過去にいくつかの記事で「レアチーズケーキ」の作り方を紹介しています。それぞれのレシピは基本的に一緒ですが、市販のビスケットを土台に利用したものや、底が抜けるタイプの型を使って作るバリエーションがあります。
これらのレシピは味は良いのですが、どうしても気になる点が1つありました。それは「見た目」があまり良くないのです。ビスケットを利用した土台はバターのみをつなぎとして使用しているので、取り分けた際にボロボロと簡単に落ちてしまいます。またチーズケーキの上面はヘラで上手く整えても跡が残ってしまい、食べる時に少々気になってしまいます。
もちろん家庭で作るお菓子なのですから、プロが作ったようにはできないでしょう。しかしせっかく作るのですから、味も見た目も良い方が食べていて楽しくなります。
味はある程度完成されているので、今回は見た目をより美味しそうに見せる方法を模索しました。週末にレアチーズケーキを作ること数回…やっと満足のできる方法を見つけ出しました。この記事では、味も見た目も完成したチーズケーキのレシピをご紹介します。
レアチーズケーキのレシピ
クッキー土台(2枚分)
材料
- 常温にしたバター 50g
- 常温にした溶き卵(全卵) 25g
- グラニュー糖 25g
- 薄力粉 100g
作り方
- バターとグラニュー糖を混ぜる
- 溶き卵を数回に分けて入れて混ぜる
- 薄力粉を入れて混ぜる
- 一塊になったら冷蔵庫に1時間くらい置く
- 厚さ3mmに延ばす
- 180℃で軽く焼色が付くまで焼く
- 熱いうちに直径15cmのセルクルで打ち抜く
- 完成
レアチーズケーキ
材料(直径15cm高さ5cmセルクル1個分)
- クリームチーズ 200g
(森永乳業 フィラデルフィア) - プレーンヨーグルト 160g
(明治 ブルガリアヨーグルト プレーン) - 生クリーム 200mL
(低脂肪でないもの) - グラニュー糖 60g
- レモン汁 10g
- バニラエッセンス 6振り
- 粉ゼラチン 10g
(森永製菓 クックゼラチン) - 上記のクッキー土台 1枚
準備
- 材料は全て常温まで戻す。
- セルクルの片面に塩化ビニール樹脂製のラップを張る。
- 水50gに粉ゼラチン10gを入れて、湯煎で65℃まで加熱し溶かす。
作り方
- クリームチーズ、プレーンヨーグルト、生クリーム、グラニュー糖、レモン汁、バニラエッセンスを混ぜる。
- 溶かしたゼラチンを入れ、よく混ぜる。
- 目の細かい網で漉す。
- ラップを張ったセルクルに流し入れる。
- 上面を均す。
- 事前に作った土台を上に乗せる。
- 冷蔵庫で冷やし固める
- 温めたタオルでセルクルの周りを温める。
- 型から外す
- 完成
実際の作業とコツ
クッキー土台
文字のみだと作り方のコツを説明しにくいので、ここからは写真で作業の補足をします。
まずはクッキー土台の作り方です。バターとグラニュー糖、溶き卵を混ぜ合わせマヨネーズ状にします。この時、気温が低かったり、材料が常温に戻っていないと卵とバターが上手く混ざらない場合あります。もし分離してしまうようならば、50度くらいのお湯で湯煎をすると混ざるようになります。
マヨネーズ状になったら、薄力粉を入れてゴムベラで混ぜます。生地の固さは気温によって異なりますが、夏の場合、手でこねるにはベトベトしていて柔らかすぎるかな?程度です。混ぜ終わったらラップをかけて、冷蔵庫で一時間ほど休ませます。
休ませた生地を100g取り分け、厚さが約3mmになるように延ばします。私の場合、家にあった大学ノートがちょうど良い厚みだったので、毎回これを利用して均一な厚さにしています。
延ばす時には生地をクッキングシートでサンドイッチし、この状態で麺棒を転がすと手が油まみれにならずにすみます。
できるだけ丸くなるように、生地を回転させながら延ばしていきます。
できあがったら打ち抜き型であるセルクルを乗せて、大きさを確認しましょう。生地は焼くと縮みますので、少し大きめにしておく必要があります。もし足りない部分があったら、足りている部分から持ってくれば大丈夫です。
片面のクッキングシートを剥がし、180℃のオーブンで15分間焼きます。焼き始めてから5〜8分経過すると生地の中央が膨らんできます。そうしたら一度取り出し、生地全体にフォークで穴を開けて、再びオーブンに入れて焼きます。
焼く前に穴を開けても良いですが、それをしても高確率で膨らんでしまいます。結局、焼いている時にも穴を開けることになので、焼く前の穴開けはいらないです。
焼き上がったクッキー生地は、取り出してすぐにセルクルで型抜きをします。型抜き後、歪み防止のために金属製のトレイなどを重り代わりに乗せて粗熱を取ります。
冷めると少し縮みますが、これで大丈夫です。念のため、冷めた後にスムーズに型に入れることができるか確かめましょう。もし入らないようならば、外側を包丁で少し削ります。
余った生地はラップで包み、チャック付き袋に入れて冷凍しておきます。次回作る時には延ばす作業からなので、時間を大幅に短縮できます。
