水耕栽培もとい、家庭菜園をしていると冬は暇です。寒さのせいで植物の成長は遅く、また種を蒔いてもまず発芽しません。そこでこの閑散期を利用して、室内で育てるための水耕栽培装置を自作することにしました。
もちろん作らなくても、このような栽培装置は市販されています。ネックは価格で、なんと数万円もします。もしこれで元を取ろうとすると、効率良く育てても数年かかってしまいそうです。もし自分で作ることができたら材料費(と手間)だけでよいので、より低コストで運用できるでしょう。
ウェブで画像検索すると、栽培装置はライト部分さえ作ってしまえば、あとは適当な箱を用意すればできそうです。最初は光源としてLED電球を考えていました。しかしさらに調べると「LEDテープ」なるものを発見しました。この商品は自由な長さに切って光らせることができるので、明るさの調節がしやすそうです。
この記事ではLEDテープを使って水耕栽培装置を作ってみます。初めての試みなので、とりあえず形にして、実際に使っていく中で徐々に改良を施したいと思います。それでは通販で材料を集めましょう。
用意する部材
- LEDテープライト
5050 白色光 300連/5m 一般防水仕様(IP65) - ACアダプター
12V 2A - 伸縮チューブ
幅10mm - 接着剤
セメダイン スーパーX クリア - アルミ板
縦300mm 横170mm 厚さ1mm - 配線コード
被覆が赤色と黒色のもの(0.5sq) - 半田
スズ60% 鉛40% 線径1.0mm ヤニ入り - デジタルコンセントタイマー
- 発泡スチロール箱
- DC電源コネクター
- 両面テープ
- 幅10mm 厚さ1mmのアルミ平棒
- ホットメルト接着剤
- 発泡スチロール箱
使用する道具
- 半田ごて
- カッター
- ライター
- グルーガン
- 3Dプリンター
作り方
- LEDテープを長さ25cm×5本に切る
- 接点上にある防水被覆を取り除く
- 接点に配線をはんだ付けする
- はんだ付けした部分に接着剤を盛る
- 伸縮チューブを通し、熱で収縮させる
- DC電源コネクターを取り付ける
- LEDテープをアルミ平板に貼り付ける
- 5をアルミ板に貼り付ける
- LEDテープ、ACアダプター、デジタルコンセントタイマーをつなぐ
- 発泡スチロール箱に設置する
- 完成
作り方の解説
LEDテープとはLED素子などを幅10mmほどの基板に載せたもので、テープの様に曲げられるのが特徴です。写真のようにリールに巻かれており、商品によっては電源ケーブルも付属しています。
コンセントに繋げて光らせてみました。今回はこのLEDテープを使って水耕栽培装置を作ります。
用意したLEDテープはLED素子が1mあたり60個あり、さらに基板にはシリコンが盛られている防水仕様の「5050」の 白色光です。最初は非防水でも良いかと考えたのですが、結露や葉が触れることによるショートが起きそうなので防水型に決めました。
ここからは作り方となります。LEDテープ1本だけだと光量が足りないので、5本を直列に繋いで光らせます。
まずはLEDテープを25cmの長さに切ります2つ上の写真を見てもらうと分かるのですが、切る場所は決められており、ハサミマークがあります。マークの場所で切り離します。
次に接点を覆っているシリコン皮膜をカッターで剥がします。
ここに配線をはんだ付けします。私は分かりやすい様にプラスは赤色、マイナスは黒色の線を使いました。配線は0.5sqを使いましたが、少し曲げにくかったので0.2sqでも良かったかもしれません。
この状態では非防水ですので、防水処理をします。はんだ付けした部分に接着剤を塗り、すぐに伸縮チューブを被せます。
この部分をライターで炙って伸縮させれば防水処理の完成です。はみ出た接着剤は拭き取っておきましょう。この作業をはんだ付けした全ての部分に行います。
今回使った接着剤は、シリコン樹脂も着けられる高性能なものを選びました。もし手に入らない場合は、ホットメルト樹脂と伸縮チューブでも事足りると思います。
5050のLEDテープは明るい代わりに、発熱量が多いです。そこで放熱性を上げるために、アルミ板に貼り付けます。しかし防水処理した場所の盛り上がりや配線のテンションにより、末端が浮き上がってきてしまいました。
浮き上がりを解決するために、ちょっとした加工を施します。適当な長さに切ったアルミの平板にLEDテープを貼付けます。
これらを両面テープでアルミ板に貼り付ければOKです。放熱性が少し犠牲になった代わりに、無理な力が掛からなくなりました。
がしかし、私の作業ミスにより、時間が経過すると再びLEDテープの端が浮くようになってしまいました。しかし今回は端から1cmくらいでしたので、「押さえ」を作って浮き上がりを防止します。
写真のような押さえ棒を3Dプリンターで作成しました。
これをホットメルト樹脂でアルミ板と接着します。もう浮き上がることはないでしょう。
今回の栽培装置は試作と言うことで、何かあっても改良できるよう簡単にバラせるようにしています。もしその必要がなければ、アルミ板に直接LEDテープを貼り、両端をホットメルト樹脂で固めれば、もっと簡単に作れますね。
このままでは電気を送れないので、配線にDC電源コネクターをはんだ付けします。
