
今年の秋、買ってきたキャベツの苗を水耕栽培装置に移植して育てました(参考記事:土耕栽培のキャベツ苗を水耕栽培装置に移植。上手く育ってくれるかドキドキです )。水耕栽培は土耕栽培と異なり、根で地上部を支えることができません。そこで何かしらの方法で固定するのですが、この時には茎をスポンジで挟んで穴に入れる方法を使いました。
キャベツは順調に大きくなり、どんどん葉が広がってきます。そして風が強かった日に事件が起きました。地上部の重さに耐えきれず、株が液肥槽に落ちてしまったのです。どうもスポンジの固定力では、キャベツの重量を支えきれないようです。
そこで今回は「つっかえ棒」が付いた水道管の継ぎ手を利用して育ててみます。もちろんそんな都合の良いものは売っていないので、材料を買ってきて自作します。初めての試みなので上手く行くか分かりませんが、継ぎ手を加工して種蒔きをしてみましょう。
- キャベツの種
- 液体肥料
- 栽培装置の作成
- 2019年11月3日 種蒔き
- 2019年11月8日 発芽(発芽から0日目)
- 2019年11月16日 1回目の間引き(発芽から8日目)
- 2019年11月24日 本葉の成長(発芽から16日目)
- 2019年11月30日 エアレーション開始(発芽から22日目)
- 2019年12月15日 問題なく適応(発芽から37日目)
- 2019年12月29日 茎が太くなる(発芽から51日目)
- 2020年1月19日 葉が大きくなる(発芽から72日目)
- 2020年2月8日 結球の始まり?(発芽から92日目)
- 2020年3月7日 成長の停滞(発芽から120日目)
- 2020年3月20日 玉の成長(発芽から133日目)
- 2020年3月28日 キャベツの露見(発芽から141日目)
- 【番外編】2020年4月15日 別の株が裂球
- 【番外編】 2020年4月19日 裂球キャベツの収穫
- 2020年4月19日 アブラムシ対策(発芽から163日目)
- 2020年4月26日 収穫(発芽から170日目)
- まとめ
キャベツの種

育てる品種は『中早生二号』です。蒔き時が春・夏・秋と広く、球は1.5kg前後になる育てやすいキャベツとのことです。本来の種は茶色だと思うのですが、農薬処理をされているため青色となっています。
キャベツを秋蒔きする場合、収穫は来年の春になります。ちょっと長い戦いになりそうなので、病気に注意しつつ育てようと思っています。
液体肥料

液体肥料には、微粉ハイポネックスを水道水で1000倍に希釈したものを使用します。この液肥の素は、名前の通り粉状です。水に溶かしても溶けない成分がありますが、問題ありません。溶け残りごと栽培装置の中に入れましょう。
栽培装置の作成

今回は水道管の継ぎ手(TS-FS25)を使ってキャベツを育てます。
継ぎ手の側面に直径4.5mmの穴を2つ開け、直径4mmのステンレス棒を通します。そして接着剤で固定します。この「つっかえ棒」が地上部を支えることになります。強度は十分にあり、指で押したくらいではびくともしません。

次に給水布とスポンジを取り付けます。 そして継ぎ手の縁までバーミキュライトを入れ、液肥で湿潤させます。

この継ぎ手に「圧力分散板」を取り付け、蓋に穴を開けた5L容器に差し込みます。これをもう1セット、合計2個を作りました。

圧力分散板とは、穴の開いたプラスチックの板です。継ぎ手の縁は狭いため、上から過剰な力がかかると蓋が割れる可能性があります。この板を取り付けることで圧力を分散させ、破損や変形を防止しているのです。

最後に直射日光を遮るためのアルミ保温シートと、防虫ネットをかけるための支柱を取り付けて完成です。外に出す際には支柱の上から不織布をかけて、裾をヒモで縛り虫の侵入を防ぎます。
2019年11月3日 種蒔き

種はそれぞれの継ぎ手に4個置き、厚さ数mmとなるように覆土を行いました。液肥は給水布が浸るくらいの量を入れています。
今の季節は昼と夜の寒暖差が大きいです。そのため昼は屋外に、夜は室内に取り込んで発芽するのを待ちます。
2019年11月8日 発芽(発芽から0日目)

