水耕栽培で「つるなしインゲン」に挑戦します。枝豆栽培の応用で育てられるでしょうか?

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 2年前に水耕栽培で枝豆を育てました(参考記事:枝豆の水耕栽培 第4回目。今年最後の栽培で大量収穫を狙います)。試行錯誤の結果、種は順調に育ち、最終的には一人で食べるには多いほどのサヤを収穫できたのです。その時に気になったのは「枝豆以外のマメ科でも同じように育てられるのだろうか?」という事です。ぱっと思い付くマメ科の野菜には、インゲンがあります。なぜならば、旬になると我が家の食卓に高頻度で上がる食材だからです。

 インゲンについて調べると、性質で2種類に分けられるそうです。ネットを張って育てる「ツルあり種」と、直立する「ツルなし種」です。私の使っている水耕栽培装置は、頑丈な支柱を立てることができません。そのため、育てるならばツルなし種の方が適任でしょう。運が良いことに、ツルなしインゲンの種は近所の100円ショップに売っていたので、早速購入してきました。

 今回はツルなしインゲンを種から水耕栽培してみます。同じマメ科ですから、枝豆の栽培技術を応用すれば育てられるはずです。まずは培地の水分量を調整して発芽を成功させ、病気に対しては銅水和剤の散布で対応しようと思います。それでは種蒔きを始めましょう。

 

 

 

 

インゲンの種 

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 種の長さは1cmほどで、薬剤処理がされているためピンク色となっています。品種は「アポロ」です。特徴は以下のようになります。

  • ツルなし、すじなし、丸莢の早生豊産種
  • 莢の長さは15cm程度、鮮緑で曲がりが少なく秀品率が高い
  • 草丈は50cm程度、播種後60日くらいから収穫

 

栽培装置

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 栽培装置はこの記事《「黒色ビニール袋」を使って遮光仕様の水耕栽培装置を作製。液温上昇と藻の増殖を防ぎます 》を参考にして組み立てました。

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 追加した機能としては、お茶パックの底に穴を開けて化学繊維でできた布を通したことです。この布を通してカップ内の培地に液肥を供給します。

 

液体肥料

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 液体肥料には、微粉ハイポネックスを水道水で1000倍に希釈したものを使用します。

 

2021年4月24日 種蒔き

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 種は1カップあたり3つを蒔き、厚さ1cmくらいとなるように覆土を行いました。

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 以前、枝豆を育てた時、過湿により発芽が失敗したことがあります。インゲンも同じマメ科なので、もしかしたら同じことが起きるかもしれません。そこで液肥は給水布が軽く浸る程度までとし、過剰な水分が培地に含まれないようにしました。
 この栽培装置を南向きの2階のベランダに置いて、発芽するのを待ちます。もし夜間の気温が10℃を下回りそうな日があるならば、その時は室内には取り込む予定です。

 

2021年5月2日 発芽(発芽から0日目)

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 全てのカップで初生葉が開きましたので、本日を「発芽から0日目」として記録をしていきます。蒔いた種の数は9個で、発芽したものは4個。あまり良い結果ではありませんでした。もう少し気温が高い方が発芽率が上がるかもしれません。

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 蓋を開けて栽培装置の中を覗くと、根がお茶パックを突き抜けているのが分かります。このタイミングで液肥を液肥槽に入れます。ただし液面はカップの底に付かない高さとしました。それでは本葉が出るのを待ちましょう。

 

2021年5月4日 多少のトラブル(発芽から2日目)

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 インゲンは多少のトラブルを抱えつつ成長しています。

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 1つ目のトラブルとしては、初生葉が綺麗に展開している株がある一方で、

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切れたり、穴の空いている株があることです。これは虫に食べられたのではなく、発芽当初からこの状態です。どうやら培地の中にいる時に、何かがあったみたいですね。多分、大丈夫だと思うのでこのまま成長するのを待ちます。

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 2つ目のトラブルは、初生葉が縮んたまま開かない株があることです。発芽に失敗しているようなので、ハサミで株元を切って間引きます。

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 間引きの結果、1カップにつき1株となりました。合計3株で栽培を続けていきます。

 

2021年5月7日 本葉が見える(発芽から5日目)

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 この数日間で初生葉が1周りほど大きくなりました。貯めていた栄養を出し切ったのか、子葉は緑→黄色になり今にも取れそうになっています。

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 もう発芽は終わったと思っていたら、ひょっこりと1つ出てきました。この株は特に問題なさそうなので、間引かずに4株目として育てていきます。

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 早い株では、初生葉の間から1セット目の本葉が見えています。明日からは最高気温が25℃を超える日が続くので、一気に成長しそうですね。

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 ちなみに根はお茶パックを抜けた先で分岐を繰り返しています。これから地上部が成長するにつれ、根の量も多くなっていくはずです。成長を見守りましょう。

 

2021年5月15日 本葉が開く(発芽から13日目)

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 全体的に葉が大きくなり、前回と比べても2~3倍のサイズになっています。

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 出てきた本葉は急激に成長し、今は広げた手が隠れるほどです。きっと盛んに光合成をしていることでしょう。

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 根の量は凄いことになっています。まるで滝の様に落ちています。以前、同じマメ科の枝豆を育てた時はもっと少なったです。今後の地上部の成長に期待できそうですね。

 