そしてDC電源コネクター・ACアダプター・コンセントタイマーをそれぞれ接続します。
今回用意したACアダプターは12V 2Aのものです。何AのACアダプターを使うかは計算して導き出します。5050(300連/5m)のLEDテープは電圧12Vで、1mあたり14.4W消費します。光らせる長さは1.25mなので、計算すると電流は14.4W×1.25m/12V=1.5Aとなります。これに安全係数1.2を掛けた電流値以上のものを使います。今回は家にあった12v 2AのACアダプターを使っています。
電源を入れると、かなり明るく光ります。中央部の真下5cmの位置で照度を測定したところ、約5000lxでした。トマトのような強い光を必要とする野菜は難しそうですが、レタスなどであれば栽培できそうな明るさです。
試運転として数時間連続点灯したところ、触れないほどではないですが、アルミ板が温かくなります。箱の中のような密閉した空間で使うのではなく、少なくともLEDテープを付けた反対の面は外側に出していた方が良さそうです。ちなみに12時間点灯した際の電気代は4.5円でした。
最後に、作ったライト部を乗せる容器を用意します。私の場合は光を反射しそうな発泡スチロール箱の中にプラスチック容器を入れ、その上に乗せました。これで栽培装置の完成です。
通信販売で格安品を集めたので、材料費は5000円もしなかったです。一番高価だったのはコンセントタイマーとACアダプターで各1500円でした。LEDテープは5m800円の格安品を購入し、実際に使ったのは1m強、つまり200円ほどです。市販の水耕栽培装(1〜3万円)と比べると見た目はかなり簡素ですが、必要な機能はあるはずです。 次の記事ではこの装置を使って、実際にリーフレタスを栽培します。
次の記事:
自作した水耕栽培装置で栽培実験!リーフレタスの「ちりめんしちゃ」を育てます
参考サイト
akiba LED ピカリ館 special contents
http://www.peace-corp.co.jp/akibaled/index.html
ここのコラムを一通り読めば、LEDテープについての知識が揃います。私のような初心者にとって、非常にありがたいサイトです。
使用した部材・道具の紹介
今回、栽培装置の作成に使った部材や道具を紹介します。コメントも書いておきますので、購入する時の参考にしてみて下さい。
・LEDテープ 5050 白色
《Amazonでの検索結果はこちら》
《楽天市場での検索結果はこちら》
この栽培装置を作るまでLEDテープと呼ばれる製品があるとは知りませんでした。はんだ付けをする必要があるので敷居が高いですが、挑戦してみてはいかがですか?自分でできることの幅が広がりまよ。
・半田ごて
【プレスト No.984-01】
《Amazonでの検索結果はこちら》
《楽天市場での検索結果はこちら》
本当は温調機能がある半田ごてがほしかったのですが、5000円と高く断念しました。代わりに2000円ほどの白光 プレストを選びました。実際に使ったところ、難しい作業をしない私にとってはこれで十分でした。
・ACアダプター 12V 2A
《Amazonでの検索結果はこちら》
《楽天市場での検索結果はこちら》
今回使ったACアダプターは2Aのものです。これはLEDテープの長さや種類によって変わります。その都度計算をして最適なものを使いましょう。
・アルミ板(厚さ1mm)
《Amazonでの検索結果はこちら》
《楽天市場での検索結果はこちら》
アルミ板は厚さ1mmのものを購入して、具合の良いサイズに切りました。この厚みならばカッターで何回か切り込みを入れて折り曲げれば切断できます。断面はヤスリがけをして滑らかにしておきましょう。
・接着剤
【セメダイン スーパーX クリア】
《Amazonでの検索結果はこちら》
《楽天市場での検索結果はこちら》
LEDテープの防水被覆であるシリコンゴムは普通の接着剤では付きません。しかしこの「セメダイン スーパーX クリア」はそれを接着することができます。白色もありますが、今回は光が通るように透明を使いました。
・デジタルコンセントタイマー
【リーベックス 節電エコタイマーET55D】
《Amazonでの検索結果はこちら》
《楽天市場での検索結果はこちら》
コンセントタイマーにはアナログ式とデジタル式があります。レビューを見るとアナログ式は時間のズレが大きいらしいので、今回はデジタル式を購入しました。
・グルーガン
【SK11 ピタガン GM-100】
《Amazonでの検索結果はこちら》
《楽天市場での検索結果はこちら》
グルーガンで押し出すホットメルト樹脂は、加熱すると溶けて、冷めると固まるノリみたいなものです。強力に接着するわけではないので、仮止めや後で取り外したい時に使うと良いでしょう。
・3Dプリンター
【Ender-3 Pro】
《Amazonでの検索結果はこちら》
《楽天市場での検索結果はこちら》
トラブルを解決するため、押さえ部品を3Dプリンターで作成しました。3Dプリンターはなければないで、どうにかなります。でもあるとあるで便利です。
《2020年12月20日 追記》
改良版を作成しました。
野菜の室内栽培で使うライトを改良。非防水型のLEDテープと大きなアルミ板を使って問題を解決します