無事に発芽しましたので、本日を「発芽から0日目」として記録をしていきます。
合計8個の種を蒔いて、全てから芽がでました。素晴らしい結果です。
2019年11月16日 1回目の間引き(発芽から8日目)


白菜などの他のアブラナ科と比べると、キャベツの成長はゆっくりな気がします。今は小さな本葉が出てきたところです。

双葉が触れ合ってきたので、このタイミングで1回目の間引きを行います。成長の遅いものを2つ選び、ハサミを使って株元から切り取ります。

これで間引きの完了です。次の間引きは本葉が数枚出た頃を予定しています。
2019年11月24日 本葉の成長(発芽から16日目)

間引きをして2本残した株は、今のところどちらも同じ成長度合いです。

小さいながらも、本葉はそれっぽい形となってきました。キャベツの葉は1枚1枚が大きいですが、この本葉もそのくらいになるのでしょうか?
2019年11月30日 エアレーション開始(発芽から22日目)


季節が冬に突入したようです。この前は最高気温が10℃に届かない日があり、軽装で外に出たことを後悔しました。こんな気温のせいかキャベツはあまり成長しておらず、見たところ中心にある新葉が数mm伸びただけです。

地上部の変化は少ないですが、根はちゃんと伸びています。
以前の経験から、キャベツの栽培時にはエアレーションが必要なことが分かりました。そこで根が見えた本日から、エアーポンプを使って液肥をブクブクさせていきます。

エアレーションをする前に、栽培容器の加工をしましょう。縁に幅6mmほどの切り込みを入れて、送気チューブを入れても蓋がしっかりと閉まるようにしました。

エアーストーンは上手く沈むように、適当な石の板を重りとして括り付けています。エアーポンプは水作の「水心 SSPP-2S」を用意しました。

今まで使っていた液肥は全て捨て、新しい液肥を継ぎ手の底に触れるくらいまで入れました。ここにエアーストーンを投入し、ポンプの電源をONにします。空気が送られると、直径5mmくらいの泡が勢いよく出てきました。これならば空気の供給と液肥の撹拌が十分にできそうです。

エアレーションの開始と同時に、2回目の間引きを行いました。

現在、栽培装置はこのように並んでいます。中央と右が今回のキャベツです。ちなみに左は晩夏から水耕栽培をしているキャベツです。1つのエアーポンプで、3つの栽培装置に空気を送っています。
これから12月 1月 2月と、さらに寒さが厳しくなります。もしかしたら雪が降る日もあるかもしれません。春になるまでは不織布を掛けて保温をし、株が傷まないようにしていきたいと思います。
2019年12月15日 問題なく適応(発芽から37日目)


エアレーションを始めて2週間。問題なく適応してくれたようです。

前回はちょろっとした根しかありませんでしたが、今では出てくる本数が多くなってきています。
ちなみに継ぎ手にいくつかの穴がありますが、これは穴あけ位置に失敗したものです。特別な効果を狙ったものではないので、あまり気にしないで下さいね。
2019年12月29日 茎が太くなる(発芽から51日目)


葉の数も多くなってきて、キャベツっぽい感じになってきました。

と言っても結球には程遠いです。結球は外葉が18~20枚になった頃に始まるらしいので、まだまだ枚数が足りませんね。

茎は太くなりつつあります。株元の色が紫なのが気になりますが、気温が上がれば緑色になるのでしょうか?

根の量もかなり増えてきました。ここまで来れば安心して見ていられます。
2020年1月19日 葉が大きくなる(発芽から72日目)


キャベツは寒くても成長を続けています。葉を広げた大きさは、栽培装置の横幅と同じくらいになってきました。

今ある中心部の葉が全て成長したら、結球が始まる枚数に達しそうです。
2020年2月8日 結球の始まり?(発芽から92日目)


最低気温が-3℃という日を経験したにも関わらず、キャベツはピンピンしています。前回と比べると幅はあまり変化していません。ただ、中間部の葉が斜め上に立ち始めた気がします。

