昨年は枝豆の水耕栽培を4回行いました。発芽に失敗したり、収穫量が少なかったりと様々な苦難がありましたが、最終的には1回の栽培で100個を超えるサヤを収穫することができました。枝豆を水耕栽培している人は少ないらしく、その情報が少ない中で良くできたなと思っています。
しかし今一度考えると、成功した栽培は1回のみです。もしかしたら、偶然育ってしまった可能性も否定できません。そこで今年も枝豆を栽培して、本当に水耕栽培ができるのか確かめてみます。
昨年に使った枝豆の品種は『白鳥(青豆)』でしたので、今年は品種を変えて『福の泉(茶豆)』にチャレンジします。もしこの品種でも育ち、そして収穫できれば、枝豆の水耕栽培は再現性がありと言えそうです。それでは栽培装置を用意して、種蒔きをしましょう。
- 茶枝豆の種
- 栽培装置
- 液体肥料
- 2019年4月21日 種蒔き
- 2019年4月28日 双葉が地上に出る
- 2019年5月3日 初生葉が開く(発芽から3日目)
- 2019年5月12日 青虫を発見(発芽から12日目)
- 2019年5月19日 予防薬を散布(発芽から19日目)
- 2019年5月25日 斑点細菌病にかかる(発芽から25日目)
- 2019年6月8日 開花(発芽から39日目)
- 2019年6月16日 サヤを発見(発芽から45日目)
- 2019年6月22日 食害により撤収(発芽から51日目)
- まとめ
茶枝豆の種
今回は茶枝豆なだけあって、茶色い種です。種袋のうたい文句によると『食欲そそる香りとコク』とのことで、否が応でも期待してしまいます。
栽培装置
今回使用する栽培装置は、この記事《底面給水式の水耕栽培装置をさらに改良。発芽時の水分問題を解決しました》のものを使います。培地止めに使っているスポンジは量の割に金額が高いので、できるだけ薄く切って敷きました。
液体肥料
液体肥料にはこれまでと同様、微粉ハイポネックスを水道水で1000倍に希釈したものを使用します。
2019年4月21日 種蒔き
種をまく前にまず、バーミキュライトを液体肥料で湿潤させます。枝豆の種には根が出る場所があり、それは種に筋が入っているところです。その部分を下にして培地に置きました。そして2cmくらいとなるように覆土をします。ちなみに種の数は1カップあたり4個、計12個を蒔きました。
装置にはまだ液体肥料を満たさずに、底から3cmくらいとなるように注いで置きます。液体肥料が培地に付くくらい入れてしまうと、水分が多すぎて発芽に失敗してしまうので注意しましょう。
この状態で南向きのベランダに出して、発芽するのを待ちます。
2019年4月28日 双葉が地上に出る
播種をしてから1週間で、種の頭が地上に見えてきました。
このカップでは3つが発芽しかけています。
しかしこちらでは、発芽する気配が全くありません。種を4つ蒔いたので、1つも出ないことはないと思うのですが…もう少し待ってみるしかなさそうです。
枝豆を栽培する時には、鳥に食べられないように対策をする必要があります。特に今年は鳥の被害が多く、1ヶ月前に蒔いた枝豆が8割方食べられてしまった苦い思い出があります。
今回の栽培では同じことが再び起きないように、アルミ線で支柱を立てて、1mm四方のネットを張りました。これで鳥は食べられないはずです。ある程度大きくなるまでは、この中で枝豆を育てていく予定です。
2019年5月3日 初生葉が開く(発芽から3日目)
双葉が開いた時の写真を撮る予定でしたが、すっかり忘れてしまいました。双葉は5月1日に開きましたので、本日は発芽から3日目となります。今は伸びてきた初生葉がもうすぐで開きそうになっています。
今回の枝豆栽培では思ったよりも発芽率が悪く、種を12個を蒔いて8個が発芽という結果になりました(発芽率67%)。ただ、そのうちの2株は明らかに成長が悪いです。
こちらは成長度合いが普通のカップです。
一方でこのカップに蒔いた種は苗が弱々しく、また発芽もそろいませんでした。全て同じ条件で種蒔きをしたのですが、1カップだけこうなってしまった理由は謎です。
育ちの良いカップでは根が培地止めスポンジを抜け、液肥に届きそうになっています。
このタイミングで液肥をカップの底よりも少し下まで入れ、根が浸かるようにしました。もう少し大きくなったら、カップに付くくらいまで入れる予定です。
2019年5月12日 青虫を発見(発芽から12日目)
本葉が開きましたので、液肥をカップに付くまで入れました。背丈がかなり伸びてきており、左側の株は支柱まで達しています。後日、もう少し高い骨組みを作ろうと思います。
今は2本目の本葉が出てきている途中です。新芽には動物のような毛がびっしりと生えています。
葉を観察していると、小さな穴がいくつか開いているのを発見しました。おそらく青虫ですので、葉を裏返して探し出します。
見つけました。この青虫は隠れるのが不得意なのか、穴のすぐ隣にいました。これ以上食べられるのは困るので捕殺しておきます。防虫ネットを張っていても入ってくるとは、どこかに隙間でもあるのでしょうか。
