ベランダで水耕栽培を始めて分かったことがあります。それは『真夏に収穫できる野菜は少ない』ことです。
夏野菜の定番としてはトマトやナス、キュウリなどがありますが、これらは大きく育つので、我が家のベランダでは難しいです。そうなると省スペースで育つ葉物野菜が中心になります。ただ40℃を超えるような暑さの中では、水菜や小松菜の葉が萎れてしまい、明らかに元気がなくなります。またこれらの野菜は1回限りの栽培ですので、次に収穫したい時には種蒔きから始めなくてはなりません。
そこで真夏の暑さにも耐え、何回も収穫できる葉物野菜がないか探しました。そして見つかったのが『空芯菜』です。別名 エンツァイとも呼ばれる中華野菜で、名の通り芯が空洞なことが特徴です。この野菜は真夏でもグングン育ち、枝を残しておけば何回も採れるらしいのです。
今から育てれば、収穫は7〜8月に最盛期を迎えるでしょう。その頃には暑すぎて葉物野菜が少なくなるので、空芯菜があれば便利なこと間違いなしです。早速、ホームセンターまで種を買いに行ってきます。
- 空芯菜の種
- 栽培装置
- 液体肥料
- 2019年5月3日 種蒔き
- 2019年5月8日 1つだけ発芽しそう
- 2019年5月10日 発芽(発芽から0日目)
- 2019年5月12日 次々芽が出てくる(発芽から2日目)
- 2019年5月15日 全ての継ぎ手で発芽(発芽から5日目)
- 2019年5月18日 間引き(発芽から8日目)
- 2019年5月25日 本葉が出揃う(発芽から15日目)
- 2019年6月1日 病気にかかる?(発芽から21日目)
- 2019年6月8日 収穫(発芽から28日目)
- まとめ
- 【追記】2019年6月23日 病気が治らず撤収(発芽から43日目)
空芯菜の種
空心菜の種は5mmほどで、半月型をしています。「アサガオの種みたい」と思ったので調べると、双方ともヒルガオ科の植物でした。どうりで似ている訳です。
ちなみにサツマイモも同じ科なので、これらの植物は全て親戚同士となります。
栽培装置
使用する栽培装置は、この記事《水道管の継ぎ手を利用した水耕栽培装置。これで培地のコストが少なくなるはずです》を参考にして作りました。
液体肥料
液体肥料には、微粉ハイポネックスを水道水で1000倍に希釈したものを使用します。他メーカーのものと比べて手に入りやすいのと、液肥1Lあたりの金額が安いのが気に入っています。
2019年5月3日 種蒔き
空心菜の種を継ぎ手1つにつき3個置き、1cmほど覆土をしました。思っていたよりも種が大きかったので、もし3個とも発芽したら窮屈になるかもしれないです。
発芽するまでは、給水布が浸る程度の液肥を入れておきます。こうすることで培地が乾きすぎず、湿りすぎずの状態を作ることができます。
この栽培装置を開けた南向きのベランダに置いて、発芽するのを待ちます。
2019年5月8日 1つだけ発芽しそう
種を蒔いてから5日がたちました。先行して1つの種が発芽しそうになっています。
見た目が「土から出てきた手」の様に見えます。ちょっとしたホラー映画のワンシーンです。明日か明後日には双葉が開くでしょう。
2019年5月10日 発芽(発芽から0日目)
先日の発芽しかけていた種は、完全に双葉が開きました。上から見るとX字の形をしていて格好良いです。空心菜はアサガオと同じ仲間なので、程度の差はあれど、中央に切れ込みが入っている双葉のようです。
双葉についてですが、私が想定したよりも3倍は大きかったです。これほどの大きさならば継ぎ手式ではなく、プラカップ式の栽培装置を使った方が良かったかもしれません。
《参考記事》
底面給水式の水耕栽培装置を改良。水面が低下しても液肥が供給されるようにしました
左手前の発芽した株と右奥の発芽しそうなもの以外は、まだ動きがありません。とりあえず、本日を「発芽0日目」として記録をしていきます。
発芽しないのは種蒔きに失敗したのでしょうか?もう少し待ってみます。
2019年5月12日 次々芽が出てくる(発芽から2日目)
数日待っていると、次々に芽が出てきました。今のところ、6個中1つが発芽し、3つから芽が見えています。残りも待っていれば大丈夫そうですね。
あの大きな双葉は、上手く折りたたまれて種の中に入っているみたいです。葉が開ききったらすぐに間引きをしようと思います。
2019年5月15日 全ての継ぎ手で発芽(発芽から5日目)
本日、全ての継ぎ手で芽が出ました。発芽するまでの期間は思っていたよりも長く、2週間ほどかかってしまいました。
空心菜は東南アジアといった熱帯地方が原産地です。もしかしたら気温が十分高くなってから種を蒔かないと、発芽が揃わないのかもしれません。
種の殻をかぶったまま3日が過ぎた株を発見しました。このままだと上手く葉が開かないように思ったので、指で摘んでゆっくりと取ってあげました。これで明日には開くでしょう。
2019年5月18日 間引き(発芽から8日目)
双葉が開いている株が多くありますので、間引きを行いましょう。他の野菜ですと発芽→3株→1株のように2段階で間引くのですが、今回は一気に1株まで減らします。空心菜は成長が早いので、こうしないとすぐに一杯になってしまうからです。
一番成長しているものを残して、他は株元を切って取り除きます。
これで間引きの完了です。まだ発芽してくる種があると思いますので、もし出てきた場合には同様に間引く予定です。
