野菜のカタログを見てきた時、非常に気になる記事を見つけました。それは「カブのトレイ栽培」です。この栽培方法はプラグトレイ(セルトレイ)に土を入れて、それぞれのセルでカブを育てるものです。記事の写真ではかなりの密植え状態となっており、この環境でも太るのかと驚きました。
ネットで詳しい育て方を調べると、初期は培養土自体の栄養分で大きくし、それが切れたら液肥を与えて収穫まで待つとのことでした。ふと思ったのが、この方法は水耕栽培と近いのではないでしょうか?培養土をバーミキュライトに置き換え、最初から液肥を与えれば同じように育ちそうです。
家の物置きを見ると、数年前に使ったプラグトレイがたまたま取ってありました。そこで今回の記事では、水耕栽培を応用したカブのトレイ栽培にチャレンジしたいと思います。収穫は真夏になりますので、葉焼けに注意しつつ育てていきます。それでは始めましょう。
- 液体肥料
- 2020年6月27日 種蒔き
- 2020年7月1日 発芽(発芽から0日目)
- 2020年7月4日 間引き(発芽から3日目)
- 2020年7月11日 猛スピードで成長中(発芽から10日目)
- 2020年7月18日 曇り空でも成長(発芽から17日目)
- 2020年7月19日 直射日光対策(発芽から18日目)
- 2020年7月25日 順調な肥大化(発芽から24日目)
- 2020年8月1日 収穫間近(発芽から31日目)
- 2020年8月8日 収穫 (発芽から39日目)
- まとめ
液体肥料
液体肥料には、微粉ハイポネックスを水道水で1000倍に希釈したものを使用します。
2020年6月27日 種蒔き
今回のトレイ栽培で使うのは「プラグトレイ#72」です。このトレイ1枚には72個のセルがありますが、今回は大きさの関係で6×4となるように切りました。ちなみに1セルの大きさは3.5cm×3.5cmです。
プラグトレイだけだと保水量が少なく、35℃にもなる夏の暑さでは水涸れが起きてしまうでしょう。そこで100円ショップで購入した水切りトレイとカゴを用意し、液肥槽として使います。
それでは種蒔き作業に入りましょう。まずは底に土留めの不織布を入れます。
続いてバーミキュライトを詰め、液肥で湿潤させます。
育てるカブは「時なし小カブ(品種:新金町かぶ)」です。この品種は根の直径が3~8cmで収穫できるので、今回の栽培にはぴったりです。
種を蒔く前にペットボトルの蓋を培地に押し付けて、深さ3mmほどのくぼみをつけます。
このくぼみに種を4個ずつ置き、最後に覆土をします。
これで種蒔きの完了です。屋外に出して発芽するのを待ちます。
2020年7月1日 発芽(発芽から0日目)
6~7割が発芽をしましたので、本日を「発芽から0日目」として記録していきます。
これから育てていくにあたり、栽培装置を少し改良しました。具体的には、藻の増殖を抑えるための遮光です。
写真では分かりにくいので、断面図をイラストにしました。
プラグトレイと水切りトレイの間には黒色のビニール袋を詰めて、液肥に直射日光が当たらないようにしています。また側面には黒色の布を巻き、さらに底面には黒色のトレイを敷いて光の侵入と反射を防ぎます。緩い遮光なので光が入る隙間は多々ありますが、あくまでも藻の増殖スピードを抑えるための処置です。
なぜ藻を増やしたくないかと言うと、水切りトレイの掃除が面倒だからです。特にメッシュの隙間に藻が入り込むと、スポンジでは取りきれません。そこで光を遮って、できるだけ藻の増える面積を狭くします。
2020年7月4日 間引き(発芽から3日目)
発芽から3日が経過すると葉も大きくなり、緑の面積が広くなってきました。少々早い気がしますが、間引きを行いましょう。1セル1株となるように株を減らします。
間引く際に指で摘んで引っこ抜くと、隣の株まで抜けてしまう恐れがあります。そのため小さなハサミを使って切る方法がおすすめです。
これで間引きは完了です。カブはあまりにも強い夏の日差しに当たると、葉が枯れてしまいます。そこで今回は半日陰の環境で育てていきます。
2020年7月11日 猛スピードで成長中(発芽から10日目)
一週間前の写真と比べると、驚異的な早さで成長しています。本葉が大きくなり、だんだんとプラグトレイが見えなくなってきました。
水切りカゴを持ち上げると、根が結構な長さに伸びているのが分かります。
この株は茎の肥大化がスタートしたようです。予想よりも早く育っているので、もしかしたら30日目くらいには収穫できるかもしれませんね。
2020年7月18日 曇り空でも成長(発芽から17日目)
梅雨の曇り空が続き、太陽はほぼ顔を見せていません。その中でも小カブは新しい葉を出しています。
