先日、LEDライトを使ってサラダ菜の室内栽培をしました。光を24時間当て続けたおかげか、サラダ菜は通常よりも早く成長したような気がします。しかし徒長したせいで結球はせず、また葉もやけに細長かったです。正直な話、ぱっと見ではサラダ菜だと気付かない姿となってしまいました。
こうなった原因は、やはり光を1日中当てていたことでしょう。調べてみると、レタス系は長日条件(=光の当たる時間が長い環境)で花芽を付けるために茎が伸びるそうです。確かに、発芽からの収穫までライトを消さずに育てていたので、この条件に当てはまっています。
そこで今回は光の照射を12時間サイクルにしてサラダ菜を育て、どのような変化が起きるのか確認してみます。予想では栽培期間が長くなる代わりに、徒長が抑えられるはずです。できれば葉の形も細長から丸形になってくれたらな、と思うのですがどうでしょうか?それでは実験を始めましょう。
- サラダ菜の種
- 栽培装置
- 栽培用ライト
- 液体肥料
- 2019年10月14日 種蒔き
- 2019年10月16日 発根
- 2019年10月17日 発芽(発芽から0日目)
- 2019年10月22日 本葉が開く(発芽から5日目)
- 2019年10月27日 藻の繁殖(発芽から10日目)
- 2019年11月2日 照射時間の差(発芽から16日目)
- 2019年11月9日 葉序は2/5(発芽から23日目)
- 2019年11月16日 液肥の消費量(発芽から30日目)
- 2019年12月1日 葉が立ち上がる(発芽から45日目)
- 2019年12月15日 結球間近?(発芽から59日目)
- 2020年1月2日 収穫(発芽から77日目)
- まとめ
サラダ菜の種
今回も前回と同じ種を使用します。品種は「ウエアーヘッド」になります。
栽培装置
栽培装置は容量300mLのタッパーを利用して作ります。
まず蓋の中央に四角い穴を開け、底まで届くように切り出したスポンジを挿入します。そして液肥を縁ギリギリまで入れ、スポンジに吸わせれば完成です。もしスポンジが液肥を吸わない場合は一旦取り外し、液肥の中で何回か握って空気を出してから蓋に再セットすると良いでしょう。
今回の栽培ではこの装置を2つ作成して、2株を同時に育てます。
栽培用ライト
ライトは赤と青のLEDが付いた植物栽培用のものを用意しました。光の照射サイクルは12時間ごととし、他からの光を遮断するためにクローゼットの中でサラダ菜に当てます。
液体肥料
液体肥料には、微粉ハイポネックスを水道水で1000倍に希釈したものを使用します。
2019年10月14日 種蒔き
スポンジの上に種を5個置き、その上から保湿材と重しを兼ねたトイレットペーパーを乗せました。これらを室内の明るい場所に置き、発根するのを待ちます。
2019年10月16日 発根
写真では変化がないように見えますが、種の先端から長さ1mmほどの根が出てきました。この時点から12時間サイクルで光を当てていきます。
できるだけ光を有効活用したいので、写真のように栽培装置を白色の発泡スチロール箱の中に入れてライトを当てます。また蓋は軽く乗せるだけにし、容器内の空気が出入りするようにしました。この状態で収穫まで観察を続けます。
2019年10月17日 発芽(発芽から0日目)
無事に種が発芽しましたので、本日を「0日目」として記録を付けていきます。合計10個の種を蒔いて、全てが発芽しました。非常に良い発芽率です。
トイレットペーパーを破って芽が出ていますが、中には引っかかっている株もあります。そこで先の細いピンセットで取り除いてあげました。次は本葉が伸びるのを待ちましょう。
2019年10月22日 本葉が開く(発芽から5日目)
数日前に間引きをし、現在は合計6株となっております。小さかった双葉も大きくなり、本葉も開いてきました。気温が違うので一概に比較はできませんが、24時間光を当てて育てた時よりも1日分成長が遅いようです。
2019年10月27日 藻の繁殖(発芽から10日目)
本葉が大きくなってきたので、2回目の間引きをして1株となるようにしました。
