晩秋になると、気温が低いせいで種蒔きできる野菜が限られます。その中でホウレンソウは寒くても蒔ける、数少ない葉物野菜です。
去年育てたホウレンソウはネズミにかじられ、無残な姿になってしまいました。今年はきれいな姿のホウレンソウを採れるように頑張りたいと思います。
栽培装置の構成は、昨年と基本的に同じです。しかし今回は自作した栽培筒を使います。この筒は3Dプリンターで造形し、今まで利用していた筒(水道管の継ぎ手)よりも全長を短くして、より使いやすくしています。
この時期になるとチョウなどの害虫はいなくなり、快適に栽培できます。一方で成長がスピードは落ちるので、栽培期間は長くなります。今種蒔きをしたら年内には収穫できるでしょうか?それでは栽培を始めます。
- ホウレンソウの種
- 液体肥料
- 栽培容器の作成
- 2019年11月4日 種蒔き
- 2019年11月9日 もうすぐで発芽
- 2019年11月10日 発芽(発芽から0日目)
- 2019年11月13日 本葉が出る(発芽から3日目)
- 2019年11月16日 間引き(発芽から6日目)
- 2019年11月24日 順調に成長中(発芽から14日目)
- 2019年12月8日 葉の切れ込み(発芽から28日目)
- 2019年12月15日 葉の穴(発芽から35日目)
- 2020年1月19日 葉の黄変(発芽から70日目)
- 2020年2月23日 成長不良?(発芽から105日目)
- 2020年3月15日 残念な収穫(発芽から126日目)
- まとめ
ホウレンソウの種
種袋に書いてある名前は「一代交配味まさりほうれん草」で、品種は『くろうま』になります。
前回育てたホウレンソウの種には、鋭いトゲがありました。しかしこの種には全くありません。品種が違うとこれほどまで姿が変わるのですね。
液体肥料
液体肥料には、微粉ハイポネックスを水道水で1000倍に希釈したものを使用します。
栽培容器の作成
栽培筒は3Dプリンター「Ender-3」を使って作りました。フィラメントはPLA(ポリ乳酸)を使用しています。
3DDADと呼ばれるソフトを使って、内径32mm 高さ50mm 厚み2~3mmとなるように設計し印刷します。
こちらが実際にできたものです。印刷には1個あたり1時間ほどかかりました。
この栽培筒に給水布(マイクロファイバークロス)とスポンジを取り付けて、バーミキュライトを縁の近くまで入れます。
5L容器の蓋に適当な大きさの穴を開け、そこに栽培筒を差し込めば完成です。今回は6株を同時に育てます。
2019年11月4日 種蒔き
バーミキュライトの上に種を3個ずつ置き、3〜4mmとなるように覆土を行いました。
容器には直射日光を遮るためのアルミ蒸着保温シートを巻き、さらに防虫ネットを掛けるための支柱を取り付けました。この栽培容器を室内に置き、発根してきたら屋外に出します。
2019年11月9日 もうすぐで発芽
葉が地上に出てきました。きっと明日には完全に開くでしょう。この筒のように生え方が優等生のものもあれば、
いろいろと荒ぶっているものもあります。もう少し覆土を厚くした方が良かったかもしれません。
2019年11月10日 発芽(発芽から0日目)
双葉が開いてきたので、本日を「発芽から0日目」として記録を付けていきます。
発芽率は8〜9割と、まずまずの結果です。種の中には根が地上に出てしまっているものがあったので、バーミキュライトを追加投入して埋まるようにしました。
年末まであと50日です。気温が下がっていく気候の中で、12月31日までに収穫できるでしょうか?
2019年11月13日 本葉が出る(発芽から3日目)
発芽3日目にして、早くも本葉が見えてきました。予想よりも成長が早いです。
2019年11月16日 間引き(発芽から6日目)
最近は晴れた暖かい日が多いので、ホウレンソウの成長も順調です。双葉も大きくなり、本葉は指先ほどの大きさとなりました。
ちょっと早めですが、間引きをしようと思います。本葉が大きく育っている株を残して、残りはハサミで切り取ってしまいます。
それぞれの継ぎ手に1株を残して、間引きの完了です。成長を促すために、できるだけ日当たりの良い場所に置いて見守ります。
2019年11月24日 順調に成長中(発芽から14日目)
間引きをしたホウレンソウは順調に成長しています。
今は2セット目の本葉が大きくなっている途中です。この品種は葉の縁がギザギザになるものですが、まだ丸いままです。もう少したつと、そのような葉が出てくるのでしょうか?