葉が大きくなってきたので、いつアオムシによる食害が発生してもおかしくはありません。そこでアオムシの退治薬であるゼンターリ顆粒水和剤(1000倍希釈・展着剤入り)を散布しておきました。当面の間は被害は抑えられるでしょう。
最初に出た双葉が役目を終えて枯れてきました。この葉はピンセットを使って、できるだけ取り除いておきます。
今のところ、8割ほどの株の根本が膨らんできています。来週にはもっと大きくなっているはずなので、とても楽しみです。
2020年7月19日 直射日光対策(発芽から18日目)
本日は久しぶりの晴れです。その太陽の下に小カブを置いていたら、暑さのためか葉が萎れてしまいました。一時的なものだとは思いますが、念のため直射日光を和らげる対策をしましょう。
光の透過率が90%である防虫ネットを柵に設置しました。これで少し柔らかい光になります。
天気予報を見ると晴れるのは本日のみで、明日からは再び雨または曇りです。外からベランダを見るとあまり格好が良くないので、太陽が傾く夕方にはネットを撤去しようと思います。私の環境で夏にカブを育てるには、ひと工夫必要になりそうです。
2020年7月25日 順調な肥大化(発芽から24日目)
小カブは葉が茂り、上から見るとプラグトレイが見えなくなるまで成長しました。
株元は順調に太ってきており、現在の直径は2cm程度です。このスピードで育てば1~2週間後には収穫できるかもしれませんね。
2020年8月1日 収穫間近(発芽から31日目)
梅雨が開け、夏の日差しになってきました。写真の通り、直射日光を浴びたカブはシナシナです。困ったことに強すぎる光を浴びたせいで葉が縮れる、日焼けの症状が出てきています。
前々回では防虫ネットを使って、お手軽な日差し対策をしました。しかしこれから迎える夏に対して、もっと本格的に行う必要があります。そこでベランダに遮光率22%の寒冷紗を取り付けて、さらに栽培装置を棚の下の方に移動しました。写真で言うと、右側の棚の一番下がカブになります。それでも日光が当たることによる暑さで葉が萎びていますが、葉焼けをするまではいかないはずです。
株元は大きくなっていますが、収穫するにはまだ早い3cm弱です。次の週末には採れるくらいの大きさになっていると思います。
2020年8月8日 収穫 (発芽から39日目)
24株から葉がどんどん出てきており、密林状態になっています。
1週間前は3cmに届かなかった実も、今は超えているものが多いです。
ただし、中には写真中央のように成長がかなり遅いものもあります。トレイの中の方にあるので、もしかして日当たりが悪かったのでしょうか?
水切りカゴから出ている根は、思っていたよりも少なかったです。色はクリーム色をしています。最初は白色ですが栽培期間が長くなるにつれ、この色に変わるようです。
今まではほぼ害虫の被害はありませんでした。しかし先日あたりからアブラムシがちらほらと増え始めました。このカブは葉も利用したいので、アブラムシが増えてしまっては困ります。小さい実もありますが、全て収穫してしまいましょう。
茎を束ねて、上方向に引き抜きます。抜くのは簡単ですが、密植えなので葉同士が絡まり、それを解くのが大変でした。
何はともあれ、最初の1株が採れました。このサイズですと「小カブ」になりますね。
カブの栽培には何回か挑戦していますが、どうしても肌が綺麗になりません。今回も一部にひび割れができてしまいました。いつか雪のように白いカブを育てたいです。この調子で他のカブも採っていきましょう。
全ての株を採り終えました。こうして写真に収めると結構な量になっています。
1番大きなカブと小さなカブを並べました。大きい方は直径3.5cm、小さい方は1cmでした。小さいのは皮をむくと更に小さくなるので、このままの状態で漬物にしようと思います。
まとめ
それでは栽培のまとめになります。
- トレイ栽培で直径3cmの小カブを多数収穫することができました。しかし1cm足らずの株もあり、均等な成長はしませんでした。
- 72セルのプラグトレイでは隣との距離が近いので、株の直径が4cm以内で収穫した方が良いです。これ以上にしたい場合は、セルのサイズがもっと大きいプラグトレイを使う必要があります。
- 収穫したカブの味は「カブ」でした。小カブの状態ですので、茎や葉は柔らかく、そのまま浅漬けにしても筋は感じられませんでした。
今回は初めてのトレイ栽培でしたので小さめで収穫し、栽培の流れを確認しました。この方法を使えば、簡単にいろいろな野菜の栽培ができそうですね。もし次回カブを育てる時がきたならば、その時はもっと大きく、そして綺麗な肌のカブを採りたいと思います。
この記事がトレイ栽培のお役に立てれば幸いです。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。