水耕栽培では病気や害虫に気を付けるだけではなく、「根腐れ」の防止にも務めなければなりません。根腐れとは読んで時の如く、根が腐ってしまう現象のことです。
根腐れの原因としては、根の空気不足や与える肥料が濃すぎるなどが挙げられます。水耕栽培ではその性質上、根が液肥に浸かりっぱなしなので根腐れが起きやすい環境になっています。
現在、水耕栽培を始めて2年目になります。1年目は根腐れとは無縁でしたが、2年目になると多くの野菜で根腐れの症状が見られました。
最初は運が悪かったのだろうと思っていました。しかし根腐れを起こす野菜が増えるにつれ、何となくその共通点が見えました。それは「栽培筒(水道管の継ぎ手)」です。今回の記事では、水耕栽培の根腐れについて考察しようと思います。
まずは私が使っている栽培装置の説明をします。容器は100円ショップで売っている食品保存ボックスを用います。蓋に適当な大きさの穴を開けて栽培筒を差し込み、ここに培地であるバーミキュライトを入れて野菜を育てます。液肥などの細かな条件は以下になります。
- 容器サイズ:幅25cm 奥行き18cm 高さ14cm
- 栽培筒:プラカップまたは水道管の継ぎ手
- 培地:バーミキュライト
- 液肥:微粉ハイポネックス(1000倍希釈)
- 液肥量:栽培筒の底が触れない程度
- 屋外栽培
- エアレーションなし
根腐れがなかった昨年は、栽培筒として容量200mLの「プラカップ」を利用しました。
一方で根腐れが多発した今年は、水道管の「継ぎ手」を使っていました。栽培筒をプラカップ→継ぎ手に変更した理由は、使う培地の量を節約するためです。
サイズが違うだけに見えますが、片方は順調に育ち、もう片方は根腐れ傾向があります。この2つの方式の大きな違いは『培地に生える根の量』です。
継ぎ手は入る培地が少ないので、根の展開があまり起きずに液肥槽へ伸びていきます。一方でプラカップは、写真のように培地に十分な量の根が回ります。
ここからは私の仮説です。根腐れが起きた原因は、根と空気の接触面積が少なかったからではないでしょうか?
筒1個あたりに入る培地量を計算すると、継ぎ手は15cm3、プラカップは130cm3になります。継ぎ手では根の生える空間が少ないため、必然的に空気と触れ合う面積も少なくなります。その結果、根の空気不足によって根腐れが起きやすくなったと思われます。
また装置内への空気の出入りを考えてみます。蓋は閉めて育てるので、空気の出入口は培地が詰まった筒のみになります。筒の開口部面積を比較すると、継ぎ手はプラカップの1/9です。そのため外部と内部の空気交換が滞り、根の健康状態が悪化したのかもしれません。
もちろん根腐れの原因はこれだけではなく、育てる野菜の種類や液肥の温度など、様々な要因が重なり合っているはずです。その中でも今回は、栽培筒に焦点を当てて原因を考察しました。
最後にまとめとなります。
昨年と今年の栽培から、根腐れは栽培筒が小さい場合に起きる傾向が見られました。このことより根の健康状態は、
- 空気との接触面積
- 装置内への空気の出入り
が関係していると考えられました。
もし継ぎ手で育てるならば、液肥の水面を下げたりエアレーションをするなど、根と空気を十分に触れさせる必要があるかもしれません。来年の栽培ではより詳しい根腐れの原因を探るとともに、育てる野菜に合った道具の選択をしたいと思います。