私が水耕栽培で使っている培地はバーミキュライトです。昨年は、この培地をプラスチック製のカップに入れて野菜を育てました。
野菜の収穫が終わった後、培地は再利用せずに捨てています。理由としては、びっちりと根が回っており、再生するのが困難だからです。1回の栽培で500mL程度のバーミキュライトを捨てていますので、どうにか使う量を少なくできないか?と思っていました。
そうしたら先日、水道管の『継ぎ手』を利用して栽培装置を作っている方を見つけました。早速、私も購入して新しい水耕栽培装置を作ってみました。
《参考記事》
水道管の継ぎ手を利用した水耕栽培装置。これで培地のコストが少なくなるはずです
実際に使うバーミキュライトの量を計ってみると、従来のプラカップ式と比べ1/9で済むことが分かりました。しかし、確かに培地の節約はできましたが、本当にこの量で野菜は育つのでしょうか。
そこで成長具合を確かめるために、「継ぎ手式」と「プラカップ式」の双方で水菜を育ててみます。もし従来式と成長に差がなければ、今後は継ぎ手を使った栽培装置を使っていこうと思っています。それでは種蒔きをしてみましょう。
- 水菜の種
- 水耕栽培装置&液体肥料
- 2019年3月7日 種まき
- 2019年3月11日 発芽までもう少し
- 2019年3月13日 発芽(発芽から0日目)
- 2019年3月14日 1回目の間引き(発芽から1日目)
- 2019年3月21日 2回目の間引き(発芽から7日目)
- 2019年3月31日 最後の間引き(発芽から17日目)
- 2019年4月9日 差が出てきた?(発芽から26日目)
- 2019年4月13日 鳥害に遭う(発芽から30日目)
- 2019年4月20日 回復の兆し(発芽から37日目)
- 2019年4月27日 収穫&検証(発芽から44日目)
- まとめ
水菜の種
水菜の種は2年前に購入したものを使います。発芽率が心配だったので、水で濡らしたティッシュに種を置いてどのくらい発芽するのか試験をしてみました。その結果、8割以上が芽を出してくれました。これならば安心して種を蒔くことができます。
水耕栽培装置&液体肥料
水耕栽培装置には、以前から使っているプラカップ式と成長の比較するために、それぞれを3つずつ、交互になるようにセットしました。
液体肥料は、微粉ハイポネックスを水道水で1000倍に希釈したものを使用します。
2019年3月7日 種まき
水菜の種は、継ぎ手またはプラカップの培地に一つまみ分を置きました。この上から数mmの覆土をして、屋外(南向きのベランダ)に置きました。
2019年3月11日 発芽までもう少し
種蒔きから4日が経過しました。バーミキュライトの下から折りたたまった双葉が見えてきています。明日には地上に出てきそうですね。
2019年3月13日 発芽(発芽から0日目)
無事に発芽しましたので、本日を「発芽0日目」とします。
種はそれぞれの培地に一つまみ分を蒔きました。しかし蒔いた範囲が狭かったせいか、培地が盛り上がるような形で芽が出てきてしまっています。あまりにも窮屈そうなので、明日間引きをして周りの空間を開けようと思います。
2019年3月14日 1回目の間引き(発芽から1日目)
昨日の時点では、発根はしているが発芽はまだな種が数個ありました。それから1日がたつとその種の葉が開き、株間がさらに狭くなってしまっています。
発芽してから間もないですが、それでは1回目の間引きを行いましょう。
現状では100円硬貨ほどの面積に、8〜10株がひしめき合っています。
そこで小型のハサミを使って、発育の悪いものから取り除いていきます。切る場所は根元の茎です。今回のように密集して生えている場合には、引っこ抜くのは危険です。1株だけのつもりが、他の株も一緒に抜けてしまうからです。
最終的に、元気の良さそうなものを4株ずつ残しました。これで株同士に空間ができましたので、光も風も良く通りそうです。
この時点ではまだ継ぎ手、プラカップ共に成長の差が見られません。どの時点から違いが出てくるのか楽しみです。
2019年3月21日 2回目の間引き(発芽から7日目)
小指の先ほどだった双葉も、この1週間でかなり成長しました。またその間からは1cmくらいの本葉が顔を覗かせています。
プラカップ式と比べると継ぎ手式は面積が狭いため、どうしても窮屈になってしまいます。そこで2回目の間引きを行ってスペースを開けましょう。
4本から2本に間引きました。この状態で本葉が成長するのを待ちます。
2019年3月31日 最後の間引き(発芽から17日目)
最初の本葉は順調に成長し、だんだんと水菜らしい姿になってきました。そのため本日は最後の間引きをします。
2株から1株にして間引き作業は完了です。今のところ、プラカップ式と継ぎ手式のどちらも成長に差はありません。プラカップ式の方が若干大きいかな?と思いますが、個体差の範囲でしょう。
2019年4月9日 差が出てきた?(発芽から26日目)
上からでは分かり難いですが、横から見るとだんだんと成長に差が出てきたのが分かります。
こちらは継ぎ手式の水菜です。株元の分岐数に注目して下さい。