2021年5月22日 脇芽が出る(発芽から19日目)

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 特に病気にかかる気配もなく、順調に成長しています。現在の丈は15~20cmです。もう少し大きくなったら、転倒防止のために支柱に固定しようと思っています。

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 下の方からは脇芽が伸びつつあり、さらに先端には蕾らしきものが見えてきました。つるなしインゲンは種まき後40~50日で収穫となるので、もう開花の準備が始まっているのかもしれないですね。

 

2021年5月27日 膨らむ蕾(発芽から24日目)

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 蕾は膨らんできて、さらに白っぽく変化してきました。もうすぐ咲きそうです。

 

2021年5月29日 開花(発芽から26日目)

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 インゲンは縦方向への成長が少なくなりました。その代わりに1枚1枚の葉が大きくなっています。

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 蕾は開花しました。白色の小さな花です。他の枝には蕾がまだたくさんあるので、これから徐々に咲いてくるでしょう。

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 先日、液肥の補充をしていた際に、不注意によって枝を折ってしまいました。しかし完全に別れたのではなく、半分繋がっています。そこで切れ込みを入れたストローを取り付けて固定しました。今のところ葉は枯れていないので、もしかしたら治るかもしれないです。

 

2021年6月5日 次々と咲く花(発芽から32日目)

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 茎や葉は横に広がりながら成長しています。そのせいで写真に収められなくなってきました。ある意味、良い傾向ですね。

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 前回、半分折れてしまった茎を紹介しましたが、破断部が盛り上がって見事に繋がりました。もうストローのギブスは必要なさそうなので、外しておきます。

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 下の方にある葉が黄色くなってきました。これは病気ではなく、新陳代謝だと思います。枯れる前に取り去り、株の風通しを良くしておきましょう。

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 茎は分岐を繰り返して、現在このようになっています。

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 そして茎の先端にはまだまだ多くの花や蕾があります。もしこれが全部サヤになったら、大量のインゲンが採れそうですね。

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 一番最初にできたヤサは、徐々に伸びています。調べると、花が咲いてから2週間ほどで収穫できるサイズになるそうです。今は1週間目なので、予定では来週採れるはずです。はたして上手く成長してくれるでしょうか?

 

2021年6月8日 もう少しで収穫(発芽から35日目)

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 サヤは急激に肥大化しています。もう少しで収穫できそうです。

 

2021年6月11日 初収穫(発芽から38日目)

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 枝葉が伸び、ベランダのかなりの面積を占拠するようになってきました。

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 8割ほどの花が咲き終わり、今見えている小さなサヤも2週間後には大きくなっているはずです。

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 最初に伸び始めたサヤは食べ頃のサイズとなっています。それでは収穫を始めましょう。

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 ハサミを使ってサヤの茎を切っていきます。

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 これで最初の収穫の完了です。長さが12cmくらいのものを14本、合計68g採れました。緑色が鮮やかで、とても美味しそうです。

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 試食として、この中の1本を茹でて食べてみました。サクッとした食感とほのかな甘みが美味しかったです。
 今回の収穫で採ったサヤ以外にも、株にはまだ他のサヤがたくさんあります。大きくなったものから順番に収穫していきたいと思います。

 

2021年6月13日 2回目の収穫(発芽から40日目)

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 2回目の収穫は1回目から2日後となりました。今回も14本の収穫です。

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 葉の様子を見ていると、所々にぼやっとした黄色い部分が出てきました。病気の発生初期な感じがしますので、銅殺菌剤であるZボルドーを500倍に希釈して散布しました。収穫が終わる2週間後まで、どうにか元気でいてほしいです。

 

2021年6月16日 3回目の収穫(発芽から43日目)

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 3回目は12本が採れました。

 

2021年6月18日 4回目の収穫(発芽から45日目)

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 4回目は19本です。そろそろサヤの数が少なくなってきました。次回の収穫が最後となりそうです。

 

2021年6月22日 最終収穫(発芽から49日目)

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 黄色くなった葉の数が多くなってきました。現状では新しく出てくる葉は全くないです。

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 サヤの成長速度は明らかに落ち、今やこのサイズから大きくなりません。また形も歪なものが増えてきました。きっと株の体力が落ちているのでしょう。それでは最後の収穫を始めます。

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  大小含めて18本が採れました。収穫量の集計をすると、

6月11日 14本
6月13日 14本
6月16日 12本
6月18日 19本
6月22日 18本
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合計 77本

となりました。4株を育てていたので、1株あたり約20本が採れた計算になります。5Lの栽培装置でこの量を収穫することができて、とても満足しています。

まとめ

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 それでは栽培のまとめになります。

  • あまり気温が高くない時に種を蒔いたせいか、発芽率が悪かったです。種蒔きは十分に気温が上がってからの方が良いでしょう。

  • 栽培期間中、気になるような害虫や病気は見られませんでした。

  • 収穫は発芽後38日目から始まり、49日目で終了しました。収穫本数は4株で合計77本でした。


 今回は枝豆栽培の応用で、つるなしインゲンを育てました。枝豆を育てた時は病気に悩まされましたが、インゲンは特に患うことなく非常に育てやすかったです。次はステップアップをして、つる「あり」インゲンに挑戦したいと思います。

 この記事が水耕栽培インゲンのお役に立てれば幸いです。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。