水道管の継ぎ手でカブの栽培実験。成功すれば好きな大きさで収穫できます

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 昨年の秋、プラスチック製カップの中で赤カブを育てました(参考記事:カブの一種「もののすけ」を水耕栽培。物珍しさに惹かれたので育ててみます)。本当はもっと大きい実にしたかったのですが、カップと言う障壁がある以上、その口径以上に育てることはできませんでした。

 しかし収穫前の株を良く観察すると、実の大半は地上に出ているではありませんか。もしかしたら大根などと違って、カブは地上部分の茎が太くなるのかもしれません。それならば、地上部に障害物がない「水道管の継ぎ手」を利用した栽培装置が使える可能性があります。 

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 これが実際の継ぎ手になります。ここに培地であるバーミキュライトを詰めて、栽培装置にセットします。もし地面よりも上で実が大きくなるのであれば、これを使うことにより自分の好きな大きさで収穫できます。果たして上手くいくかは分かりませんが、とりあえず継ぎ手でカブの栽培実験をしてみましょう。 

 

 

 

 

カブの種

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 実験栽培で使用するカブは「もものすけ」と呼ばれる品種です。この品種を昨年育てましたが非常に美味しかったので、今回使うことに決めました。

 

栽培装置

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 使用する栽培装置は、この記事《水道管の継ぎ手を利用した水耕栽培装置。これで培地のコストが少なくなるはずです》を参考にして組み立てました。

 容器の四隅から伸びているのは、防虫ネットを掛けるための支柱です。アオムシなどの害虫から守るために、支柱を超える大きさになるまではネットの中で育てる予定です。

 

液体肥料

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 液体肥料には、微粉ハイポネックスを水道水で1000倍に希釈したものを使用します。以前は900円台で買えていたのですが、最近は1000円を少し超える値段となってしまいました。

 

2019年8月24日 種蒔き

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 水道管の継ぎ手にバーミキュライトを入れ、そこにカブの種を4つ蒔きました。栽培装置は明るい日陰に置き、発芽するのを待ちます。

 

2019年8月27日 発芽(発芽から0日目)

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 カブの種は無事に芽が出ました。と言いたいところですが、種を少し深く蒔いてしまったせいか発芽が揃っていません。6本の継ぎ手中、2本がまだ変化なしです。ただ、バーミキュライトを軽く掘り返すと双葉が見えましたので、明日あたりには地上に出てくると思います。微妙なタイミングですが、本日を「発芽から0日目」として記録を付けていきます。

 

2019年9月1日 双葉の形が変(発芽から5日目)

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 それぞれの種は発芽したのですが、あまり双葉の形が良くありません。

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 きれいに開かずに波打っているものや、

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 途中で腐ってしまったものもあります。やはり深めに蒔いてしまった影響でしょうか?次回からは覆土を薄くしようと思います。

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 あまりにも形が変なものは間引きをし、1つの継ぎ手あたり1〜2株を残すようにしました。本葉がちゃんと成長してくれれば良いのですが、どうなるでしょうか…

 

2019年9月5日 早めの間引き(発芽から9日目)

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 最近は曇りの日が多く、それに伴ってかカブの成長もゆっくりです。本葉は少し成長して、双葉と同じくらいの大きさになってきました。

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 前回間引きをして、状態の良い株を残しました。それでも中には左側の株のように、成長が芳しくないものがいくつか見られます。そこで少し早いですが2回目の間引きを行い、それぞれの継ぎ手に1株ずつとなるようにしました。

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 しかし1つだけ例外があります。左の継ぎ手では、他の継ぎ手と比べてあまりにも成長が劣っています。葉の形もおかしいので、これからの成長はあまり期待できないでしょう。
 この株は指で引っこ抜き、新たに種を蒔きなおしました。もちろん過去の失敗から学び、今回の覆土は薄くしています。少し収穫時期がずれてしまいますが、まだ栽培は始まったばかり。十分に挽回できる時間はあります。

 

2019年9月14日 順調に成長(発芽から18日目)

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 一週間ほど前に季節外れの真夏のような直射日光を浴びてしまい、葉の一部が焼けてしまいました。幸いなことにその葉は枯れるまでには至らず、ダメージはありますが順調に成長しています。
 前回種を蒔き直した左上の継ぎ手ですが、なぜかどれも発芽しませんでした。そこで再々種蒔きをしたところ発芽しました。何がダメだったのでしょうか?

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 個別に見ると、本葉も大きくなり、しっかりとした苗となりつつあります。昨年も同じ時期に同じ品種を育てましたが、今年は成長が遅めです。ここからスピードを上げて成長してほしいものです。

 

2019年9月22日 茎が太りだす(発芽から26日目)

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 思っていたよりも成長度合いがバラバラですが、とりあえずは本葉が成長してきました。昨年の同じ時に育てた記録を見ると、今年の方が育ちが遅いようです。違いと言えば継ぎ手を使っているか否かです。もしかして継ぎ手式は成長が遅いのでしょうか?水菜を使った実験では違いはなかったので、再度検討したいですね。

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 株元はようやく太くなってきました。このペースで育つと収穫は11月中旬になりそうです。

 

2019年9月28日 成長速度が早くなる(発芽から32日目)

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 暑すぎる気候が過ぎ去ったためか、株はスピードを上げて成長しています。
 液肥層を見たところ、雨水が入り込み満杯となっていました。そこでこの薄まった液肥は全て捨て、新しい液肥を補充しておきました。