そしてこちらがプラカップ式になります。明らかに根元から出ている葉の量が多いです。他の継ぎ手やプラカップでも、同じような傾向となっています。さらに育てて、この差が広がるのかどうか調べていきましょう。
2019年4月13日 鳥害に遭う(発芽から30日目)
今年の春は鳥害が多いです。先日は隣で育てていた枝豆や他品種の水菜が、鳥に食べられる被害に遭っています。しかしこの水菜だけは見向きもされなかったので、特に何もせずに放置していました。「不思議なこともあるものだ」と思っていたのも束の間、見事に鳥に食べられてしまいました。確認すると、特に手前側のカップに大きなダメージを受けています。
この様に葉の元から突かれて、大きさが半分以下となってしまいました。このままにしておくと、味を覚えた鳥が再びやって来るかもしれません。
そこで家にあった「防鳥ネット」を掛けて、水菜に近付けないようにしました。これならきっと食べられないでしょう。
大部分の葉がなくなってしまいましたが、株元を見ると無数の新しい芽が出てこようとしています。水菜の成長は早いので、2週間もすれば葉の数は戻りそうです。はたして継ぎ手式とプラカップ式の栽培比較が続けられるかどうか、もう少し様子を見てから決めようと思います。
2019年4月20日 回復の兆し(発芽から37日目)
やっと春らしい天候になり、鳥に食べられてしまった水菜もかなり回復してきました。また被害のなかった株は一気に成長し、来週には収穫できる大きさとなっています。
被害の大きかった水菜たちも、株元から新葉を出してきています。枯れることはなさそうなので一安心です。
ところで実験の件ですが、葉を食べられてしまった関係で株間の比較はできなさそうです。ですので参考値扱いとして、次の週末に取りまとめて報告したいと思います。
2019年4月27日 収穫&検証(発芽から44日目)
水菜は無事に育ち、収穫時期となりました。この1週間の伸びがかなりすごかったです。
ちなみに葉を観察していたら、虫食いの痕がありました。近くを探すと小さな青虫がいたので取り除きました。もし葉に穴が空いているのを見つけたら、早めに対処しましょう。そうしないと葉がかじられた痕だらけになってしまします。
それでは継ぎ手式とプラカップ式で成長に違いはあったのか検証をしましょう。この写真は鳥に大きく食べられてしまった側になります。
そしてこちらは無傷な方です。遠目ではどちらの方式も十分に育っているように見えます。次はアップにしましょう。
鳥害のなかった側の株を見ると、プラカップ方式の方が多く茎が出ているようです。葉の量を比べたかったのですが、あまりにもモサッとしていて見た目ではどちらが優勢か判別が付きませんでした。
目視では何とも言えないので、次は収穫した水菜の重量を比較したいと思います。ただし、栽培中期に半分以上食べられてしまった株があるので、あくまでも参考となります。
株の重量
・継ぎ手式
45g、28g(鳥害あり)、21g(鳥害あり)
・カップ式
53g、33g、20g(鳥害あり)
予想通り、鳥の被害があった株は重さが20g台と軽かったです。被害のなかった株同士を比べると、継ぎ手式は45g、プラカップ式は53gと33gになります。
この結果より、継ぎ手方式でもプラカップ式と同じくらいに成長することが言えそうです。しかしサンプルが数個しかないので、個体差による影響が大きいと考えられます。やはりもう少しデータが欲しかったです。
継ぎ手式の培地~根は、このようになっていました。継ぎ手の中で根が回っており、また根はスポンジを貫通して液肥層に届いています。
収穫後の片付けをしていて思ったのは、継ぎ手式の方が『片付けが楽』なことです。プラカップ式ではカップから培地を抜くのに手間がかかります。しかし継ぎ手ですと、スポッと抜いて終わりです。また栽培中、継ぎ手は液肥水面よりも上にあるので、藻が付着しにくいです。そのため洗いやすいのもメリットがあるなと感じました。
今回収穫した水菜はバット1枚分です。これでスーパーで売っている水菜1.5袋分になります。鳥にさえ食べられなければもっと多かったでしょう。この水菜はざく切りにして、豚肉と炒めました。茎が細い割にはしっかりとした歯ごたえがあり、とても美味しかったです。
まとめ
それでは異なる方式で育てた水菜の栽培まとめになります。
- 「継ぎ手式」は従来の「プラカップ式」の成長と比べて、やや劣る~同等なことが考えられました。ただしサンプル数が少ないので、あくまでも傾向となります。今後再試験を行い、正確な結果を出したいと思います。
- 継ぎ手式は使う培地量が少ないので、片付ける時の手間がかからなかったです。廃棄する培地の量は1/9で、その後の洗浄などを考えると、使い勝手は継ぎ手式が圧倒的に有利でした。
- 総合的に考えると、片付けが楽な「継ぎ手式」の方が使いやすいと思います。野菜の成長が少し遅いかもしれませんが、そこは栽培期間を伸ばして対処すれば解決するでしょう。
新旧の方式で水菜を育てて違いを確かめたかったのですが、正確な結果が出なかったのが残念です。しかしこれで諦めずに、再び比較栽培にチャレンジをしたいと思います。それでは、この記事がみなさまのお役に立てれば幸いです。