中に行くほど傾斜がきつくなり、中心部はほぼ垂直方向に伸びているのが分かります。

上から見ると、新しく出てくる葉の密度が高いです。この株だけではなく、一緒に育てているもう1つの株も同じ現象が起きています。 もしかしてこれから結球が始まるのでしょうか?
2020年3月7日 成長の停滞(発芽から120日目)


結球が始まってから1ヶ月が経過しました。もっと成長するかと思いきや、一回りほどしか大きくなっておらず停滞気味です。

結球部分は拳の半分くらいのサイズになっています。指でつまむと固さを感じますので、中には葉が詰まっているのでしょう。

葉の表面にあるワックス(撥水)成分の量は多く、手で触れた部分はそれが取れて色が変わったように見えます。

昔からある根は藻が付着して緑色ですが、最近伸びてきた根は白いです。分岐も多く、栄養を効率よく吸収できそうな感じがします。
キャベツが成長するには、まだ少し気温が低いようです。天気予報を見ると、最高気温が10℃だったり23℃だったりと安定しません。4月になってから本格的な成長が始まりそうです。
2020年3月20日 玉の成長(発芽から133日目)


キャベツの株は、外葉を含めた直径がかなり大きくなる印象がありました。水耕栽培の場合はそれほど巨大化しないのでしょうか?今のところ、栽培装置と同じくらいのサイズに収まっています。

下葉は徐々に枯れてきています。病気のような不自然さはなく、新陳代謝の一環として定期的に落ちている感じです。

結球部分は握りこぶしよりも大きくなってきました。これから重くなっていくと思うので、つっかえ棒が役目を果たしてくれることに期待です。
2020年3月28日 キャベツの露見(発芽から141日目)


相変わらず外葉の成長はありません。しかし着実に成長しています。

中間部にあった葉が開き、急にキャベツが現れてきました。予定ではあと1ヶ月で収穫です。これは期待できそうですね。

結球部が大きく重くなってきているため、栽培筒(水道管)には割と負荷がかかっているはずです。まだ培地が陥没するなどの傾向は見られませんので、つっかえ棒が効いているようです。

冬の間、鳴りを潜めていたアブラムシ…暖かい気候になったため増えてきました。まだ許容できる範囲なので、次の週末になったら薬を散布しようと思います。
【番外編】2020年4月15日 別の株が裂球

記事内で観察しているキャベツですが、実は同じ条件でもう1株を育てています。こちらも結球が始まり、収穫までもう少しのところまで来ていました。しかし残念なことに、裂球してしまいました。

近付いて写すと、見るも無残な状態てあることが分かります。
裂球の原因は内部の急激な成長、つまりトウ立ちです。内側から出てこようとする圧力に耐えきれず、外側が裂けてしまったのです。残念ですがもう元には戻らないので、週末になったら収穫します。

成長を追っているキャベツの方は無事ですので、引き続き成長を記録していきます。
【番外編】 2020年4月19日 裂球キャベツの収穫

やっと週末になりました。例の裂球キャベツを収穫しましょう。

前回よりも裂けた部分が大きくなっています。まるでエイリアンが口を開けているように見えます。特に虫などが住み着いている感じはないので、軽く水洗いすれば普通に食べられそうです。


株元を切って外葉を落とせば、収穫の完了です。良くできているだけに非常に惜しいです。もう1つの方に期待しましょう。
2020年4月19日 アブラムシ対策(発芽から163日目)


困ったことにアブラムシの増殖が収まりません。そのせいなのか、下側の葉数枚が黄色くなって枯れ落ちそうです。

写真の点々は汚れではなく、全てアブラムシです。悠々とキャベツの汁を吸っています。

アブラムシが増えたのは風通しの悪さが原因の1つかもしれません。そこで枯れかけた下葉を取り去って、風が入るようにしました。

空気の流れは良くなったのですが、下葉の支えがなくなったせいで株の座りが悪いです。そこで上手く立つように、木の板を入れて補助しています。

今まで使っていた不織布の囲いも止めます。ただしノーガードでは鳥やチョウが近付いてくるので、目が粗いネットを設置しました。
網目の隙間からアブラムシを食べる益虫が入ってくれると嬉しいのですが、どうでしょうか?この状態で栽培を続け、数が減るか確かめます。
2020年4月26日 収穫(発芽から170日目)