数日前、左側の栽培装置のスポンジに、藻が薄っすらと生えているのに気が付きました。そうしたら、なんと数日でその表面を覆い尽くしてしまったのです。今ではビックリするほどの深緑色になっています。
一方で全く同じ条件で育てているもう片方を見ると、不思議なことに全然生えていません。微妙なところで藻の種?が付着しなかったようです。正直な話、藻はどうしようもないので、このまま一緒に育てていきます。
2019年11月2日 照射時間の差(発芽から16日目)
本日で発芽から16日目になります。2周りほど大きくなり、サラダ菜っぽい葉になってきました。どちらの液肥にも藻が増殖し始めて、緑色になっています。
今回の栽培では光を12時間サイクルで当てています。そこで、光を24時間当て続けて育てたサラダ菜との差を見てみましょう。
上の写真が今回の12時間照射(発芽から16日目)、下が以前育てた24時間照射(17日目)になります。大きさの比較はフローリングの板の幅を見ると良いでしょう。
栽培容器などの条件が若干異なりますが、24時間の大きさと比べると12時間は約半分となっています。また葉の面積では、数倍の違いがあります。
やはり光の当たる時間が長いほど、成長速度が早いようです。しかし24時間照射のサラダ菜は、この後から徒長が始まります。12時間照射ではどうなるのか、今後も観察をしていきます。
ちなみに根はこんな感じになっています。今の段階では真っ白できれいな根です。これから藻が付着して、見た目がよくなくなってしまうのが残念です。
2019年11月9日 葉序は2/5(発芽から23日目)
何度かサラダ菜を育てていますが、ある点を過ぎると一気に成長が始まります。今回は16~23日目でその境を超えたようです。これからは成長スピードがもっと早くなるでしょう。
植物は光を有効活用するために、葉ができるだけ重ならないようにしています。葉の生える位置は植物の種類によって決まっており、これを『葉序(ようじょ)』と呼びます。
葉序は「回転数 / 葉の枚数」で表します。良い機会ですので、サラダ菜の葉序を調べてみましょう。
葉が重なる位置までの枚数と回転数を数えると、5枚で2回転となりました。つまりサラダ菜の葉序は2/5になります。これを角度に変換すると、
0枚目(基準):0°
1枚目:144°
2枚目:288°
3枚目:432°
4枚目:576°
5枚目:720°
となります。つまり葉は、1枚ごとに144°ずつ位置を変えて生えます。育てているサラダ菜を測るとたまに外れ値はありますが、概ね144°前後でした。
葉序は『フィボナッチ数列』と関係があるようです。もし興味があれば、「フィボナッチ数列 葉序」みたいな言葉で調べると、自然界の真理が少し見えるかもしれません。
2019年11月16日 液肥の消費量(発芽から30日目)
あまりにも順調な成長のため、特にコメントすることがありません。発芽から30日が過ぎても丈は低く、徒長の気配はないです。
気付いたことと言えば、双方の葉の幅が違うことです。左側と比べて右側の株は細めです。同じ条件で育てているのに、この差はどこから出てきたのでしょうか?
※画像を押すと拡大
サラダ菜がどのくらい液肥を消費しているのか確かめるために、発芽してから毎日、栽培装置の重量を測定しています。その集計結果が上のグラフです。縦軸のラベルがバグっていますが表記は、『前日との重量差(g)』になります。
傾向を見ると、発芽してから2週間はあまり変化がありません。しかし11月1日くらいから重量差が大きくなり始めたのが分かります。そのスピードは1次曲線で、今のところ指数関数的には上がっていないようです。
現在の液肥消費量は、1日あたり約10gです。これからさらに多くなっていくと思うので、どのように変化していくのか記録を続けます。
2019年12月1日 葉が立ち上がる(発芽から45日目)
サラダ菜は何事もなく成長しています。室内栽培ですと虫や汚れやが付かないので、管理が非常に楽です。
今までは平たい状態で育っていましたが、だんだんと上向きに葉を伸ばしています。特に左側の株が顕著ですね。これは結球開始の合図なのでしょうか?
