真冬に「ホウレンソウ」を水耕栽培。数少ない冬蒔きができる野菜です

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 家庭菜園では春と秋が忙しいです。それはこの期間、種蒔きや収穫できる野菜が多いからです。その一方で、冬の作業はあまりありません。多くの種は温かい季節が蒔き時です。そら豆のようにいくつかの野菜は初冬に蒔きますが、収穫が半年後と時間がかかってしまいます。

 栽培期間が数ヶ月になると、いつまでもベランダを占領してしまい、他の野菜を育てられなくなってしまいます。そこで冬に種を蒔くことができて、2ヶ月くらいで収穫できそうな野菜を探してみました。そして見つけたのが「ホウレンソウ」です。

 ホウレンソウは寒さに強く、氷点下の気温でも耐えることができます。暖地では厳寒期を除けば冬でも種を蒔くことができるそうです。私の住んでいる場所は中間地ですが、発芽させられれば上手く育てられそうな気がします。それでは冬でも水耕栽培でホウレンソウが育てられるのか確かめてみましょう。

 

 

 

 

ホウレンソウの種

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 種の大きさは5~10mmです。種袋には「この種にはトゲがあるので注意」と書かれているように、硬く鋭い突起があります。まるで忍者が使うマキビシのようです。
 ちなみに種は100円ショップで買ったのですが、それでも使い切れない程の量が入っていました。もしホームセンターなどで購入したら、それこそ一生分の種が手に入ってしまうことでしょう。

 

水耕栽培装置&液体肥料

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 今回使用する水耕栽培装置はこの記事《底面給水式の水耕栽培装置の作り方。5L容器で野菜を3つ育てられるようにしました》のものを改造して、6個育てられるようにしました。
 液体肥料は、微粉ハイポネックスを水道水で1000倍に希釈して使用します。

 

2018年12月1日 種蒔き 

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 今は12月初旬で、一日の最高気温が15℃くらいしかありません。ちゃんと発芽するのか不安だったので、まずは水道水で濡らしたティッシュペーパーに種を蒔いてみます。これを部屋の隅に置き、発根したものを水耕栽培装置に移動していきたいと思います。

 

2018年12月4日 発根

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 いくつかの種から根が出てきました。この他にも種が割れていて、明日には白い根が出てきそうなものもあります。

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 これらを培地であるバーミキュライトの上に移動させました。しかしまだ外には出さず、葉が見えてくるまで室内で管理をします。

 

2018年12月9日 もうすぐで発芽

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 寒さのせいか、芽の出るタイミングが一緒になりにくいようです。成長の度合いに差はあれど、蒔いた種からは茎や双葉が出てきつつあります。

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 一番育ちの良い種はもう葉が開きそうになっています。他のカップの成長も見ると、数日中には全ての種の双葉が開くでしょう。
 このまま室内に置いておくと日光不足で徒長してしまいそうです。そこで日中は屋外に出して日を当てて、夜になったら寒さ対策として室内に入れておきます。

 

2018年12月12日 発芽(発芽から0日目)

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 すべてのカップの双葉が開きましたので、本日を「発芽0日目」とします。

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 こうして見ると、葉がピョンピョンと動き出しそうな可愛らしさがあります。

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 種の中には殻から葉が出れずに、ハート型になっているものもありました。しかし下手に手で取ると葉が切れたり、株が引っこ抜ける危険がありますので、このまま自然に取れるのを待とうと思います。 
 すべてのカップで発芽したので、今日からは夜も屋外に出しておきます。まだ幼苗ですので、夜の10℃を下回る気温に耐えられるか心配です。

 

2018年12月15日 本葉が見える(発芽から3日目)

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 発芽から3日目が経過しました。最近は特に寒い日が多く、日中でも1桁台の気温の日がありました。それでもホウレンソウは弱ることなく元気に育っています。

