いでしまうことがあるのです。次の栽培装置では、LEDテープのすぐ下にネットを設置して、葉と光源が触れないようにする予定です。
12時間連続点灯を40回(40日)繰り返したLEDテープは最終的に、
色:青白い光→黄色
発光強度:強→中
に変わりました。この変化には20日目であたりで気付き、日を追うごとに大きくなっていきました。
この原因は防水シリコン樹脂の黄変です。上が使用したLED テープ、下が新品になります。写真では分かりにくいですが、新品はシリコン樹脂が透明です。一方で40日後は黄色く変化しています。
今回の変色は、格安のLEDテープを使ったせいかもしれません。安かろう悪かろうの商品でも、せめて栽培期間中は最初の光を維持してほしかったです。もしかしたらリーフレタスの徒長は、LEDテープの劣化による光不足や色調変化が原因だったかもしれません。
何はともあれ、収穫をしてしまいましょう。本当は下の葉から使うたびに収穫していくつもりでしたが、光源がダメになったので株を丸ごと収穫します。
まずは1株の収穫です。重さは17gでした。この調子で他の株も採っていきます。
ものの数分で全てのリーフレタスを回収できました。6株で79gだったので、平均重量は13g/株になります。40日間の短期間栽培とは言え、もう少し収穫量が欲しかったのが本音です。
徒長をしていたので、味はあまり期待はできそうもないです。ただ色は鮮やかな緑なので、ベーコンエッグの付け合わせ野菜として食べました。すると予想に反してかなり美味しかったのです。
レタス特有の苦味は全くなく、また少し噛むだけで溶けるほどの柔らかさです。徒長した茎にも筋っぽさはありません。この柔らかさはLEDの光で育てた影響でしょうか?それとも品種自体の特徴でしょうか?どちらにせよ、久しぶりに野菜を食べて感動しました。反対に欠点としては薄いが故に、加熱するとすぐにクタクタとなってしまいます。やはり生で食べるのが1番美味しかったです。
栽培中は葉が邪魔をして液肥槽を見れませんでした。収穫後の今ならば、十分に観察できます。今回は遮光をしていたので、藻の増殖は一切ありませんでした。藻がいないと後片付けのが楽で良いですね。
40日間の栽培の割には根の量が少なかったです。減っていた液肥の量から考えると、定植してからの収穫するまでの23日間で約1Lの液肥を消費したようです。今回は3Lの容器を利用しましたが、もっと小さいものでも良さそうです。
まとめ
最後に栽培のまとめになります。
- ちりめんしちゃは発芽から40日目で収穫できました。発芽~定植は17日間、定植~収穫は23日間です。12時間しっかりと光を当てていたせいか、成長スピードがかなり早かったです。
- 徒長の原因は6株を密植えにしたこと、またライトの光量と色が変化したことなどが考えられます。ライト部分に関しては、次回の栽培までに改良したいです。
- 味は苦味がほぼなく、非常に美味しかったです。機会があれば屋外でも育ててみて、味に違いがあるか確かめたいです。
LEDテープを使ってリーフレタス(ちりめんしちゃ)を水耕栽培しました。成長が早く、育てていてとても楽しかったです。ちなみに今回の栽培でかかった電気料金は220円でした。次はエアーポンプをもっと省電力品に変えて、100円台を目指そうと思います。
この記事が自作の水耕栽培装置を作る方の参考になれば幸いです。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。