先日、ホームセンターに野菜の種を買いに行きました。その時偶然にもワゴンセールをやっており、時期が外れてしまった球根や苗など色々なものが売っていました。何か面白いものはないかな?と思いながらそのコーナーを漁っていると、「キノコの栽培キット」があったのです。
種類を確認すると、エノキ・ブナシメジ・エリンギがあります。シイタケがないかと確認しましたが、やはり人気なのか売れ残りはなかったです。残念…と思いながら奥に視線を移すと、『ヤマブシタケ』と書いてあるキットを発見しました。
商品の箱を見ると、何やらモサモサしたマッシュルームみたいな写真が貼り付けてあります。これがヤマブシタケなのでしょうか?先に見つけたエノキなどはスーパーで売っていますので、見たことも食べたこともあります。しかしこのヤマブシタケと呼ばれるキノコは今まで聞いたことすらありません。
私の好みの話になりますが、普通の植物よりも、こういった未知のものを育てる方が好きです。値段も650円だったので、すぐにこの栽培キットを購入しました。この記事では、いまいち正体の分からないヤマブシタケの栽培日記を付けようと思います。
- ヤマブシタケとは
- 栽培キットの内容
- 2019年3月17日 栽培準備(栽培0日目)
- 2019年3月22日 発芽しつつある(栽培5日目)
- 2019年3月24日 発芽(栽培7日目)
- 2019年3月26日 ピンク色のキノコ(栽培9日目)
- 2019年3月28日 発芽箇所は3つ(栽培11日目)
- 2019年3月31日 キノコで埋まる(栽培14日目)
- 2019年4月3日 急激に成長(栽培17日目)
- 2019年4月4日 一部が薄茶色に変化(栽培18日目)
- 2019年4月6日 収穫&試食(栽培20日目)
- まとめ
ヤマブシタケとは
家に帰ってからヤマブシタケのことを調べてみました。その結果分かったことは、
- 名前の由来は、修行僧(山伏 ーやまぶしー)が胸に掛けているボンボンに似ているから
- 味に癖がなく、食材として多くの国で人気がある
- 乾燥させ粉末にしたものは健康食品として売られている
くらいです。
マイナーなキノコなのか、あまり情報が出てきませんでした。上の写真は、自然界に生えているヤマブシタケです。今回購入したキットにも、このように生えるのかもしれません。
栽培キットの内容
購入した栽培キットの紹介をしましょう。この商品の販売元はカネコ種苗株式会社で、製造は株式会社富士種菌が行っています。
ラベルには「限定販売」と書いてあります。地域なのか時期なのかイマイチ分かりませんが、ともかく限定販売とのことです。
このヤマブシタケにはマスコットキャラクターがいます。その名も「山伏(やまぶし)うさぎ」です。
山伏とは、山で修行をする僧侶のことです。このうさぎは、おそらく修行の時に着る衣装をまとっているのだと思います。胸の前にある4つの黄色い丸が、名前の由来となっているボンボンです。またヤマブシタケは別名「ウサギダケ」とも呼ばれるようなので、それにも掛けているのでしょう。
それではキットの内容を紹介します。箱の中に入っているものは左側から、栽培説明書・保湿用ビニール袋・日向土(ひゅうがつち)・菌床です。
日向土とは宮崎県で採れる園芸資材の一種です。土と呼ばれていますが、実際は軽石に分類されています。今回のキノコ栽培では、保湿材として使用します。
こちらが菌床になります。菌床はオガ粉、穀物とキノコの菌でできています。これを上手く育てるとキノコが生えてくるようです。それでは栽培の準備を始めましょう。
2019年3月17日 栽培準備(栽培0日目)
キットには栽培するための説明書が付いています。この通りに栽培の準備をします。
まずばビニール袋を切ります。
すると菌床が見えます。菌糸が一面を覆っていて真っ白です。
上面に生えている菌糸をスプーンで掻き取ります。特に固いわけではないので、さくさくと取り除いていきます。
これが取った菌糸の塊です。スポンジのようにふわふわとした感触がします。取り除いた部分は必要ないので、燃えるゴミとして捨てました。
菌糸を剥ぎ取ったら、深さ2~3cmとなるように水道水を入れて数時間放置します。
そうしたら水を捨てて、湿潤させた日向土を菌床の上に均一な厚さに広げます。
最後に保湿用のビニール袋で包みます。私はビニールの口を1回折り、洗濯バサミで止めました。これで準備は完了です。
あとはこれを直射日光の当たらない室内に置いて、発芽するのを待ちます。もし日向土が白っぽく乾燥してくるようならば、滴らない程度の水を補給する予定です。説明書によると、1週間程度でヤマブシタケの芽が出てくるそうです。
2019年3月22日 発芽しつつある(栽培5日目)
5日間が経過しました。遠目では特に変わったところはありません。
しかし近付いて菌床の縁を見ると、白っぽいものが日向土の中から出てきています。これはきっとヤマブシタケの子実体(キノコ)でしょう。このまま順調に育ってくれるのを祈ります。
2019年3月24日 発芽(栽培7日目)
子実体が見えたと思ったら、一気に大きくなってきました。菌床のいくつかの場所から発芽しており、1番大きなサイズは指先ほどになっています。
アップで見ると、まるでサンゴのように枝分かれしているのが分かります。この状態になると、収穫まであと3週間です。どこまで大きく成長するのか楽しみです。
2019年3月26日 ピンク色のキノコ(栽培9日目)
私は特に何もしていませんが、それにもかかわらず順調に育っています。前回よりも数回り大きくなりました。