2019年12月8日 葉の切れ込み(発芽から28日目)
3セット目の本葉もだんだんと大きくなってきました。最近は気温が低いので、成長スピードが少し遅くなったように感じます。
今までの葉は縁が丸かったですが、これから出てくる葉はギザギザになりそうです。葉の根元に大きな切れ込みが入っているのが分かりますね。
根は太く、そして長いです。今年は根腐れが多発していますので、このホウレンソウがちゃんと育ってくるのか少々不安です。
2019年12月15日 葉の穴(発芽から35日目)
順調に成長中です。斜め上から見ると、緑色の占める割合が多くなってきたのが分かりますね。
防虫ネットの中で育てているにも関わらず、楕円形の穴が空いている葉を発見しました。 最初はアオムシだと思ったのですが、周りにフンがないので違うかもしれません。少しの間、変な虫がいないか注意深く見てきます。
2020年1月19日 葉の黄変(発芽から70日目)
目標としていた年内収穫は難しかったです。現状、ホウレンソウと言うにはあまりにも小さく、調理したら一口で終わってしまいそうなくらいです。あと1〜1.5ヶ月はかかるでしょうか?
最初に出てきた葉は緑色が抜けて黄色っぽくなってきました。
中心部は葉が詰まった状態です。
地上部の大きさと比べると、根の量は非常に多くなっています。暖かくなればこの根からたくさんの栄養を吸収して、一気に大きくなる…と期待しています。
2020年2月23日 成長不良?(発芽から105日目)
ホウレンソウは年内収穫どころか、収穫の目処すらたっていない状況です。大きくなるはずの外葉が枯れて、いつまでたっても同じ大きさです。
一応、中心部からは葉が出てきているので、病気と言うより成長不良でしょうか。確証はないのですが、培地(バーミキュライト)の量を極端に少なくすると成長が滞る気がします。もう少し育てて、どうなるのか観察していきます。
2020年3月15日 残念な収穫(発芽から126日目)
11月上旬に種蒔きをしてから、もう4ヶ月が過ぎてしまいました。前回と同様に、どんどん外葉から枯れて、いつまでたっても大きくなりません。
サイズは手の平くらいとなります。この株は大きい方で、他はもっと小さいです。
葉は一応ホウレンソウっぽくなっています。しかしこれよりも大きくなると枯れ始めてしまうのです。
成長不良を起こしているので、根腐れの可能性が考えられます。しかし液肥に浸かっている根は特に何も起きていません。藻で緑色にはなっていますが、変色や腐敗臭はないです。それにしても根の量が多いですね。このパワーを葉の方に持って行ってほしかったです。
いつまでたっても大きくならないので、暖かくなれば成長するかな?と考え放置していたら、何とトウ立ちが始まってしまいました。ホウレンソウは光に当たる時間が長くなると花芽を付ける「長日植物」です。この株が始まったという事は、その他もいつトウが立ってもおかしくありません。想定外の小ささですが、収穫をしてしまいましょう。
株元を切って収穫をします。ハサミよりも小さいホウレンソウとは一体…
これで収穫の完了です。手に持っているのは1株ではありません。今回育てた6株全てを握っています。マイナスの意味でビックリです。
収穫したホウレンソウは野菜炒めの中に入れて食べました。ただあまりにも量が少なかったので、味が全く分からずじまいでした。
まとめ
昨年とは異なり今年育てたホウレンソウは、いつまでたっても成長しませんでした。成長不良の原因としては「培地が少なすぎたため」と考えられます。
今回の栽培では培地(バーミキュライト)の量を節約するために、内径が小さい筒を使って育てました。当時は分からなかったのですが、どうもこの方法で育てると成長が遅くなったり、根腐れが起きる傾向があるのです。ホウレンソウも培地が少なすぎたために、成長が阻害されたと思われます。《考察記事:プラカップ式・継ぎ手式で行った水耕栽培の結果を考察。新鮮な空気と根が触れ合うスペースが大切です》
今回のホウレンソウは非常に残念な結果になってしまいました。この経験を生かして、次回の栽培では立派なものを採れるように工夫したいと思います。本記事がホウレンソウ栽培の役に立てれば幸いです。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。