これまで野菜を水耕栽培する時には、プラスチック製のカップに培地を入れて育てていました。この方法を使うと、水菜やチンゲンサイのような葉物野菜を手軽に育てることができます。しかし欠点として「株元が太くなる」野菜、例えばカブなどは大きく育てられません。
これは以前育てたカブの写真です。プラカップが邪魔をして、口径以上に育てれらませんでした。またキャベツのような、丸く大きくなる野菜も同じ理由によりできません。しかし先日、水道管の継ぎ手を利用した栽培装置を作成しました。この装置の特徴は、育てる野菜の太さに制限がなくなることです。そのため今まで育てられなかった野菜もできる気がしてきました。
ある日、会社帰りに100円ショプに行くと、この試みに適した野菜の種を発見しました。それは「ミニ白菜」です。普通サイズの白菜ですと、大きく重くなるので栽培装置が壊れてしまうかもしれません。しかしこの白菜は小さいので、B5用紙サイズの栽培装置でも育てられそうです。また種蒔きから60日くらいで収穫できるという、短期間栽培なことにも惹かれました。
それでは今までとは少し趣のことなる野菜、ミニ白菜を水耕栽培で育ててみましょう。はたしてちゃんと結球したものを収穫できるのか、実際に確かめてみます。
- ミニ白菜の種
- 栽培装置
- 液体肥料
- 2019年4月28日 種蒔き
- 2019年5月1日 発芽(発芽から0日目)
- 2019年5月2日 1回目の間引き(発芽から1日目)
- 2019年5月6日 本葉が出る(発芽から5日目)
- 2019年5月9日 2回目の間引(発芽から8日目)
- 2019年5月12日 本葉の成長(発芽から11日目)
- 2019年5月15日 まだ幼苗(発芽から14日目)
- 2019年5月19日 巨大化(発芽から18日目)
- 2019年5月25日 縦方向に育つ(発芽から24日目)
- 2019年6月8日 ハダニと心腐れ病?(発芽から38日目)
- 2019年6月16日 根腐れ&食害(発芽から46日目)
- 2019年6月23日 食害により撤収(発芽から53日目)
- まとめ
ミニ白菜の種
ミニ白菜はアブラナ科の野菜なので、大根やからし菜と同じ外見をしています。大きさは1.5mmほどの球形で、色は茶色です。種袋の裏を見ると、品種は「YOYO」とのことです。
栽培装置
栽培装置はこの記事《水道管の継ぎ手を利用した水耕栽培装置。これで培地のコストが少なくなるはずです》を参考にして作りました。装置のスペース的には最大6株まで育てられますが、白菜の葉が広がることを考えて半分の3株としました。
液体肥料
液体肥料には、微粉ハイポネックスを水道水で1000倍に希釈したものを使用します。他のメーカーのものと比べて、手に入りやすいのと液肥1Lあたりの金額が安いのが気に入っています。
2019年4月28日 種蒔き
培地であるバーミキュライトを液体肥料で湿潤させます。ここにミニ白菜の種を4~5個置き、厚さ数mmとなるように覆土をしました。また液体肥料は、容器の底から5cmくらいまで入れておきます。地上に葉が見えてくるまでは、この状態で室内に置いておきます。
2019年5月1日 発芽(発芽から0日目)
昨日の夜、培地が盛り上がりクリーム色の葉が見えました。そのため栽培装置を屋外に出したところ、本日の昼頃に双葉が開きました。今日を「発芽から0日目」として、栽培の記録をしていきます。
培地を容器ギリギリまで入れてしまったので、葉に押されてあふれ出てしまいました。次からはもう少し量を減らそうと思います。
白菜はアブラナ科ですが、この科の野菜は青虫の攻撃がすごいです。いつの間にか卵を産み付けて、またたく間に葉を穴だらけにしてしまいます。
これを防ぐために、アルミ線で支柱を立てて防虫ネットを掛けました。ミニ白菜がどのくらいまで大きくなるのか分かりませんが、できるだけこの中で育てていきたいと思っています。
2019年5月2日 1回目の間引き(発芽から1日目)
種を5個くらい蒔きましたが、まだ数が多かったらしく培地の上が窮屈となっています。そこで発芽してから1日しか経過していませんが、間引きを行いたいと思います。
いつものように小さいハサミを使って、成長の遅いものや葉が欠損しているものを取り除きます。また元気な株でも混み合っているところは、空間が開くように間引きました。
1つの継ぎ手あたり、3株を残して作業を終わります。次の間引きは、本葉が数枚出てきた頃に行う予定です。
2019年5月6日 本葉が出る(発芽から5日目)
双葉だけだった白菜から本葉が出てきました。よく見ると本葉には、毛みたいなものが生えているようです。今週は天気が良いので、この葉もすぐに大きく育ちそうですね。
2019年5月9日 2回目の間引(発芽から8日目)
前回の報告から3日しか経過していませんが、2回目の間引をしたいと思います。
今回の栽培では、水道管の継ぎ手を利用して白菜を育てています。この方法は使う培地の量を最小限にできるメリットがあります。しかし一方で、培地の面積が狭いため、野菜が少し大きくなるとすぐに一杯となってしまうのです。
本当は本葉が3枚くらいになったら間引きをしたかったのですが…まあ仕方ないです。間引きましょう。
