あれは確か、昨年の11月頃だったと思います。郊外にある大型ホームセンターに寄った際に、変な種を発見したのです。それが画像の「あまいサラダスティック」です。調理後の写真を見るとアスパラガスっぽいような、っぽくないような…一応、種袋には『ナバナ』という表記があったので、多分ナバナの一種なのしょう。しかし写真に写っている葉はナバナとは異なるようにも見えます。正直、どんな野菜なのか皆目検討も付きません。
あまりにも不審な野菜ですので、ついうっかり買ってしまいました。育て方を読むと購入した11月では種を蒔くには遅すぎるようです。そこで春になった今、満を持して引き出しから出してきました。栽培例を調べようと思い「サラダスティック」で検索をすると、同名のカニ風味かまぼこしか出てきません。これでは全く参考ににならないため、今度は販売元のウェブページで調べてみました。するとまさかの《検索結果:0件》です。
販売元にも掲載されていないサラダスティック。今回はこれを水耕栽培してみようと思います。密植えができそうですので、5Lの栽培装置で6株を同時に育てます。花が咲きだしたら収穫せよとのことですので、1回限りの栽培となりそうです。どう育つのか全く分かりませんが、まずは種蒔きから始めましょう。
- サラダスティックの種
- 水耕栽培装置
- 液体肥料
- 2020年3月8日 種蒔き
- 2020年3月10日 発根
- 2020年3月13日 発芽(発芽から0日目)
- 2020年3月20日 1回目の間引き(発芽から7日目)
- 2020年3月22日 本葉が出てくる(発芽から9日目)
- 2020年3月28日 2回目の間引き(発芽から15日目)
- 2020年4月3日 成長中(発芽から22日目)
- 2020年4月11日 トウ立ち開始(発芽から30日目)
- 2020年4月19日 収穫(発芽から38日目)
- まとめ
サラダスティックの種
サラダスティックの種はアブラナ科のものと良く似ています。直径2mmほどの茶色の球形です。
種袋に書いてあるサラダスティックの説明は以下の通りです。
アスパラガスのように伸びてきた蕾と茎を一緒に食べます。たいへんあまく、ポリポリとした食感で、そのまま生で食べられますし、おひたしや油炒めにも使えます。生育スピードが非常に早く、手軽に作れる野菜です。
収穫は茎が20~30cmに伸びて、花が咲き始めたらするようです。また種蒔きの時期は中間地で3月中旬~10月上旬と、かなり長くなっています。気になるのは本当に生で食べられるのかです。収穫できたらその場でポリポリとかじってみようと思います。
水耕栽培装置
栽培装置はこの記事《底面給水式の水耕栽培装置を改良。水面が低下しても液肥が供給されるようにしました》を参考にして組み立てました。
液体肥料
液体肥料には、微粉ハイポネックスを水道水で1000倍に希釈したものを使用します。
2020年3月8日 種蒔き
サラダスティックの種を1カップあたり5~6個を蒔き、数mmの覆土を行いました。この栽培装置を室内に置いて、発根するのを待ちます。
2020年3月10日 発根
種蒔きから2日後には発根し、葉が見えてきました。まだ日に当たっていないので、全体的にクリーム色をしています。
明日には立ち上がると思うので、栽培装置に防虫ネットを掛けましょう。
アブラナ科の野菜は春になると大量のアオムシが発生します。農薬でも対処できますが、最初のうちはチョウが近付けないようにネットを設置しようと思います。まずステンレス製の針金を2本用意して、写真のように曲げて支柱を作ります。
ここに不織布をかぶせて、裾を適当なヒモで縛ります。これでチョウが入れる隙間はなくなりました。
ちなみに液肥槽を覆っているのは「アルミ蒸着保温シート」です。日光で液肥の温度が上がりすぎないよう、影を作る役割を期待して取り付けています。この状態で屋外の日が良く当たる場所に置きます。
2020年3月13日 発芽(発芽から0日目)
無事に発芽しましたので、本日を「発芽0日目」として記録をしていきます。
2020年3月20日 1回目の間引き(発芽から7日目)
サラダスティックは順調に成長中です。発芽率が非常に良かったので、カップの中が手狭になってきました。それでは1回目の間引きを行いましょう。
5~6株の中から成長の良いものを3株残して、残りを切り取ります。
これで作業完了です。だいぶスッキリしました。
双葉の間からは本葉が3mmほど頭を出しています。どのような形なのか、今から気になります。
根の成長は早いもので、もうカップの底から出てきました。そこで根が浸るように液肥を追加して液面を上げておきます。
これから暖かくなるとアブラナ科の敵、チョウがやってくるでしょう。卵を産み付けたいチョウと、産み付けられたくない私…戦いが始まります。
2020年3月22日 本葉が出てくる(発芽から9日目)
20℃を超える気温の中、本葉がさらに伸びてきました。次の週末には2回目の間引きができそうです。
2020年3月28日 2回目の間引き(発芽から15日目)