2019年5月19日 予防薬を散布(発芽から19日目)
前回の報告の後、支柱を大きいものに組み替えました。しかし枝豆の成長は早く、もう最上部に達しています。また横幅も狭くなっていますので、本日からは防虫ネットを外して育てます。美味しそうな葉が虫に見つからないことを祈るばかりです。
今は4セット目の本葉が開き、また5セット目の葉が見えている状況です。
急激に大きくなっているためか、株元の茎には縦割れが生じています。
昨年枝豆を育てた時には、葉が茶色くなる「ダイズ斑点細菌病」に苦しめられました。そこで今年は先手を打って、予防薬を散布しておきます。
使うのは《サンボルドー》と呼ばれる薬です。これは銅の殺菌効果を利用したもので、化学農薬とは異なり使用制限がないことが特徴です。
この薬を水道水で500倍に希釈をして、葉の表と裏面に滴る程度スプレーしました。これでおそらく大丈夫でしょう。今後も定期的に散布していく予定です。
ちなみに、数日前に「プランター掛け」を購入したので、栽培場所がベランダの床から手すり部分へ移動しました。より日当たりが良くなったので、成長スピードが上がってくれるはずです。
2019年5月25日 斑点細菌病にかかる(発芽から25日目)
先日、病気の予防のために薬を散布しました。しかし斑点細菌病が発病してしまいました。
少し分かりにくいですが、葉脈に沿って茶色い斑点が見られます。
また茎の一部には黒いラインも入っています。
幸いなことに症状はまだ軽そうですので、再び500倍に希釈したサンボルドーを撒きました。このまま症状が広がらないと良いのですが…
2019年6月8日 開花(発芽から39日目)
昨年育てた枝豆の品種は「白鳥」と呼ばれるものです。この品種はあまり背が高くならなかったので育てやすかったです。しかし今回の「福の泉」は丈が50cmまで成長し、とうとう写真に収まりきらなくなりました。
この大きさは栽培装置で育てられるサイズを超えています。地上部が重いのでカップが傾き、蓋に負担がかかってしまっています。もしかしたら縁が割れてしまうかもしれません。
発病した斑点病ですが、進行スピードは遅くなりつつあります。しかし治る気配はありません。とりあえずボロボロになった葉を整理して、風と光が入るようにしました。
発芽から約40日で開花し始めました。大きく育っているだけあって、蕾の数も多いです。枝豆の花は1日でしぼみ、そのあとにサヤが伸びてきます。目安としては開花から35日で収穫となります。7月中旬には食べられそうですね。
2019年6月16日 サヤを発見(発芽から45日目)
茶豆は大きくなりすぎて、栽培装置のプラカップでは支えきれなくなりました。そのためベランダの隅に置き、柵にヒモを張って倒れないようにしました。これほどに成長するとは予想外です。
先日、枝豆の花が咲きました。そしてその花が落ちた部分から、サヤが伸びてきました。まだ指先程度の大きさですが、小さな膨らみが3つ見て取れます。
ただ株全体を見回すと、花が咲いた割にはサヤの数が少ない気がします。これから伸びてくるのでしょうか?
2019年6月22日 食害により撤収(発芽から51日目)
今週に入ると、伸び始めたサヤが徐々に減っていく怪現象が起きました。「もしかしてネズミに食べられているかも?」と思いましたので、匂いでネズミを寄せ付けなくする禁忌剤を置いて対策をしました。
奥にある青色の欠片が禁忌剤です。これを栽培装置の四隅に置きました。しかし全く効かず、サヤは日に日に少なくなってきます。
頑丈な防虫ネットをかけることも考えましたが、枝豆の株はあまりにも大きく、全体をカバーできるネットは手元にありません。現状では、効果があるのか分からない禁忌剤だけが頼りです。
そして数日が経過した結果、サヤを全部食べられてしまったのです…
一応、上の方にはヤサ数個が残っていました。しかし実が収穫できなくなった枝豆は、もはや雑草と変わりありません。このまま育てても液肥を消費するだけなので撤収することにしました。
まとめ
それでは栽培のまとめを行います。
- 今回育てた茶豆はあまりにも大きくなり、使用した栽培装置で育てるのは不可能なくらいになりました。大きさに差はあれど、枝豆の品種が違っても水耕栽培はできるようです。
- 斑点病の予防に失敗し、先年と同様に発病してしまいました。毎回の栽培で患うので、家の周りの空気には病原菌が常に漂っていると疑ってしまいます。
- ヤサは収穫前に全てネズミに食べられてしまいました。禁忌剤を置いても逃げて行かず、食欲の強さを感じました。
調子よく育っていただけに、サヤを全て食べられてしまったのはあまりにも悲しい出来事です。栽培は途中で終了しましたが、おそらく順調に育てば収穫までできたかと思います。枝豆は品種が違っても水耕栽培できるようなので、もし興味のある方はチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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