成長度合いが一番良いものを選び、それ以外を取り除きました。あとはしっかりと育ってくれることを祈るだけです。
2019年5月12日 本葉の成長(発芽から11日目)
間引きをしてから成長が早くなったような気がします。いつの間にか2枚目の本葉が出てきていました。
さすがにまだ白菜っぽい感じではないですね。いつ頃から葉が巻き始めるのか気になります。
2019年5月15日 まだ幼苗(発芽から14日目)
葉は前回よりも少し大きくなり、順調に育っていることが分かります。しかし横から見るとそれほど高さはなく、まだ幼苗といった感じです。
2019年5月19日 巨大化(発芽から18日目)
白菜にとって具合の良い気候なのか、ここ数日で一気に育ちました。まさに巨大化と言って良いくらいです。
ところで先日行った間引では、それぞれの継ぎ手の中で一番成長の良いものを選びました。しかし右奥の継ぎ手ではハズレを引いてしまったらしく、他の2つと比べて明らかに小さいです。これからの伸びに期待しましょう。
新しい葉は中心部分から渦巻きのように生えてきています。予定ではあと1ヶ月強で収穫なので、これからさらに葉が出てくるはずです。
2019年5月25日 縦方向に育つ(発芽から24日目)
これまで出てきた葉は、横に広がるように蓋と平行に伸びていました。しかし今生えてきている葉は縦方向に育っています。
株元を見ると、茎が立ち上がっているのが分かるでしょうか。これから結球していくと思うとワクワクしますね。
天気予報を見ると、今後数日間は気温が30℃近くになるとのことです。液肥を吸うスピードが一層早くなりそうです。
2019年6月8日 ハダニと心腐れ病?(発芽から38日目)
葉の数も増えてきたので、だんだんと白菜らしい形となってきました。予想以上に横に広がってきたので、今は支柱と防虫ネットを外して育てています。
ネットの保護がなくなった頃から、葉の一部分が黄色くなり始めました。
裏面を確認すると、灰色っぽく煤けています。その周辺には体調1mmよりも小さい赤い虫、おそらくハダニだと思いますが、数匹動いていました。病症の面積の割には数が少ないので、先日の雨で流れてしまったのかもしれません。経過を観察していきたいと思います。
中心部の葉が立ち上がり、結球が始まりました。しかし良く見ると、葉の縁3mmほどが茶色に変色しています。どうも「心腐れ病」になっているようです。
この病気は肥料の割合や天候によって発生するらしいので、今の時点では対策が難しいです。かと言って何もしない訳にはいかないので、とりあえず液肥を全交換しました。無事に収穫できるか不安になってきています。
2019年6月16日 根腐れ&食害(発芽から46日目)
発芽から40日が過ぎ、そろそろ栽培後期に入ってきました。しかしミニ白菜は思ったよりも育っていません。
よく見ると、黄色く枯れかけている下葉が多数あります。確かに古くなった葉は新陳代謝でなくなりますが、それにしても数が多いです。
原因を探るべく栽培装置の蓋を開けたところ、根が濃い茶緑色になっているではありませんか!通常の根は白色、または藻が生えるため緑色となっています。この色は異常で、さらに匂いも少し生臭いです。
おそらく3株とも「根腐れ」を起こしてしまい、成長が鈍ったり、葉が枯れたのでしょう。ここから回復するか分かりませんが、根を水で洗って、新しい液肥に交換しました。部分的にですが白い根はありますので、これらが伸びてくれればと思います。
実はこの根腐れよりも、もっと重大な事件が起きているのです。それは結球した部分を「ネズミ」に食べられてしまったのです…
被害は1株のみですが、味を覚えたネズミがまたやって来るかもしれません。そこで100円ショップで売っていた、ミントの香りでネズミを近付けなくする薬を設置しました。しばらくはこれで様子見です。
それにしても、ここは2階のベランダなのにネズミが上がってくるとは驚きです。禁忌剤でいなくなってくれる事を祈るばかりです。
2019年6月23日 食害により撤収(発芽から53日目)
先週ネズミの食害にあった白菜は、さらにボロボロの状態になってしまいました。1株のみならず2株目もやられており、こうなると3株目も時間の問題でしょう。
外側の葉以外は全て食べられ、芯のみが残されています。毎日観察していたのですが、悲しいことに日に日に小さくなっていきました。
やはりネズミは「ここに餌があるぞ」と学習してしまったようです。設置したネズミ禁忌剤の効果は見られず、毎夜普通に来て普通に帰っていきます。
食害のせいで忘れていましたが、根腐れは少し回復し、白い根が生えてきました。しかし大部分は黒っぽく、完全に回復するにはかなりの時間がかかりそうです。
残念ですが、今回の栽培はネズミの被害と根腐れのために栽培を中止します。美味しい白菜を収穫できるかと思いきや、そのほとんどをネズミにあげてしまいました。
まとめ
ネズミの被害が甚大でしたが根腐れも起きていましたので、実際のところミニ白菜は収穫できなかったと思います。根腐れの原因は分かりませんが、次に育てる時は液肥の水面を下げ、空気と根が触れる時間を長くしたいと思います。
それではみなさまの野菜がネズミに食べられないことを祈って終わりにします。ここまで読んで頂き、ありがとうございました。