バケツ式水耕栽培装置でミブナを大株に育てます。寒さに強いので、冬の食卓で活躍してくれるでしょう


 2020年の秋にミブナをセルトレイ栽培しました(参考記事:ベランダで「ミブナ」をトレイ水耕栽培中です。水菜との違いを確かめましょう)。その際、余った株を何気なしに庭に植えてみました。するとぐんぐん大きくなり、春になると一抱えほどの巨大なミブナに成長したのです。

 大株になった要因としては、長い栽培期間と、庭が故に根の伸びるスペースが広かった事が考えられます。そこで今回は8Lのバケツを利用した大型の水耕栽培装置で長期間ミブナを育て、大株にしてみようと思います。栽培期間は数ヶ月を予定しており、十分に大きくなったら外葉から徐々に収穫をしていきます。

 ミブナは寒さにとても強く、霜が降りても雪が降っても枯れることはないです。そのため採れる野菜の少なくなる冬に活躍してくれそうです。株が大きくなればなるほど収穫量が増えるので、今からとても楽しみにしています。それでは栽培を始めましょう。

 

 

 

 

栽培装置


 栽培装置はこの記事《「バケツ&収穫コンテナ」を使った大型野菜用の水耕栽培装置の作り方。本体と支柱を分けることで強度を確保しています》を参考にして組み立てました。

 

液体肥料

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 液体肥料には、微粉ハイポネックスを水道水で1000倍に希釈したものを使用します。

 

アオムシ・イモムシ対策薬

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 葉物野菜の天敵は葉を食害するアオムシ・イモムシです。もし葉を食べられているようでしたら、退治薬である「STゼンターリ顆粒水和剤」を散布します。希釈倍率は1000倍とし、葉に定着しやすいように展着剤(商品名:ダイン)を加えます。

 

2022年8月24日 種蒔き


 8月末とは言え、まだ日差しが強い日が多いです。そのため栽培装置に直接種を蒔かず、移動させやすいポリポットで育苗させます。
 3号ポリポットに培地であるバーミキュライトを入れ、液肥で湿潤させました。ここにミブナの種を5個置き、3mmの厚さとなるように覆土を行いました。なお、培地上面に取り付けているドーナツ状の物は、アルミ蒸着保温シートです。土と比べてバーミキュライトは乾燥が早いので、水分の蒸発防止として乗せています。
 このポリポットは半日陰の場所に置いて、発芽するのを待ちます。

 

2022年8月27日 発芽(発芽から0日目)


 双葉が開きましたので、本日を「発芽から0日目」として記録をしていきます。種を5個蒔いて全てが発芽しました。ミブナの様なアブラナ科は発芽率が良くて、安心して見守ることができますね。

 

2022年9月3日 1回目の間引き(発芽から7日目)


 ミブナの成長は早く、すでに株同士の双葉が触れ合ってきています。このまま育てると栄養が分散してしまうので、間引きを行いたいと思います。


 育ちの悪い株を中心に、ハサミで切り取っていきます。


 2株を残して、1回目の間引きの終了です。次の間引きは本葉が成長した頃に行います。

 

2022年9月11日 2回目の間引き(発芽から15日目)


 現在5枚目の本葉が出てきている最中です。双方の葉が絡まっているので、2回目の間引きを行いましょう。


  葉の生育が良かった方を残しました。今後十分に育ったら、栽培装置に植え付ける予定です。

 

2022年9月28日 定植(発芽から32日目)



 ミブナの成長は非常に良好です。


 株元からは脇芽が多数出てきており、これから更に大きくなりそうな気配があります。


 根を確認すると、ポリポット内で十分に回っていることが分かりました。それではこのタイミングで栽培装置に植え替えをしましょう。


 株元が中心となるように置き、周りをバーミキュライトで埋めました。そして液肥で十分に湿潤させます。


 これで定植の完了です。栽培装置は良く日の当たる場所に置き、さらに成長するのを待ちます。

 

2022年10月16日 早い成長スピード(発芽から50日目)


 今、何種類か育てている野菜の中で、1番勢いがあるのがミブナです。日を追うごとに成長し、栽培装置が小さく見えるほどのサイズとなっています。


 2週間前の定植時には数本だった茎(葉)は、扇子の骨と言って良いくらいに増えました。まだまだ増えてもらいましょう。

 

2022年10月31日 太い根(発芽から65日目)


 ミブナはさらに葉が増えて、一抱えほどのサイズとなっています。もうそろそろ外葉からかき取り収穫をしても良い頃合いかもしれません。


 株元の根はかなり太くなり、まるで大根のようです。今後もさらに成長してくれそうです。

 

2022年11月14日 収穫(発芽から79日目)


 あまりにも大きくなりすぎて、写真に収めきれない程となっています。ミブナはベランダで育てていますが、このサイズになると面積をかなり占領してしまいますね。


 穴のある葉を発見したので裏返してみました。すると、やはりいましたアオムシです。とりあえす被害が増えないように捕殺をしておきます。後ほどアオムシ退治薬を撒いておきましょう。


