春の種蒔きシーズンになると、ベランダの一角はたくさんの水耕栽培装置によって占拠されます。本当は数をもっと増やしたいのですが、これ以上にするとさすがに怒られそうです。ではベランダの栽培面積を変えずに、収穫する野菜の数を多くする方法はないのでしょうか?
今年の冬、LED育苗器を使って室内でレタスの苗を作りました(参考記事:自作した室内育苗器でレタス系3品種の苗を作成中。移植できるまでに何日間かかるでしょうか?)。その時に感じたのは、育苗器内では苗の成長がとても早くなることです。要因としては、光の照射時間を18時間/日としたため、屋外よりも長時間の光合成ができたからと考えています。そこで、ふと思い付きました。栽培装置に種を直接蒔かずに、育苗器で一旦育ててから定植すれば、ベランダでの栽培期間が短くなるかもしれません。今、LED育苗器は稼働していないので、栽培実験をする価値はありそうです。
実験に使う野菜は、様々な料理に使える小松菜にしました。仮に収穫までの日数を30日、育苗を10日とすると、屋外で育てるのは20日間となります。これならばベランダの面積を増やさなくても収穫効率を上げられそうです。早速、栽培の準備を始めましょう。
- 育苗器
- 栽培装置
- 液体肥料
- 2021年5月3日 種蒔き
- 2021年5月5日 発芽(発芽から0日目)
- 2021年5月9日 間引き(発芽から4日目)
- 2021年5月12日 栽培装置に定植(発芽から7日目)
- 2021年5月16日 順調な成長 (発芽から11日目)
- 2021年5月22日 アオムシに食べられる(発芽から17日目)
- 2021年5月29日 収穫は待ち(発芽から24日目)
- 2021年6月5日 収穫(発芽から30日目)
- まとめ
育苗器
育苗器のライト部は、この記事《野菜の室内栽培で使うライトを改良。非防水型のLEDテープと大きなアルミ板を使って問題を解決します》を参考にして組み立てました。
組み立てたライト部は、内側にアルミ蒸着保温シートを取り付けて、できるだけ光が反射するようにした発泡スチロール箱(幅39cm×奥行32cm×高さ26cm)に乗せました。これを育苗器として使用します。
栽培装置
栽培装置はこの記事《「黒色ビニール袋」を使って遮光仕様の水耕栽培装置を作製。液温上昇と藻の増殖を防ぎます 》を参考にして組み立てました。
追加した機能としては、お茶パックの底に穴を開けて化学繊維でできた布を通したことです。この布を通してカップ内の培地に液肥を供給します。
液体肥料
液体肥料には、微粉ハイポネックスを水道水で1000倍に希釈したものを使用します。
2021年5月3日 種蒔き
セルトレイにバーミキュライトを入れ、液肥で湿潤させました。この上に小松菜の種を3個ずつ置き、厚さ2〜3mmとなるように覆土を行いました。
このセルトレイを育苗器に入れて育てていきます。セルトレイと光源の距離は10cmほどです。光は16時間連続照射し、残りの8時間は暗所環境とします。
2021年5月5日 発芽(発芽から0日目)
双葉が開きましたので、本日を「発芽から0日目」として記録をしていきます。発芽率は90%を超えており、良好な結果です。
2021年5月9日 間引き(発芽から4日目)
発芽から4日間が経過しました。思っていたよりも茎が伸びており、平均すると地面から双葉の付け根まで2cmほどあります。今のところ倒れるほどではないですが、少し気になります。
茎が伸び気味の原因としては、LEDライトから出る熱で育苗器内の気温が上がっていることが考えられます。温度を測定すると室温28.0℃に対して、育苗器内は29.6℃でした。もしこれ以上伸びるようであれば、何らかの対策をしたいと思います。
何はともあれ、本葉が見えてきたので、小松菜はこれから一気に大きくなるでしょう。このタイミングで間引きを行います。
背の高いものを中心に切り、1セル1株となるようにします。
間引きが完了しました。本葉が3枚ほどになったら栽培装置に定植をしたいと思います。
2021年5月12日 栽培装置に定植(発芽から7日目)
2枚目の本葉が成長し、中には3枚目が見えているものもあります。葉の成長スピードはとても早く、朝と夕方では明らかにサイズが違っています。
成長するのは良いことです。しかし上部が重くなり、倒れる株が出てきてしまいました。予定より早いですが、栽培装置に定植をしましょう。苗の数は8個ありますので、成長具合の良いものを6個選び、植え替えていきます。
セルトレイから培地を抜いても崩れません。根張りは良いようです。
15分ほどで作業は終わりです。伸びた茎の半分が埋まるように植えています。最後に害虫対策として、装置の上に不織布をかけて裾を固定しました。
この栽培装置は南向きの2階のベランダに置きました。あと3週間で収穫できる大きさになるでしょうか?観察を続けましょう。
2021年5月16日 順調な成長 (発芽から11日目)
定植した6株は全て根付いたようです。1~2枚目の本葉が大きくなり、カップの縁から出ています。
ニュースを見ていると、今年の梅雨入りは記録的な早さになりそうです。直射日光がない中でも小松菜は成長してくれるでしょうか?
2021年5月22日 アオムシに食べられる(発芽から17日目)
小松菜はぐんぐんと育っています。本日は発芽から17日目で、予定の半分を過ぎたことになります。
虫が寄り付かないように不織布で覆っていますが、それでも葉を食べられてしまいました。どうやら隙間から入ったようです。裏側を見ると、体調1cmほどのアオムシがいたので捕殺しておきました。
もちろん他の場所に隠れている個体もいるでしょう。そこでアオムシ対策薬である「ゼンターリ顆粒水和剤」を1000倍に希釈して散布しました。これからは虫との戦いが続きそうです。
2021年5月29日 収穫は待ち(発芽から24日目)
発芽から24日目となりました。収穫できるサイズかとは思いますが、もう少し大きくしたいので来週まで待ちます。
現在、アブラムシが新芽で増えてきています。ティッシュで拭って、取り除いておきましょう。
2021年6月5日 収穫(発芽から30日目)
小松菜は追加した1週間でかなり成長してしまい、収穫時期を逃した気がします。先週採っておけば…と少し後悔です。
葉は穴だらけとなってるものが多数あります。イモムシのような食べられ方ではないので、もっと大型の昆虫がかじったのだと思います。
先週発見したアブラムシは爆発的に増殖し、あらゆる葉で姿を見かけます。食べる前にしっかりと洗い流す必要がありそうです。
茎はしっかりとした太さになっており、歯ごたえが良さそうな感じがします。
1ヶ月の栽培期間を考えると、根は標準的な量です。
最後に、株元を切って収穫をしました。これにて栽培記録は終了です。
まとめ
今回はベランダで育てる期間を短くするために、LEDライトで小松菜の苗を作ってから屋外で育てました。室内での栽培期間は7日、屋外では23日となり、結果としては満足のいくものとなりました。今後はこの栽培方法も使いつつ、野菜の栽培を楽しんでいこうと思います。
本記事が皆様の家庭菜園のお役に立てれば幸いです。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。