セルクルに張るラップ
レアチーズケーキの上面を鏡のように平らするには、普通に作っていてはできません。まずセルクルにラップを張り、そこにチーズケーキの素を流し入れます。そして固まった後にラップを取れば、スジや跡がない美しい平面ができあがるのです。
ラップは使われている素材により、色々な種類があります。今回用意したものは「塩化ビニール樹脂」を主成分にしたものです。
文字が細かくて読みにくいですが、原材料名のところに「塩化ビニール樹脂」と書いてあるのが分かるでしょうか。この素材のラップは良く伸びるので、セルクルに隙間なく密着してくれます。
塩化ビニール樹脂の他には「ポリ塩化ビニリデン樹脂」などがあります。これらのラップは伸びが良くないので、今回のレシピには使用できません。もしセルクルに上手く張れたとしても、時間がたつにつれ隙間ができてしまうので使わないようにしましょう。
ラップはシワができないように伸ばしながら貼ります。直径15cmのセルクルには幅22cmのラップがちょうど良かったです。これで型の準備は完了です。
レアチーズケーキ作りのコツ
ここからがチーズケーキ本体の作り方になります。各材料を混ぜる時は、泡立て器を使わなくてもゴムベラで十分です。混ぜる順番は、
クリームチーズ
↓
グラニュー糖
↓
生クリーム
↓
ヨーグルト、バニラエッセンス
↓
レモン汁
↓
ゼラチン液
がおすすめです。生クリームは一度に入れずに数回に分けて入れると、クリームチーズと混ぜやすいです。
レモン汁を入れると酸のせいか、生地に粘度が出てきます。なお、上の写真のようにクリームチーズのダマができてしまいますが、次の工程でなくなるので気にしなくてOKです。
それぞれの材料を混ぜた生地を、裏ごし器に通していきます。粘度が高めなので、ゴムベラで押し付けるように作業すると上手くできるかと思います。
裏ごしした生地をラップを張ったセルクルに流し込み、表面を均します。この時、空気が入らないように気をつけましょう。
私は型の下に平らなセルクル敷板を敷いています。これがないときれいな上面にならないので必須アイテムです。セルクル敷板でなくても、平らな板であればどの様なものでも構いません。
この生地の上にクッキー土台を置いて、型と土台の隙間から少し生地が出るくらい軽く押さえつけます。そしてラップを軽くかけ、冷蔵庫に入れて冷やし固めます。
一晩冷蔵庫に置いて固めた後に、ラップを取ります。するとヘラの跡などが全くない、まるでウユニ湖を彷彿させる面が現れます。
セルクルからチーズケーキを取り出す時には、少しコツがいります。
まずは濡らしたタオルを電子レンジで加熱し、手でギリギリ持てないくらいまで温めます。そうしたらセルクルの周りを覆います。時間としては大体3分くらいでしょうか。タオルを触ってみて、熱くなかったら終了です。
次に、取っ手のないコップを縁が下になるように置きます。その上にセルクルの内径よりも少し小さい板を置きます。私はちょうど良い大きさのセルクル敷板を持っていましたので、これを利用しました。
そうしたらクッキー土台を下にして板の上に乗せます。両手で型を持ち、ゆっくりと下方向にずらして取り外します。
熱くしたタオルを当てることでゼラチンが柔らかくなり、力を入れなくても取り外せるようになります。またこの方法で行うと側面がザラつかず、側面がツルツルになります。
レアチーズケーキを切り分ける時には、面倒ですが1回切るごとに熱湯で包丁を温め、さらに毎回ティッシュで包丁を拭います。この一手間を加えることにより、どの角度から見ても美しい面を持つレアチーズケーキとなります。
終わりに
作ったレアチーズケーキを父親に食べてもらうと「これは売れそうな味だ…」というお褒めの言葉を頂きました。ちなみに私の父親は料理は食べるだけで、美味しい不味いなどのコメントは基本的にしません。それなのに美味しいと言ったことについて、逆にこちらが驚いたくらいです。
以前のレシピと比べると、型を温めて抜くなど、少し手間がかかっている点があります。しかしその手間のおかげで、見た目がワンランク、ツーランク上になります。あとは上にミントの葉を枚乗せれば、彩りも完璧なレアチーズケーキが完成するでしょう。
自分で食べるだけならば、味のみを追求すれば良いと思います。しかし他の人に食べでもらうならば、やはり見た目も重要になります。ここ数年で一番納得できるお菓子のレシピが完成したので、一度作ってみてはどうでしょうか?かなりおすすめのレアチーズケーキです。
今回のレアチーズケーキでは、このセルクルを型として使用しました。肉厚のステンレス板で作られているので、型崩れする気配が全くしません。セルクルの敷板には同じメーカーの15cm用を、型から外す時に使った板は12cm用のものを使用しました。
このレシピの肝は「塩化ビニール樹脂」でできたラップを使うことです。ラップの上に生地を流し入れることで、美しい面を作ることができます。シワや隙間がないようにピシッと張りましょう。