私がいつも使っている水耕栽培は5Lの容器を利用したものです。小型の葉物野菜を育てるには十分ですが、ピーマンやキュウリなどの大型の野菜を育てるのは非常に難しいです。その理由としては、液肥槽の容量が足りない他に、しっかりとした支柱を立てられないからです。
大型の野菜は支柱で茎を固定しないと、風の力で倒れたり折れたりする可能性があります。しかし支柱を立てようにも培地であるバーミキュライトでは固定力が足りません。また深く挿したところで途中から液肥層になるため、全く意味がないです。
そこで今回は、大型の野菜でも育てられるような栽培装置を開発しました。ポイントは、野菜を栽培する本体と支柱を分けたことです。これにより支柱の強度を確保でき、大きくなった枝葉を支えることができるようになりました。それでは大型野菜用の栽培装置の作り方を紹介します。
材料
装置本体
- バケツ
- 水切りザル
- 黒色ビニール袋
- 培地(バーミキュライト)
- 不織布
- マイクロファイバー布巾
- アルミ蒸着保温シート
支柱部
- メッシュ状の収穫コンテナ
- 支柱
- ビニール紐またはタイラップ
装置の概要
栽培装置の本体はイラストの仕組みとなっています。バケツを液肥槽として使い、培地を入れたザル部分に野菜を植え付けて育てます。液肥槽のバケツには藻の発生を防止するために黒ビニール袋を取り付け、さらに外側には直射日光を遮るために保温シートを巻きます。
枝葉が茂る品種は受ける風の圧力が大きくなるため、ザルに入っている培地の固定力では力不足です。そこでメッシュ状の「収穫コンテナ」の隅に支柱を縛り付けて、野菜の茎を支えます。本当は栽培装置に支柱を取り付けられれば良かったのですが、構造上難しいので本体と分離させました。
作り方とコツ
今回使用したのは容量8Lのバケツと料理用のプラスチック製のザルです。どちらも100円ショップで購入しました。
買う時には、写真のようにバケツの縁にザルがかかることを確認しましょう。ちなみにバケツの取っ手は外してしまうので、どのような形のものでも大丈夫です。
まずはザルに加工をしていきます。根はザルの網目から出て液肥槽まで伸びていきます。このザルの網目の幅は1mm程しかないので、少し狭い感じがします。
そこで根が出やすいように、直径3cmくらいの穴を底面に開けました。
この穴を手で作るのは大変なので、私は電動ドリルとホールソーを使って開けました。 ホールソーとは大きな穴を開けるための道具で、私の持っているものは直径25~63mmに対応しています。
参考までに、写真の電動ドリルとホールソーの商品リンクを張っておきます。何かのお役に立てれば幸いです。
開けた穴には給水布として、マイクロファイバー布巾を通します。この布によって液肥の液面がザルより下になっても、培地に液肥を供給してくれます。
加工したザルには培地であるバーミキュライトを入れます。培地をそのままザルに入れても穴から全て出てしまうため、事前に土留めとして不織布を敷いておきます。
給水布に関してですが、土留めの不織布に切れ目を入れて貫通させた方が給水効率が上がります。しかし失敗すると液肥槽に培地がポロポロと落ちてしまうので、私は貫通させずイラストのように不織布と接触させるだけにしています。
次は液肥槽であるバケツの加工です。バケツの取っ手は不要なので外し、黒色のビニール袋を上から被せます。そして外側にはアルミ蒸着保温シートを巻いて、日光が直接当たるのを防止します。
最後にバケツとザルを組み合わせて、栽培装置本体の完成です。
ちなみに野菜の苗(キュウリ)を植え付けた写真がこちらです。バケツの容量は8Lですが、実際に入れられる液肥は4〜5Lとなります。
栽培装置の本体ができたので、続いて支柱部の作成をしましょう。
野菜を支えているのはザルに入っている培地のみのため、強風が吹くと根こそぎ倒れる恐れがあります。そこでメッシュ状の収穫コンテナを用意し、隅に支柱を括り付けて立たせます。
今回は支柱を縛るのにビニール紐を使いましたが、タイラップの方が簡単に固定できるのでおすすめです。これだけでも簡単には倒れない強度があります。あとはコンテナの中に栽培装置の本体を置いて野菜を育てていきます。
支柱を取り付ける位置は育てる野菜によって変えることができます。四隅や対角線でも良いですし、2本を平行に取り付けてネットを渡せば、キュウリなどのツル性の野菜も育てることができます。意外と応用性が高い仕組みとなっています。
まとめ
今回はバケツと収穫コンテナを使って、大型野菜を育てるための栽培装置を作りました。収穫コンテナ以外は100円ショップでも購入できるので、作製費が抑えられるのが良い点です。現在、この栽培装置を使ってキュウリとパプリカを育てています。こちらの記事も読んで頂けると幸いです。
【2022年5月1日 追記】
支柱をタイラップで取り付けた場合が上の写真となります。ビニール紐よりも簡単にに、そして頑丈に締め付けができました。取り外す時にはタイラップをニッパーなどで切りましょう。