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 成長の早い株では、双葉の間から本葉が見えています。双葉の縁にはホウレンソウ特有のギザギザはなかったですが、この本葉にはあるのでしょうか?大きくなるのが楽しみですね。

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 ちなみにカップの底からは根が出てきました。分岐などはなく、真っ直ぐな1本の根です。今までの経験上、根の量が多ければ地上部が大きくなる傾向があります。これから寒さがさらに厳しくなりますが、元気に育ってほしいものです。

 

2018年12月23日 本葉が成長(発芽から11日目)

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 今週は暖かい日が多く、太陽が出ている時間だと薄着でも大丈夫な気温でした。さて、ホウレンソウはどうなっているでしょうか?

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 先週は双葉が少しだけ見えていましたが、それがだんだんと大きくなってきています。葉の形は楕円形で、まだキザギザはありません。
 今、天気予報を確認したところ、今週末に最低気温が-5℃となる日があるとのことです。さすがにこの気温は耐えられそうもないので、夜の間は室内に入れておこうと思います。

 

2018年12月31日 室内に入れ忘れる(発芽から19日目)

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 前回、きびしい寒さが来るから夜の間は室内に入れようと書きました。しかしそのことをすっかり忘れており、そのまま外に出しっぱなしになってしまいました。

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 幸いなことに、この寒さの中でもホウレンソウにダメージはなく、至って普通の状態です。マイナス数度程度ならば簡単に耐えられそうな感じですね。
 本葉が育ってきており、他の株と触れ合うくらいになってきました。来週になったら間引きをしようかなと思います。

 

2019年1月6日 間引き(発芽から25日目)

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 この寒さの中でもホウレンソウはちゃんと育ってくれています。冬は成長がゆっくりになりますが、そのかわりに青虫やアブラムシが付かないので楽ちんです。

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 葉が大きくなり、カップの中がかなり狭くなってきています。では間引きをしていきましょう。

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 間引きでは一番大きく育っている株を残し、それ以外をハサミで切って取り除きます。指で引っこ抜く方法もありますが、隣の株も一緒に抜ける危険があるので、ハサミを使う方法がおすすめです。

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 これで間引きは完了です。空間と栄養が1つの株に集中するので、より大きく成長することでしょう。

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 少し分かりづらいですが、根はかなり伸びています。長さは地上部の5倍くらいでしょうか。真っ白な綺麗な根ですね。

 

2019年1月20日 かなり成長(発芽から39日目)

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 前回から2週間が経過しました。例年通り寒い冬ですが、晴れている昼のベランダは温かいです。そのおかげかホウレンソウは成長し、今では本葉の数がかなり増えてきました。

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 中心部を見ると、小さい範囲にギュッと生えていることが分かります。葉はあまり大きくないですが、それでもカップからはみ出るくらいには成長しています。

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 根はさらに伸びて、こんな感じになっています。写真では見切れていますが、その下にあと20cmはあります。根は成長しても肝心の地上部はあまり大きくはありません。収穫にはまだまだ時間がかかりそうですね。

 

2019年2月3日 鳥に食べられる(発芽から53日目)

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 ホウレンソウは前回の報告よりも大きくはなりました。しかしまだクシャッとした感じで、上方向に伸びてくれません。

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 中心部からは新しい葉が次々と見えてきています。この新葉には、0.1mm程度の小さい丸い粒がたくさん付いています。果たして何なのでしょうか?調べてみても明確な答えはなかったのですが、どうも害はないようです。

参考サイト:ホウレンソウの葉の表面に観察される白色顆粒|注目の農業技術|みんなの農業広場

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 今の季節は真冬。食べ物が少ないせいか、何者かに葉を食べられてしまいました。しかし犯行現場近くに特徴的なフンが落ちていました。これより犯人は「鳥」だと思われます。食べれたのは1株丸ごとではなく、一部分の葉だけです。おそらく美味しくなかったのでしょう。ある意味、失礼な鳥ですね。

  

