IoTで水耕栽培 第7回目(最終回)。栽培装置にセンサーを入れて26時間のデータ取りを行います

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 前回の講座で、インターネットと繋がったデジタル温湿度計ができあがりました。次はこの装置を使って、リーフレタスを育てている場所(発泡スチロール内)の温度と湿度を26時間取ってみようと思います。

 なお、今回が「IoTで水耕栽培」の最終回になります。長かった道のりもこれで終わりです。それでは始めましょう。 

 

 

 

 

用意するもの
  • ESP32-WROOM-32 開発ボード(DOIT社 V1互換機)
  • 温湿度センサーモジュール DHT22(AM2302)
  • ブレッドボード用電源モジュール MB102
    ※他のものでも可
  • ジャンパワイヤ
  • ブレッドボード
    ※サンハヤトの「ニューブレッドボード SAD-101」がおすすめ
  • ACアダプター(12V1A)

 

準備
  • 開発ボードのGND, 3.3v,15ピンをセンサーモジュールと繋ぐ
  • 開発ボードのvinを通して5Vを電源供給する

 

電源供給について

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 第5回目の最後にも書きましたが、電源として5VのUSB充電器を使うと、電圧不足のためか開発ボードが再起動を繰り返してしまいます。対策を考えた結果、電源モジュールを別途用意し、ここから5vを直接入力すると動作が安定することが分かりました。

 ちなみに開発ボードの仕様書を読むと、推奨電圧は7~12Vとなっています。今回の5Vでは少し足りませんが、一応は動いていますのでこの電圧のまま使います。

 

スケッチ
  • スケッチやGoogleスプレッドシートの設定は前回の記事を参照
  • スケッチの測定間隔を前回の10秒から10分に変更する

    void loop() {
    sendData();
    delay(10000);
    }

    void loop() {
    sendData();
    delay(600000);
    }

     ※ブログの書式の関係でtabは入れていません。申し訳ないですがIDEに貼り付け後、見やすいように調整し直して下さい。

 

解説と測定

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 ブレッドボードとジャンパワイヤを使って、センサー・開発ボード・電源モジュールを繋ぎます。完成すると写真のようになります。

 本当はもっとコンパクトな電源モジュール使って、全てをブレッドボード1枚に収めるつもりでした。しかし部品が調達できなかったので、今回は手持ちにあるものを使って組み立てています。ブレッドボード同士を養生テープで止めていたりしていますが、見た目はともかく機能的には全く問題ありません。部品が手に入ったら、もっとスマートな姿にしたいと思います。

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 今回測定する場所は、LEDで育てているリーフレタスの装置内です(参考記事:自作した水耕栽培装置で栽培実験!リーフレタスの「ちりめんしちゃ」を育てます)LEDは低発熱とは言え、連続点灯しているとそれなりに温かくなります。そこで今回作った温湿度計を使って、栽培装置内がどのくらいになっているのか調べてみようと思います。 

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 最初はリーフレタスの隣に開発ボードを直接置くつもりでした。しかし見る限りではそのスペースはなさそうです。そこでセンサー部分のみを吊り下げる形で入れました。

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 またセンサーと開発ボードを繋ぐジャンパワイヤが短かったので、本体はアルミ放熱板の上に置いています。もちろん熱が伝わらないように、短い木の板を使って底に隙間ができるように設置しました。

 栽培装置のライトは朝8時に点灯し、夜8時になると消灯します。つまり12時間サイクルでONOFFが切り替わっています。そこで消灯する1時間前から記録を開始し、翌日の消灯時刻+1時間の計26時間を10分ごとに測定します。

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※クリックで拡大

 測定結果をまとめたものが上のグラフになります。赤線が気温、青線が湿度になります。いくつかのデータ抜けが早朝に発生しましたが、概ね良好に作動していました。

 ライトが消灯してから気温は下がり続け、翌日の点灯時刻(8:00)前後に最低気温15.8℃を記録しました。その後、ライトが点灯すると共に温度は上がり、21℃付近で横ばいとなりました。最高気温は16時台の21.5℃で、それ以降はゆっくりと下降すると思いきや最後に再び上昇し、測定終了時刻を迎えました。なお湿度は気温が高いと低く、低いと高いといったような、逆の関係性が見られました。

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※データを数値で見たい方はこちらはをクリック

 このような感じで、無事に26時間分の温度と湿度を記録することができました。室内で育てているせいか、10分単位の温度変化が予想よりも小さかったです。もし野菜の成長が好調または不調になった時には、このデータから要因を追えるかもしれませんね。

 実は、開発ボードを使ってデータを取る利点はまだあります。今回はただ温湿度を記録しただけですが、もしDCファンも一緒に組み込めば、気温が高くなった時だけ自動でファンを動かし排気する…なんてことも可能になります。もちろんこれを行うには、それ相応の勉強が必要です。しかし学習すればするほど、できることが多くなっていきます。小さな開発ボードですが、色々な可能性を秘めている面白いマイクロコンピューターです。

 

おわりに

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 この記事で「IoTで水耕栽培」シリーズは終わりになります。ただ、電子部品の通販サイトを見ていると、土壌水分計やpHセンサーといった非常に魅了的なパーツが売られています。そこで今後の「IoTで水耕栽培」は、野菜の栽培に使えそうな部品の紹介を不定期でやっていこうと思っています。

 それでは皆さまの水耕栽培ライフがIoTの力で、より良くなることを祈っています。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 


DSD TECH DHT22 温湿度センサーモジュール AM2302チップ付き

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温湿度センサーと抵抗器を単体で購入し、それぞれを繋ぐことでも測れます。しかしここは手軽に、また配線の本数を減らすために、これらが1つの基盤に載った「モジュール」を使いました。配線を繋ぐだけですぐにデータを取れるのでとても楽です。

 


HiLetgo ESP32 ESP-32S NodeMCU開発ボード2.4GHz WiFi + Bluetoothデュアルモード

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今回、温湿度センサーを繋げたのが「ESP32-WROOM-32 開発ボード」です。形が微妙に似ているボードもあるので、間違えないように購入しましょう。

 


サンハヤト SAD-101 ニューブレッドボード

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ESP32開発ボードは幅が広いので、一般的なブレッドボードでは列が足りません。しかしこのブレッドボードは列が拡張されており、開発ボードを挿しても両側に空きができます。ESP32開発ボードを買うならば、同時にこの商品も一緒に購入することをおすすめします。

 

【IoTで水耕栽培 参考記事】