風通しを良くすればアブラムシが立ち退くかと思いきや、1週間たっても特に減った感じはありません。また困ったことに、前回の写真と比較すると、結球部分が大きくなっていないのが分かりました。どうも成長が止まってしまったようです。

成長が止まっただけではなく、下葉もどんどん落ちています。この葉は半分黄色くなっており、触っていたらポロッと取れてしまいました。これで外葉はあと1枚です。これ以上待っても被害が広がるだけなので、不本意ながら本日収穫をします。

と、その前に栽培筒を確認しましょう。少々汚らしいですが、現在の株元状況です。地上部が重くなっているにも関わらず、液肥槽に落ちる気配はありません。落下防止のつっかえ棒が1本あるだけで、かなり効果があるようです。

それでは作業開始です。株元の茎は固いので、剪定バサミを使って切ります。

これで収穫の完了です。重さは片手で楽に持てるくらいです。次はアブラムシが大量に付いた外葉を取っていきます。

すると野球ボール以上、ソフトボール未満のサイズにまで小さくなってしまいました。元々が大きくなかったので、このくらいが我慢どころかもしれません。

今回の栽培で使った栽培筒を見ましょう。取り付けたステンレス製のつっかえ棒は取れたり曲がったりすることなく、栽培当初のままです。

そして筒の中の根はこのようになっていました。ちょうど金属棒のところにスペースが空いているのが分かるでしょうか?この部分で地上部の全重量を支えていたようです。今回の栽培の目的であった『つっかえ棒による落下防止』は、とりあえず成功しました。

ちなみに新品のバーミキュライトは茶色をしています。しかし栽培が終わったバーミキュライトは黒く変化していました。他の野菜では、このような変色はしたことがないです。キャベツから出た成分と反応したのでしょうか?謎です。

今回収穫したキャベツの重さを測ると560gでした。市販品のキャベツは約1000gらしいので、プロが作るキャベツにはまだまだ遠いですね。

それでは中身がどうなっているか切ってみましょう。

包丁でパカッと半分に割ります。

中心部は非常に詰まっており、ここだけを見れば市販品と遜色はありません。途中で成長が止まったのが本当に悔やまれます。
収穫したキャベツは鍋の材料として、全て使いきりました。採りたてのおかげか加熱するととても柔らかかったです。気のせいかもしれませんが、火の通った中心部はトウモロコシのような甘い風味がありました。
まとめ

それでは今回の栽培まとめになります。
- 栽培筒につっかえ棒を通すことで、キャベツの落下を防ぐことができました。直径4mmのステンレス棒では頑丈過ぎたので、もう少し細いものでも大丈夫だと思います。
- キャベツは発芽から170日で収穫できました。途中で成長が止まってしまったので強制収穫となり、可食部の重さは560gと市販キャベツの約半分でした。
- 成長が止まった原因はアブラムシが原因なのか、それとも栽培装置の問題があったのか現時点では断定できません。しかし途中までは上手く育っているので、もう一息で立派なキャベツができそうです。
今回はつっかえ棒を通した筒を使ってキャベツの水耕栽培を行いました。目的は達成できたのですが、どういうわけか途中で成長が止まってしまいました。

この原因は液肥槽にあると思います。写真は収穫日に撮影した液肥槽です。
根には藻が生えて、かなりの深緑色となっています。この栽培装置は遮光をしていないので、栽培日数が多くなるほど藻が増えてしまう欠点があります。
またキャベツの根の量は多く、5Lの容器では小さかったです。観察していると、根と根に付着した藻のせいで、エアレーションによる撹拌が上手くできていなさそうでした。遮光をした15Lほどの容器を使えば、根が上手く泳いでくれそうです。
次回の栽培では、液肥槽を変更して再チャレンジします。土耕栽培にすれば解決しそうな問題ですが、あえて水耕栽培でキャベツを育てたいのです。最後になりますが、この記事がキャベツの水耕栽培のお役に立てれば幸いです。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。