枝豆の土耕栽培について調べていたところ、興味深い記事を発見しました。なんと収穫量を数倍にアップさせる育て方があると言うのです。その方法とは 「土中緑化&胚軸切断挿し木法」と呼ばれるものです。
具体的なやり方としては、まず枝豆が発根したら日光に当てて緑化させます。そして発芽させ、初生葉が開いた頃に双葉を残すように上下の茎を切り落とします。この苗を挿し木にして育てると、収穫量が増えるとのことです。
にわかには信じられない話ですが、検証記事を見ると確かに収穫量は上がっているようです。しかし更に調査をすると、普通に育てたものと変わりはなかったとの報告もありました。差が出た理由としては、土質や肥料割合などの栽培条件が関係していたのかもしれません。
土中緑化&胚軸切断挿し木法のやり方自体は簡単で、私にもできそうです。そこでこの方法を使って、枝豆の水耕栽培を試してみることにしました。もし本当に収穫量がアップするようでしたら、以降の栽培にも使ってみようと思います。そもそも切断した茎から本当に根が出るのか半信半疑ですが、種蒔きをして確かめてみましょう。
- 枝豆の種
- 液体肥料
- 2019年4月7日 種蒔き(種蒔きから0日目)
- 2019年4月11日AM 発根&土中緑化を実施(種蒔きから4日目)
- 2019年4月11日PM 土中緑化の完了(種蒔きから4日目)
- 2019年4月16日 双葉が開きそう(種蒔きから9日目)
- 2019年4月22日 茎の切断と挿し木(種蒔きから14日目)
- 2019年4月27日 まだ発根せず(種蒔きから19日目)
- 2019年5月3日 発根&苗の選抜(種蒔きから25日目)
- 2019年5月6日 間引き(種蒔きから28日目)
- 2019年5月19日 予防薬を散布(発芽から42日目)
- 2019年5月22日 斑点細菌病を患う(発芽から45日目)
- 2019年5月26日 開花(発芽から49日目)
- 2019年5月29日 ミニ枝豆ができる(発芽から52日目)
- 2019年6月9日 ヤサの成長(発芽から64日目)
- 2019年6月23日 収穫(発芽から78日目)
- まとめ
枝豆の種
栽培する枝豆の種は100円ショップで購入しました。品種は「白鳥」になります。
液体肥料
液体肥料には、微粉ハイポネックスを水道水で1000倍に希釈したものを使用します。昨年はこの液肥で枝豆を育て、1回の栽培で119個のサヤを収穫できました。他メーカーよりも、液肥1L当たりの値段が安いのが気に入っています。
2019年4月7日 種蒔き(種蒔きから0日目)
それでは種蒔きを行いましょう。まずポリポットにバーミキュライトを入れて、液体肥料で湿潤させます。
ここに種を「ヘソ」部分が下となるように置きます。ヘソとは種から根が出る部分で、楕円形の跡がある場所になります。これを下にすることでスムーズに発根してくれます。今回は合計8個の種を使いました。
次に、適当な大きさに切った不織布を種の上に置きます。
そうしたら上にバーミキュライトを乗せて、液体肥料で湿潤させます。これを室内に置いて根が出てくるのを待ちます。1日1回不織布を持ち上げて発根しているかを確認します。
2019年4月11日AM 発根&土中緑化を実施(種蒔きから4日目)
種蒔きから4日が経過しました。種は発根して立ち上がりそうになっています。
今回行う土中緑化についてウェブで調べましたが、「発根したら日光を当てる」と書かれているだけで、どのタイミングがベストなのか分かりませんでした。とりあえず今回は種が持ち上がり、薄皮が破けてきた本日に光を当てます。
このポットをそのまま屋外に出すと、鳥の格好の餌となってしまいます。そこで適当な容器に入れて網戸の網を張り、鳥対策を施しました。これを5時~19時の間、屋外に出して緑化を行います。予報によると今日の天気は薄曇りらしく、直接日光に当てるのは難しそうです。
2019年4月11日PM 土中緑化の完了(種蒔きから4日目)
結局、日中は明るい曇といった天気でした。写真では蛍光灯の光を反射して分かりにくいですが、14時間ほど明るいところに置いた枝豆は緑色、と言うよりも黄緑色に変化しました。これで緑化はできたはずです。
緑化をした種の上に、バーミキュライトが厚さ2cmくらいとなるように直接入れました。またバーミキュライトが乾き気味でしたので、液体肥料をたっぷりと与えました。今度は屋外に置き、発芽するのを待ちます。
2019年4月16日 双葉が開きそう(種蒔きから9日目)
緑化をしてから5日後、種が地上にでてきました。この時点では変化があるようには見えません。
2019年4月22日 茎の切断と挿し木(種蒔きから14日目)