2019年2月17日 あまり成長せず(発芽から67日目)

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 前回よりも少し大きくなったかなとは思いますが、もしかしたら気のせいかもしれません。だんだんと日が伸びてきていますので、そろそろ成長してほしい今日この頃です。

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 今まで何種類かの野菜を育てましたが、このホウレンソウの個体差は大きく感じます。上の写真が一番大きいもの、下が小さいものとなっています。ぱっと見ると2倍以上の差があるでしょうか。小さい株はここから巻き返せるのか、少し楽しみにしています。

 

2019年3月2日 鳥対策(発芽から80日目)

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 鳥に食べられてから数週間。せっかく回復しつつあったホウレンソウがまた食べられてしまいました。

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 食べやすい位置にあったこの株は、カップの縁から出た部分が丸々なくなっています。

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 周りを見ると、床には食べ残した葉が落ちていたり、

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手すりには乾燥したホウレンソウと思われるものが張り付いています。

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 これ以上食べられないように、対策として不織布で栽培装置全体をすっぽりと覆いました。これで鳥についばまれることはなくなるでしょう。液肥の補充はやりにくくなりますが、これも私が食べるためのコストです。早く立派なホウレンソウが食べたいです。

 

2019年3月17日 収獲(発芽から95日目)

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 鳥対策に不織布を掛けてから、十数日がたちました。さすがに葉を食べられることはなくなり、やっと前の水準にまで回復しました。

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 株の中心部からは、新しい葉が何枚も出てきています。

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 葉のつぶつぶは取れることなく、未だに大量に付いています。不織布を掛けていたので、風で飛んで行かなかったようですね。

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 ホウレンソウの種を昨年12月1日に蒔き、もう4ヶ月目になります。やっと成長してきたので、もう少し待てばそこそこの大きさになってくれると思います。
 しかし、季節は春に近付きつつあります。今シーズンの種蒔きも迫ってきており、このまま置いていると栽培スペースが狭くなっています。かなり小ぶりで残念ですが、もう収穫をしてしまいましょう。

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 収穫は株元を切って行います。葉を手で引っ張ると培地ごと持ち上がりますので、地中にハサミを入れて切り落とします。

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 あとは傷んだ葉を取り除けば収穫完了です。ダメな葉を取ったら半分まで小さくなってしまいました。全体の大きさとしては、スーパーで売っているホウレンソウの1/4くらいです。

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 3月になるとだんだん日が長くなってきます。この環境になると、ホウレンソウは花を咲かせる準備として中心部分の茎を伸ばし始めます。収穫したホウレンソウも中心が伸びてきていました。いわゆる「トウ立ち」の初期ですね。

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 株元は赤く色付いています。スーパーで売っているものよりも色が濃く、また面積も広いです。

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 これが収穫した6株全てになります。100日間育てた割には収穫量が少なかったです。まあ、半分は鳥に収穫されましたが…
 このホウレンソウはベーコンと炒めて、お弁当の具となりました。食べてビックリしたのは「甘かった」ことです。最初は調理中に砂糖でも入れたのかと思ったほどです。種は一般的な種類のホウレンソウを選んだはずなので、栽培環境が甘くさせたのかなと思っています。

 

まとめ

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 それでは今回の栽培のまとめになります。

 

  • 他の野菜を育てる都合で、大きくなる前に収穫となりました。鳥が食べなければ、もっと立派に育ったはずなので少し悔しいです。

  • 冬は食べ物が少ないのか、鳥の被害が2回ありました。対策として栽培装置を不織布で覆ったところ、被害がなくなりました。

  • 収穫したホウレンソウはなぜか甘かったです。品種としては一般的なものを選んだはずなので、育つ環境で味が変わるのかもしれません。

 

 今回は約100日間をかけてホウレンソウを育てました。途中で鳥につまみ食いされたせいで、収穫量が少なくなってしまったのが残念です。次はもう少し上手く育てられるようになりたいと思います。