商品の箱やウェブで見たヤマブシタケは白色でした。しかし今育てているものは、全体的に薄いピンク色をしています。しかし内側の幹や枝に当たる部分は白いので、もしかしたら成長スピードが早い先端部分には色が出るのかもしれません。
2019年3月28日 発芽箇所は3つ(栽培11日目)
さらに2日が経過しました。ここに来て新しい場所から発芽してきており、主に3ヶ所から子実体が出てきています。もうそろそろ菌床が隠れてしまいそうです。
こんな感じにアップにすると、山の斜面に満開の桜があるようにも見えます。
今までは保湿用ビニールの口を洗濯バサミで止めていました。さすがに大きくなってきたので、これからは写真のように口を開けて育てていこうと思います。
2019年3月31日 キノコで埋まる(栽培14日目)
とうとう日向土が見えなくなってしまいました。発芽から1週間でここまで育つとは恐ろしいスピードです。
子実体をアップで撮影しました。シイタケの様にツルッとした表面ではなく、無数の小さな突起が集まって半球形を作っています。ちなみに匂いは全くありません。
2019年4月3日 急激に成長(栽培17日目)
3日前は日向土を覆う程度の平べったい形でしたが、今はかなり盛り上がってきています。主に右側が成長しているので、できれば左側もこれから大きくなってほしいなと思います。
子実体が保湿用のビニール袋に付くようになってきたので、本日からはそのビニールを取って収獲まで成長させます。
2019年4月4日 一部が薄茶色に変化(栽培18日目)
昨日と比べると、先端の一部が茶色っぽく変化しています。「まだ収穫までは1週間あるはずなのに…」と思って再び説明書を読んだところ、なんと勘違いしていたことが分かったのです。収穫時期は発芽から3週間目ではなく2週間目、つまり今頃なのです。変色したのは成長し過ぎたためかもしれません。
今日は木曜日なので週末に収穫したいと思います。茶色に変わるスピードがゆっくりであってほしいと祈るばかりです。
2019年4月6日 収穫&試食(栽培20日目)
ヤマブシタケを育て始めて3週間がたちました。茶色い部分が多くなってしまいましたが、本日収穫をしようと思っています。ではその前に子実体がどうなっているのか、アップの写真で見ていきましょう。
育てる前は菌床全面からモコモコと子実体が出るのかと思っていました。しかし実際は右半分にしか発生しませんでした。もっと良い環境を用意できたなら、全体に生えてくれたのかもしれません。
下から見上げると、確かにうさぎの尻尾のようです。触り心地はフサフサではなく、しっとりとした感じです。色は白くなるはずだったのですが、なぜかピンク色となりました。これはこれできれいなので良しとしましょう。
今まではタオル生地のような表面でしたが、昨日あたりから針状に変化してきました。こうなった時が一番の収穫時だそうです。
しかしその5cmくらい横には、収穫適齢期を過ぎてさらに茶色くなった部分もあります。突くと少し固い感じです。1つの株でこれほど違いがあると、いつが収穫時期なのか迷ってしまいます。
株元はこのようになっています。茎にあたる部分は真っ白です。予定では全体がこの色になるはずだったのですが、生き物が相手だとコントロールが難しいですね。ちなみに匂いを嗅ぐと、しっかりとしたキノコの香りがします。
それでは収穫をしましょう。株元を掴み、横に倒して菌床から外します。
あとは付着している日向土を取れば完了です。握りこぶしより少し大きいヤマブシタケが収穫できました。
下から見るとこんな感じです。白い部分は一般的なキノコと同じでスポンジ状となっています。
重さは約100gでした。スーパーで売っているブナシメジは1袋100gですので、同じくらいの量ですね。しかしブナシメジは1袋100円、こちらのヤマブシタケは650円…超高級キノコです。
最後にどのような味なのか確かめてみましょう。薄切りにしてオリーブオイルで炒め、塩コショウで味付けをしました。前情報から分かっていたのですが、ヤマブシタケはフサフサしている形状も相まって、かなり油を吸っていきます。まるでスポンジのようです。
食べてみると歯ざわりはエリンギに近く、味はキノコの風味が少し香るくらいで基本的にありません。また先端の部分は味をしっかりと吸っているので、塩味を濃く感じました。特に癖のないキノコなので油を吸いやすいことに気を付ければ、スープや炒めものなどどんな料理にも合いそうだと感じました。
まとめ
それではヤマブシタケ栽培のまとめになります。
- 開封から1週間で発芽が始まり、2週間後に収穫できました。このスケジュールは説明書に書いてあった通りになります。また白色に育つ予定でしたが、不思議なことにピンク色になってしまいました。
- 成長はかなり早く、24時間後では一回り大きくなっていることもあります。室内で育てるので虫が付くこともなく、また野菜と比べると早く収穫できますので初心者向けだと思います。
- キノコの味は薄く風味も少ないので、どのような料理にも合うでしょう。しかしフサフサの部分がかなり油を吸うので、炒める際には最初に入れない方が良いかと思います。
小学生の時に原木でシイタケを育てた以来、20数年ぶりにキノコを育てました。子実体の成長はかなり早く、毎日変化するので見ていて楽しかったです。
ヤマブシタケはあまり見慣れないキノコですが、もし菌床が売っていたら再び栽培にチャレンジする予定です。そして次こそはピンクではなく、白色に育ったキノコを収穫したいと思います。