やはり変わったところは特になく、そのまま普通に双葉と初生葉が開きました。初生葉の間からは、本葉が少しだけ見えています。ここまで育ったら、次は茎の切断と挿し木を行います。
切断は紙を切るような普通のハサミで、株元と双葉の上を切りました。
切断したものがこちらになります。葉は双葉しか残っておらず、本当に大丈夫なのか不安になってきました。この苗を栽培装置の培地に刺して育てていきます。
今回使用する栽培装置は、この記事《底面給水式の水耕栽培装置をさらに改良。発芽時の水分問題を解決しました》のものを使います。培地は同様に、液肥で十分に湿潤させておきました。
切断した苗は7つありますので、2・2・3本となるようにそれぞれのカップに刺しました。深さは双葉の付け根が5mmほど地上に出るくらいです。
これらのカップを液肥を入れていない栽培装置にセットし、明るい日陰で発根するまで置いておきます。もし培地が乾くようでしたら、適宜液肥を与えていきます。
2019年4月27日 まだ発根せず(種蒔きから19日目)
5日前に挿し木をした苗の状態は、このようになっています。左側のカップではあまり変化はありませんが、他の2つでは新しく葉が出てきています。
近付いて見ると、双葉の付け根から脇芽が伸び、本葉が出ていることが分かります。これなら発根しているかな?と思い抜いてみましたが、特に根が生えている様子はなかったです。もう少し待ってみましょう。
2019年5月3日 発根&苗の選抜(種蒔きから25日目)
挿し木をしてから10日が経過しました。脇芽は更に成長しています。
発根しているか確認したところ、左側と中央のカップで根が出ていました。しかし右側のものはまだ出ていないようです。脇芽もあまり成長していないので、もしかしたら葉の成長と発根具合は関係があるのかもしれません。
出てきた根をアップで撮影しました。白く長い根が伸びているのが分かるでしょうか。ただ切っただけの茎からこのような根が出るなんて驚きです。
今までは栽培装置に液肥を入れずに育てていました。しかし発根した根は予想よりも伸びが早く、もうすぐで培地止めのスポンジを抜けてしまいそうです。そのため本日、カップに底に軽く触れるくらいに液肥を入れました。また発根していなかったカップは間引き、成長の良い2カップをこれから育てていきます。
ちなみに栽培装置の四隅に立てているのはアルミ線で作った支柱です。ここに網を張ることで、害虫などをシャットアウトしています。
2019年5月6日 間引き(種蒔きから28日目)
生育の良いカップを選びましたが、その中でも成長の違いが生まれています。今回は1カップあたり2株、つまり合計4株で育てていきますので1株が余分です。
そのため成長が芳しくなかった株を1つ間引きました。これで栄養がしっかりと行くでしょう。
本葉が開いて大きくなりつつありますが、普通に育てた場合と比較すると、高さが半分くらいとなっています。もしコンパクトに育つのであれば、面積が限られているベランダ栽培でメリットとなりそうですね。
2019年5月19日 予防薬を散布(発芽から42日目)
前回から2週間が経過しました。特にトラブルなく枝豆は成長しています。今まで使っていた支柱では窮屈になってきたので、先日大きいものに組み換えました。まだ天井には届かないですが、あと数日でここも狭くなりそうです。
一番最初に出た葉である双葉は、黄色くなってポロッと落ちてしまいました。
液肥層はこの様になっています。1本の根から複数の側根が出ており、まるで魚の骨のようです。
昨年に枝豆を育てた時は「ダイズ斑点細菌病」に苦しめられました。そこで今年は発症する前に予防しておこうと思います。使うのは、サンボルドーと呼ばれる銅の殺菌効果を利用した薬です。
これを水道水で500倍希釈し、葉に滴る程度をスプレーしました。今後も定期的に散布して、殺菌効果が切れないようにします。
《2020年5月1日 追記》
確認したところ、サンボルドーは枝豆への登録がありませんでした。同じ銅水和剤である「Zボルドー」は野菜類の登録がありますので、こちらを使用して下さい。大変申し訳ございませんでした。
今までの枝豆栽培では、ベランダの床に栽培装置を直接置いて育てていました。しかし先日、プランター掛けを購入したので、今は手すりの部分で栽培をしています。これにより足元が広くなったのと、さらに長い時間日光が当たるようになりました。あとは収穫まで待つだけです。
2019年5月22日 斑点細菌病を患う(発芽から45日目)
昨日は台風を思わせるような大雨でした。翌日、枝豆は大丈夫かと確認しに行くと、何やら様子がおかしいです。
葉の葉脈に沿って茶色い小さな斑点ができていたのです。
新葉にも同様のものがあります。恐れていたことに、斑点細菌病になってしまったようです。