日当たりに偏りがあるのか、成長に差が出てしまっています。これでは困るので、後ほど栽培装置の場所を変えておきます。
出てきた本葉ですが、緑一色ではなく色ムラがあります。1株だけなら病気や変異が考えられますが、全ての株がこの状態です。
特にこの葉はポトスのように、一部の色が抜けています。
何はともあれ、カップの中が狭いので2回目の間引きを行いました。
葉のムラは成長すれば消えるのでしょうか?とりあえず栽培を続けます。
2020年4月3日 成長中(発芽から22日目)
昼の気温が20℃くらいとなり、サラダスティックの成長が一段と早くなっています。日の良く当たる場所に栽培装置を移動させたら、葉の斑(ムラ)は少し改善しました。しかし完全には消えなかったので、この品種の特徴なのかもしれないです。
株元は今このようになっています。ここだけ見ると小松菜っぽいですね。
ふと目線を上げるとモンシロチョウが飛んでいました。きっと卵を産み付けやすそうな野菜を探しているのでしょう。不織布を掛けておいて正解でした。
2020年4月11日 トウ立ち開始(発芽から30日目)
サラダスティックの成長は早くなり、数日中には防虫ネットの天井まで達しそうです。そうなったらネットと、場合によっては支柱も取り外して栽培を続けます。
急に背が伸びた原因は、トウ立ちによるものです。株元から太い茎が出ているのが分かりますね。ホウレンソウや小松菜はトウが立たないように育てますが、サラダスティックはトウの部分を食べるのでこの状態でOKです。
先端を見ると、すでに蕾が付いていました。
トウ立ちするのは良いことですが、株自体の大きさはそれほどでもなく、むしろ「このサイズで蕾が付いたの?」と思ったくらいです。種袋の写真を見ると、収穫したトウは全長20cmはありそうです。今からそのサイズに伸びるのか、はたまた小さいまま収穫となるのか栽培を続けましょう。
2020年4月19日 収穫(発芽から38日目)
この1週間で急激に伸びたので、防虫ネットと支柱は取ってしました。葉の成長はそれほどでもないですが、トウが10倍くらいの高さになっています。
株元の太さは人差し指よりも少し細いくらいです。
葉の間に隠れていた花芽は、その姿を太陽の下に現しました。まだ蕾状態ですが、いくつかは膨らんで黄色っぽくなっています。今日にも咲きそうな感じです。
株の丈は20〜25cmです。食べ頃の目安は20〜30cmですので良いタイミングです。収穫を始めましょう。
刃の厚いキッチン用ハサミで根本を切っていきます。ちなみに工作用のハサミでは歯が全く立ちませんでした。
これで収穫の完了です。1つの栽培装置で1束分が採れました。
これが収穫した中で1番大きい株です。全長は24cmあります。種袋のうたい文句によると『生のままポリポリ食べられる』とのことなので、この株を今食べます。
葉が付いていると食べにくいので落としました。まずは根本からです。少々筋がありますが食べられなくはないです。味に癖はなく、少しだけ甘いです。例えるならば、固めのアスパラガスでしょう。
次は中間部分です。ここはほんのりとした甘みがあり、固さもちょうど良いです。確かににポリポリとした食感で美味しいです。何となく、小学生が咥えながら下校している姿を想像してしまいました。
最後は蕾と葉です。蕾も食べられますが、粉っぽいと言うか変なクセがあると言うか…正直、生で食べるのはおすすめしません。一方で葉は見た目よりも柔かく、生でも大丈夫でした。ただし少しが青臭さがあったので、加熱して食べるのが無難だと思います。
結論としては、サラダスティックは生でも食べられます。トウの中間部分は甘くて美味しいので、ぜひとも味わってほしいです。
できれば20cmくらいで収穫すると、全体的に柔らかくて食べやすいです。大きくなった場合には、調理前に根本の皮を剥くと筋っぽさがなくなると思います。収穫したサラダスティックは、おひたしや炒め物にするのがおすすめです。
まとめ
それではサラダスティックの栽培まとめになります。
- サラダスティックは発芽から38日で収穫できました。育つのが早く手間も掛らないので、初心者向けの野菜だと感じました。
- トウが立ち始めると一気に成長します。大きくなると固くなるので、収穫するタイミングを見極めましょう。
- 生で食べるには、トウの中間地点が1番美味しかったです。根本や葉、蕾も食べられないことはないですが、これらは加熱して食べる方が良いと思いました。
謎の野菜サラダスティックを水耕栽培し、収穫したてを生のまま食べることに成功しました。結局のところ、どんな野菜なのかは分からずじまいでしたが、美味しかったので良しとします。
昨年の栽培は失敗続きだったので、久々にしっかりと成長した野菜を採れて嬉しいです。やはり水耕栽培では、この野菜のように手間のかからないものが良いですね。
液肥をあげていれば40日前後で育つのがサラダスティックです。もしホームセンターで種を見つけたら買ってはいかがでしょうか?水耕栽培をするにはお勧めの野菜です。