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 最初に出てきた本葉は役目を終え、黄色くなって落ちかけています。5株全てが同じタイミングでこうなるとは不思議なものです。

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 株元の部分は、指先ほどの太さまで成長しました。あとは継ぎ手の『上』で大きくなれば実験は成功です。もしなるのであれば、種袋の写真くらいまで大きくしたいものです。

 

2019年10月5日 ハダニの襲来(発芽から39日目)

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 葉が防虫ネットまで達したので、ネットと支柱を撤去しました。遠くから見ても株元の膨らみが分かるようになりましたね。

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 カブは直径2cmを少し超えてきました。

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 葉の色が黄色っぽくなっていたので葉の裏を確認すると、ハダニがたくさんいました。そこでハダニの防除薬である『アーリーセーフ』を水道水で500倍に希釈し、ハダニに直接たっぷりと散布しておきました。
 この薬は安全性が高い代わりに、何回か撒かないと数を減らせません。手間がかかりますが、大きなカブを採るために頑張りたいと思います。

 

2019年10月13日 良い具合に太る (発芽から47日目)

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 太ってきたカブは、培地であるバーミキュライトを外へ外へと押し出しています。良い具合に継ぎ手の上で育っていますね。

 

2019年10月26日 継ぎ手の太さを超える (発芽から60日目)

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 今日は晴れた暖かい日だったので、葉がしおれ気味です。昼間はこんな感じですが、夕方あたりになると復活してきます。

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 実の部分は更に太り、継ぎ手の直径を超えています。このペースならば、あと2~3週間ほどで収穫できるでしょう。

 

2019年11月2日 実が割れる (発芽から67日目)

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 発芽から約70日となり、ようやくカブらしい姿となってきました。ハダニは一向に減る気配がなく、いつまでたっても葉の裏にいます。幸いにも大きな被害にはなっていないので、このまま様子を見ます。

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 ここ数日、アオムシの食害が目立ってきました。そこで「ゼンターリ顆粒水和剤」を1000倍に希釈して散布しておきました。これで退治できるでしょう。

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 一番大きな株は、直径5cmとなっています。この大きさではまだ小カブですので、もっと大きくなってほしいです。
 写真をよく見ると左側奥のカブに、幅広の白い横線が入っているような気がします。何かあったのでしょうか?

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 近付いてみると、まさかの実割れを起こしているではありませんか!実はこの株、継ぎ手の中で育っていたものなのです。太った結果、圧力に負けて裂けてしまったようです。
 原因としては、種を深い位置に蒔いてしまったことです。もしこの形で育てるならば、地表に近いところに種を置いた方が良さそうです。

 

2019年11月16日 収穫 (発芽から81日目)

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 赤カブの栽培も70日が過ぎ、本来であればもう収穫できているはずです。しかし今回は調子が悪く、実の肥大速度が上がりません。継ぎ手の影響かどうかは何とも言えませんが、概ね実験結果が分かったので収穫します。と、その前に全体を見ていきましょう。

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 実の成長だけではなく、何となく葉の状態も悪いです。新葉が出てくるよりも先に、生えている葉が枯れていっています。

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 完全に枯れ落ちた葉は淡い赤色です。これはこれで綺麗です。

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 おそらく株の不調の原因は根です。全体的に暗緑色となっており、本来の白い部分はありませんでした。根が傷んだことにより栄養が取り込めず、生育不良になったと思われます。

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 1番大きくなっている実の直径は5.5~6cmでした。区分としては中カブの下くらいのサイズです。目標は10cmでしたので、まだまだ成長が足りませんでしたね。

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 実割れが起きた例の株は、そのままの状態で成長しています。傷口が大きく開き、まるでパックマンのようです。

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 それでは継ぎ手から外して収穫をしましょう。特に力を入れなくてもスポット抜けました。

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 6株全てを抜き取り、これにて収穫完了です。写真に収めるとバランスが良いと言うか、実の小ささはあまり気になりませんね。

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 継ぎ手で育てて分かったダメな点としては、「皮の汚さ」が挙げられます。
 常に外気と日光に晒されているので、表面がひび割れたり、ザラザラしている部分ができてしまいました。
 育てた赤カブは、皮の赤色と内部の白色を見て楽しむ品種です。ここまで皮が汚いと、調理する前に剥かなくてはなりません。見た目が悪いことが、継ぎ手栽培の欠点と言えるでしょう。

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 ところで、実が割れてしまったカブはどうなっていたかと言うと…継ぎ手の形になっていました。ちゃんとネジの部分も再現されており、野菜を「ねじりながら」収穫した始めての経験となりました。
 

まとめ

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 今回の栽培で分かったのは、カブを継ぎ手の上で育てるのは「可能である」ことです。この方法で育てる際には、種を浅いところで発芽させるのが重要です。深く植えてしまうと例のカブのように、継ぎ手の中で成長してしまいます。

 欠点としては、どうしても皮が汚くなるので、まるごと調理するカブには適していません。普通の白カブのような、皮を剥いて食べる品種が向いていると思います。

 栽培した赤カブは成長が芳しくありませんでしたが、おおよその具合はつかめました。次回育てる時も継ぎ手を使って、もう少し上手く育てたいと思います。

 皆さまがこの記事を参考にして、さらに面白い栽培方法を見つけてくれたら嬉しいです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。