多層式水耕栽培装置の作り方。できるだけ空気と根が触れるようにしました

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  今、水耕で育てている「カモミール」と「わさび菜」は、根を液体肥料に浸して育てています。いろいろ調べてみると、液肥をエアーポンプや水中ポンプでエアレーションすることもあるそうです。こうすることで溶液に酸素が溶け込み、根腐れの防止や成長促進効果があるとのことでした。良さそうですので、これらの方法を使って育ててみようと思ったのですが、困ったことに我が家のベランダにはコンセントがありません。市販の薄い電源ケーブルを使えば室内からドアを通して外に出すことはできます。しかし家族にあまりいい顔はされないでしょう。

 エアレーションを使った水耕栽培を自分なりに解釈すると、空気を吹き込まなくても根と空気が触れていれば酸素を取り込んでくれるはずです。そこで頭の中にできた設計図を元に多層式水耕栽培装置を作ってみました。

 

 

 

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 設計図はこんな感じになります。容器の中を多層にすることで空気に触れる根が増えるはずです。これを元に100円ショップで使えそうなものを購入してきました。それは、

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トゲ付き猫避けシート

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マイクロファイバーふきん

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容量5Lのフードコンテナ

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容量215mLのプラカップ

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ハイドロボール(小粒)
になります。次は容器の中に多層を作るため、これらを加工します。

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 まずトゲ付きシートを容器の大きさに切ります。このシートはプラスチック製ですのでニッパーで簡単に切れます。

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 そうしたらマイクロファイバー布巾でサンドイッチをします。これを繰り返します。

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 この大きさの容器ですと、4段分できました。予定ではこの隙間に空気が入り込み、根から酸素が吸収されます。続いて、植物を支える培地を用意します。

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 容器の蓋にプラカップの底よりも少し大きい穴を開けます。また液肥補充用の穴も作りました。

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 次にプラカップの底を丸く切り取ります。

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 その穴に最上部のマイクロファイバー布巾を通します。

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 そうしたらハイドロボールを適量流し込みます。この時、布巾でプラコップの穴をしっかりと塞がないとハイドロボールが容器の中に入ってしまうので注意が必要です。

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 最後に藻対策として容器をアルミホイルで覆って完成です。格好は悪いですが、側面のアルミホイルが破れないように養生テープで補強をしました。また上面からの光は、家にあったアルミ蒸着シートを被せて遮断しています。これで水耕栽培装置(2号機)の完成です。

 頭の中では、根がマイクロファイバー布巾で水平方向に展開し、それが下に向かい、また布巾で水平展開…こうなることで空気に触れる根が増えて酸素を取り込みやすい...はずです。また根の乾燥は容器が密閉されているので、それ程気にしなくて良い…はずです。全ては想像でしか語れないので、実際に使ってみて効果を確かめたいと思います。

 

《2018年7月1日追記》

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 この多段式水耕栽培装置で実際に「枝豆」を育ててみました。育てたのは2株で、生育期間は約70日、収穫できたサヤの数は16個でした。詳しい成長過程は下の記事を御覧ください。

 収穫数は少なかったですが、とりあえず今回開発した多段式水耕栽培でもちゃんと育つことが分かりました。この装置を設計した時には、各階層に根がびっしりと生えると想像していました。果たして私が考えていたような根の張り具合になっているでしょうか?育った枝豆の根の状態を確認してみたいと思います。

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 まずは全体から見てみましょう。根はしっかりと育っていて、カップを持ち上げても切れることなく、層全部が持ち上がってきます。では上の層から根を見ていきます。

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 一番上の層はカップの部分です。底の根を切ってハイドロボールを取り除くと、この様になっていました。太めの根がほとんどであり、下の階層に行けなかったものは底の方で渦巻いていました。 

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 次の層はプラカップとマイクロファイバー布巾のつなぎ目がある場所です。この層では根が横方向に展開することはなく、全ての根がそのまま下の階層に降りています。

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 次の層では根の分岐が進み、横方向にも根が育っています。しかしこの層全体を覆うほどではありません。

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 ここは中間層になります。根の分岐が更に進み、根の量が多くなっています。

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 その下の階層にも同じくらいの量の根が届いています。しかし根の先端は下のマイクロファイバー布巾には届かず、この層の空間で成長が止まっています。

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 最後に一番下の層になります。この部分は常に液体肥料が溜まっている場所です。側面には根がありますが、中央部分にはほぼ根がないことが分かるでしょうか。

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 写真だけですと頭が混乱しますので、イラストでまとめてみました。《茶色が根》《黄土色がマイクロファイバー布巾》となっています。
 このイラストから分かるように、枝豆の根は末広がりに展開し、ある程度の深さまで到達すると伸びなくなるようです。一番下の階層とその天井であるマイクロファイバー布巾に根が生えなかったのは、液体肥料が溜まっていたせいなのか、単に枝豆の根の成長は浅いところで止まってしまうのか、今回の結果では何とも言えませんでした。
 この水耕栽培装置を考えついた時には、各階層に根がびっしりと生える想像をしていました。しかし実際には根は中層部分に収集しており、一番根の量が多くなると考えていた最下層にはほぼ根がありませんでした。
 まだ1回目の栽培なので詳しい考察をするには情報が不足している感じが否めないです。今回は枝豆を育てましたが次回は違う植物を育ててみて、同じ傾向があるのかどうか更に研究をしたいと思います。
 追記を書いていて「果たしてこの結果は誰かのために役に立つのだろうか…」と思ってしまいました。もし何かの参考データとして利用して頂ければ、私としては嬉しい限りです。