中心部にある茎は徒長する気配が全くありません。葉間隔が詰まった状態で成長しています。
栽培から1.5ヶ月が経過し、初期の葉が役目を終えて枯れてきました。
大きくなったとは言え、収穫するにはまだ小さいです。できればあと1ヶ月くらいで採りたいものです。
2019年12月15日 結球間近?(発芽から59日目)
どちらの株も以前にも増して縦方向に伸びています。
中心部は密度が高くなり、このまま結球しそうな勢いです。
発芽してからの重量変化グラフを更新しました。
重量差が増加していくかと思いきや、現在10g前後で停滞しています。これは気温が下がり、葉の面積あたりの蒸散量が減ったためと思われます。
またサラダAとサラダ菜Bの重量差に違いが出始めました。やはり葉がより茂っているサラダ菜A(青線)の方が、液肥を消費する速度が早いようです。
これから本格的な冬になるので、さらに気温が下がっていきます。このサラダ菜は空調のないクローゼットで育てていますので、今までよりも成長スピードが落ちてしまうでしょう。結球してくれるのを気長に待ちます。
2020年1月2日 収穫(発芽から77日目)
直径はそれほど大きくなっていませんが、その分高さ方向に成長しています。
サラダ菜は緩く結球するレタスですが、今回の栽培ではその気配はありません。葉は丸まらずに斜め上に出てくるだけです。
根の状態を確認しましょう。多くもなく少なくもなく、地上部に見合った根の量だと思います。小さい容器の中でも根腐れせずに、健康な根を維持しています。
液肥の消費量はゆっくりと多くなり、ここ数日間は10gを超える傾向が見られました。
11月17日あたりから消費量が停滞したのは、季節が冬になり気温が低下したためだと思います。もし冬→春にかけての栽培したならば、消費量が右肩上がりとなるでしょう。
株元の葉を裏返すと、以前にはなかった茶色い小さな点がいくつかありました。最近下葉の枯れるスピードが早くなっているので、葉の成長ピークが過ぎるとこの斑点ができるのかもしれません。結球も期待できないことですし、収穫することにします。
収穫はキッチンバサミで株元を切って完了です。大きさは手が隠れるくらいのサイズとなりました。
市販のサラダ菜と比べると、葉の幅が狭くて厚みもありません。また葉の部分部分に「縮み」が見られます。これはピンク色のLED光で育てた影響なのか、それとも光の照射時間の影響なのか様々な要因があって、特定するのは難しそうです。
収穫したサラダ菜を計量すると、
サラダ菜A:31g
サラダ菜B:36g
でした。液肥の消費量はサラダ菜Aの方が多かったのですが、重量ではサラダ菜Bの方が重かったです。
市販のサラダ菜は1玉120g前後という事を考えると、収穫したサラダ菜はあまりにも軽く、1/4の重さしかありません。通りで持った感じがスカスカな訳です。
それでは試食してみましょう。葉が薄いだけあって口に残ることはなく、食べやすいです。味は薄めのレタスで、思っていたよりも風味が少なかったです。
収穫したサラダ菜は肉料理の付け合せとして頂きました。癖が少ないので口直しにちょうど良く、形と量を除けば十分に食べられるサラダ菜となりました。
まとめ
それでは栽培のまとめになります。
- 1日あたり12時間LEDの光を当ててサラダ菜を栽培しました。24時間当てた際には徒長してしまいましたが、今回は全く起きることなく収穫できました。
- 24時間照射の時と比べると成長は遅く、発芽から収穫までに約80日かかりました。気温の影響もあるかと思いますが、もう少し早くなると栽培しやすいと思いました。
- 市販のサラダ菜と比べると葉の幅が狭く、また厚みも薄かったです。もしかしたら使用したLEDライトでは光量が少なく、十分に成長できなかったのかもしれません。
今回はLEDの照射時間を24時間→12時間に変更して栽培を行いました。その結果徒長は起こらず、葉が詰まったまま成長してくれました。しかし収穫できたサラダ菜はあまりにも軽くスカスカだったので、次回は1玉100gを超えられるような栽培条件を見つけたいと思います。
もしこの記事が皆様の室内栽培のお役に立てば幸いです。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。