こちらは一番最初に発芽した種です。双葉の間から棒のような本葉が出てきました。これから本格的な夏に向かいますので、どんどん成長してほしいです。
虫や鳥対策として、今までは簡易的な支柱を立ててネットを張っていました。しかし今後の成長を考え、頑丈な背の高い支柱に組み替えました。中が狭くなるまでは、この状態で育てていこうと思います。
2019年5月25日 本葉が出揃う(発芽から15日目)
種が発芽してから2週間が経過しました。大きさの違いはありますが、全ての株から本葉が出てきています。
成長の早いものは2セット目の本葉が見えています。てっきり最初の本葉の上に伸びていくのかと思いきや、先に株元から脇芽として出てきました。
今週は気温が30℃に達するとのことですので、暑さに強い空心菜はさらに成長をしてくれるでしょう。
2019年6月1日 病気にかかる?(発芽から21日目)
空心菜はこの7日間でかなり大きくなりました。数日前には真夏のような暑さがありましたが、しおれることなく元気に成長しています。
株元から出てきた脇芽は上に育つと思いきや、横に伸びてきました。このスピードで育てば、来週には最初の収獲ができそうです。
ところで、いくつかの葉に茶色い斑点が出てきてしまいました。この葉は最もひどいもので、全体に斑点模様が見られます。
葉の表面だけではなく、裏面にも貫通している感じです。
葉をアップにしました。斑点は1~5mm不定形で、クレーター状に凹んでいます。中心部は薄い茶色、縁部分は焦げ茶色となっています。この症状で調べた結果、「褐斑病」に似ていることが分かりました。
この病気はカビによって起きる病気です。そこで症状が出ている葉を全て取り除き、カビに効くと思われる『サンボルドー』を水道水で500倍に希釈し、滴る程度スプレーしました。
これで症状が治まれば良いのでしょうが、どうなるでしょうか。経過を観察していきたいと思います。
2019年6月8日 収穫(発芽から28日目)
まるで雑草のような空芯菜ですが、十分に大きくなったので最初の収穫をしたいと思います。と、その前に細部を色々と観察していきます。
まず一番の懸念事項である斑点病らしき症状です。進行は遅くなりましたが、まだ止まっていません。写真の葉は発症初期のもので、茶色のブツブツがあるのか分かるでしょうか?
発病した葉は取り除いていますが、症状の重い株は茎だけになってしまいました。とは言っても他の株はそれほどでもないので、収穫するには問題なさそうです。
茎は指での太さまで成長しています。発芽から1ヶ月でここまで太くなるとは驚きですね。
茎にはイボのような小さい突起かたくさんあり、少し背筋がゾクゾクしてしまいます。
それでは収穫に入りましょう。空芯菜は枝を残しておけば何回も収穫できます。そこで2〜3節目から上の部分で切ります。太くて切りにくそうに見えますが、力を入れなくても刃が入っていきます。
これで空芯菜の収穫完了です。最初の収穫で、片手で握れるくらいの量を収穫できました。葉は濃い緑ですが固くはありません。しなやかで柔らかそうな印象を受けます。
茎は大小様々です。太い茎は中心部のもので、細い茎は脇芽のものになります。
切った断面を見るとその名の通り、茎が空洞になっていました。そのため太さの割に簡単に切ることができたのでしょう。
収穫した空芯菜は適当な大きさに切って、野菜炒めとして食べました。加熱してもシャキシャキ感が残り、普通の野菜とは異なる食感を楽しむことができました。
ところで、収穫後の株は鶏の足跡のような短い枝3本となっています。この状態でも再び枝を伸ばして大きくなるとのことです。病気のことが心配ですが、元気に育てば夏の間は収穫を楽しむことができそうです。
まとめ
それでは栽培のまとめになります。
- 空芯菜は発芽してから1ヶ月で収穫できました。このスピードは今まで育てた野菜の中でも最速クラスになります。
- 葉に斑点ができる病気にかかってしまいましたが、空芯菜に使える有効な化学農薬は見つかりませんでした。完治するか分かりませんが、これから様子をみていきたいと思います。
- 収穫は一度だけではなく、枝を残しておけば何度も再生してくれます。定期的に収穫して大きくなり過ぎないようにしましょう。
空芯菜は育つのが早く、短期間で収穫できました。病気には強いとのことですが、今回は何かの病を患ってしまいました。マイナーな野菜なので、使える農薬に制限があるのか辛いです。
空芯菜は育てて早し食べて良しの野菜なのでおすすめです。とりあえず野菜を育ててみたい人は、種を買ってはいかがでしょうか?一緒に水耕栽培ライフを楽しみましょう。
【追記】2019年6月23日 病気が治らず撤収(発芽から43日目)
収穫から2週間が経過しました。空心菜は新しい葉が茂ってきていますが、何やら調子が変です。
病気のせいか、新しく出た葉はこのようにボロボロの状態なのです。サンボルドーを数度散布しても治る気配は全くありません。これ以上良くなりそうもないので、不本意ながら今回の空心菜は収穫せずに、栽培を終了することにしました。
何回も収穫できると期待していましたが、1回の収穫で終わってしまったのは非常に残念です。機会があればもう一度チャレンジしてみようと思います。
ちなみに、空心菜は根本が太くなる野菜ということが分かりました。栽培装置に使用した継ぎ手では明らかに狭いので、次に育てる時は面積が広いプラカップ式を使うことにします。