2日前に撮影した写真をアップで見ましたが、症状はありませんでした。ここ数日、特に昨日で一気に広がったようです。この病気には潜伏期間があるので、予防薬を散布した時にはもう感染していたのかもしれません。
これ以上進行させないために、再びサンボルドーを撒きました。あとは病気が収まるのと、再発しないことを願うばかりです。
2019年5月26日 開花(発芽から49日目)
発芽してから約50日。ようやく最初の花が咲きました。白くて小さな花です。
早生種は開花から35日で収穫になるので、休日を考慮すると6月29日または30日が収穫予定日です。パンパンに膨らんだサヤになってほしいですね。
2019年5月29日 ミニ枝豆ができる(発芽から52日目)
実は枝豆の花は1日しか咲きません。花がしぼんで数日が経過すると、その場所からミニ枝豆が生えていました。まだ指の先ほどの大きさですが、枝豆感があります。
2019年6月9日 ヤサの成長(発芽から64日目)
前回から10日が経過しました。1cmほどの長さだった赤ちゃんサヤは成長し、遠目からでも枝豆と分かるようになってきています。
どちらのカップもサヤが鈴なりに付いています。長さ方向の成長は終わったのか、今は実が膨らみつつあります。
横から見るとこのような感じです。まだ膨らみ途中ですので薄いですね。
斑点病は治らずに、徐々にですが葉を侵食しています。あまりにも酷いものは取り除きながら成長を見守っています。
2019年6月23日 収穫(発芽から78日目)
あと1週間で収穫予定の枝豆ですが、今の具合はどうでしょうか?
斑点病は何とか収まり、新たに広がる気配はありません。サンボルドーを何回か散布したのが効いたのかもしれません。
サヤは鈴なりに実っています。幹の部分に多く付いており、葉先に向かうにしたがって徐々に少なくなる傾向があるようです。
我が家のベランダでは今、ネズミの食害に悩まされています。いくつかのサヤが食べられ、私の分が減ってしまいました。一応、ミントの香りがするネズミ禁忌剤を設置したのですが効果はなく、普通にかじられてしまいました。
ネズミの被害から免れたサヤはかなり太ってきています。このまま成長すると大きくなりすぎて、来週だと収穫適齢期を過ぎてしまいそうです。予定よりも早いですが、このタイミングで収穫をしてしまいましょう。
まずは茎を切るのですが、株元は工作用ハサミでは歯が立たないくらいの固さになっています。そこで枝切りハサミを使って切断します。
とりあえず栽培装置から取ることができました。次に余計な葉をカットしていきます。葉が生えている茎は細いので、工作用のハサミでも大丈夫です。
これで収穫の完了です。今回は収穫量が増えると言われる「土中緑化&胚軸切断挿し木法」で育てました。しかしサヤの見ると普通に育てたものと変わらないような…念の為、サヤを数えてみましょう。
その結果、それぞれの株に付いていたサヤは、30個・15個・14個・14個の合計73個でした。平均すると1株あたり18個になります。昨年育てた時には、1株あたり20個が収穫できましたので、ほぼ違いはないように感じます。手間ひまかけて育てたので、この結果はちょっと残念です。
合計には入れませんでしたが、ネズミに食べられたサヤは4つ見つかりました。これがなければ、もう少し数が増えていたでしょう。
収穫した枝豆は茎から外して茹で、良く見る「枝豆」として食べました。しっかりとした豆の味があり、量を除けばスーパーで売っているものと遜色のないできになりました。やはり水耕栽培で作る枝豆は楽しいです。
まとめ
それでは今回の栽培まとめになります。
- 土耕栽培で利用されている「土中緑化&胚軸切断挿し木法」を使って、枝豆を水耕栽培しました。この方法でもちゃんと収穫まで育ち、その味はとても美味しかったです。
- 収穫量は普通に育てたものとあまり変わりませんでした。緑化の具合や栽培季節、はたまた豆の品種など様々な影響があると考えられますが、今回の条件では収穫量を上げることはできませんでした。
- この方法を使って収穫量が増えた事例もありますので、やはり土耕向きで水耕栽培では難しいのかもしれません。まだまだ研究が必要なようです。
今回は収穫量アップを狙って、通常とは異なる育て方「土中緑化&胚軸切断挿し木法」で枝豆の水耕栽培に挑戦しました。しかし結果は従来法と変わらず、今ひとつ上手く育ちませんでした。思った以上に地上部の茂りが弱く、そのせいで収穫量も伸びなかったのだと思います。
もし土中緑化&胚軸切断挿し木法で枝豆を水耕栽培をしようと思っている方は、この記事が参考になるかもしれません。もし上手く収穫できるようでしたら、こっそりとその条件を教えてくださいね。
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