 今、栽培をしていて気になるのは葉の縮みです。こちらの葉は少しカールしている位ですが、


こちらの新芽は展開せずに、くるんとなっています。以前ミブナを育てた時は葉の縮みはなかったような気がします。原因は分かりませんが、もう少し様子を見たいと思います。


 あまりにも株が大きくなってきたので、本日収穫を行います。ハサミを使って十分に育った外葉からかき採っていきます。


 今回分の収穫が完了しました。全部で142gが採れました。このミブナは後日、鍋の具材として使う予定です。


 収穫後の株は一回り小さくなりました。アオムシ退治薬を散布すると共に、次の収穫ができるまで待ちましょう。

 

2022年12月6日 減らないボリューム(発芽から102日目)


 時々少量ずつを収穫していますが、株のボリュームが減りません。それほどミブナの成長は良いようです。 


 葉の縮みは消えつつあり、通常状態の新葉が出てくるようになりました。結局何が悪かったのか分からないままとなりそうです。

 

2022年12月25日 外葉の整理(発芽から121日目)



 株がかなり横に広がっていたため、収穫を兼ねて外縁部の葉を整理しました。


 枝葉を刈り込んだことで、株元の若葉にも光が当たるようになりました。これらの葉もすぐに成長してくれるでしょう。


 根は黒くなっている部分もなく健康そうです。収穫はトウ立ちするまで続けるので、もう2ヶ月間は頑張ってもらいたいものです。

 

2023年1月29日 蕾の発見(発芽から156日目)



 霜に当たっても全く問題のないミブナです。青々とした葉を見ていると元気になれますね。


 今日も大きくなった葉を中心に収穫していきます。


 収穫途中で、株元から茎のようなものが伸びているのを見付けました。葉をかき分けて確認したところ、どうやら蕾のようです。まだ気温は高くないですが、暖かくなったら一気にトウ立ちをするでしょう。ミブナの栽培もそろそろ終わりとなりそうです。

 

2023年2月12日 トウの収穫(発芽から170日目)



 今週の気温は高くなかったですが、トウが一気に立ってきました。それに伴ってか、株の形も崩れてきています。


 トウは30cm以上の高さに伸び、頭ひとつ分以上飛び出ている状態です。気付いたらこの高さになっていたので、非常に早い成長速度です。


 先端の蕾はまだ咲いていません。しかし黄色く膨らんでいるため、あと数日で開花すると思います。


 トウ立ち後の変化としては、葉の艶がなくなってマットな質感になりました。正直に言うと、野菜よりも雑草になった感じがします。


 折角なので、ミブナのトウを収穫して食べましょう。ハサミを使って半分くらいの高さで切ります。


 今回は8本ほどが採れました。このトウはチャーハンの具材として使いました。茎の太いところはやや筋がありましたが、先端付近は柔らかくて程よい苦味もありました。春を感じられる味で美味しかったです。


 トウが立ってしまったので、本日でミブナの栽培を終わりにしようと思っていました。しかし株の中心部を確認すると、まだ蕾が付いた枝ががいつくか見えます。と言うことは、もう少し育てていれば、またトウが収穫ができるかもしれません。栽培を続けてみましょう。

 

2023年2月19日 2回目のトウ収穫(発芽から177日目)



 株のサイズがほぼ変わらなくなってきました。葉が増えないのは、蕾作りに栄養を回しているためかもしれないですね。


 前回から1週間が経過し、再びトウが伸びてきたので収穫をします。


 茎の筋っぽさを避けるために、今回は先端部分だけを採りました。これらの蕾は卵スープの彩りとして使いました。短い加熱時間でも十分に柔らかく、唇で切れるほどでした。ほろ苦さが癖になりそうです。今後、出てきたトウは順次採っていきたいと思います。

 

2023年3月5日 栽培終了(発芽から191日目)



 蕾が付いてからは、日数が経過するにつれて葉が色々な方向に伸びています。そのため収拾がつかない姿となってしまいました。


 ミブナの花がどのようなものかを知るために、いつくかの蕾は収穫せずに放置していました。すると鮮やかな黄色の花が開きました。完全にナバナの花と色・形が一致しています。


 成長してくる蕾はその都度収穫しているのですが、だんだんとサイズが小さくなってきました。今では指先ほどの大きさしかないです。やはり1番最初に採れた蕾が最も大きかったです。今後は更に小さくなると思うので、今付いている蕾を全て収穫して栽培を終えましょう。


 全部の蕾を採りました。細かくても数があり、予想よりも多くなりました。この小さな蕾達は軽く水洗いをして、味噌汁の具として使う予定です。

 

まとめ


 今回はミブナを大株にするために、バケツ式の栽培装置を使って育てました。目的は達成でき、最も育っていた時には一抱えほどのサイズとなりました。葉は収穫してもすぐに伸びてくる上に、最後には蕾も美味しく頂けました。やはり大型の栽培装置を使えば根の育つスペースが広くなり、その結果大きく育つようです。


 参考までに、上の写真は一昨年前に庭で育てた5株のミブナです(撮影日:2021年2月21日)。露地栽培の結果、こちらはあまりにも巨大化し、収穫するのも栽培終了後の片付けも大変でした。


 ちなみに収穫はかき取りではなく、株ごとにしました。1株が850gほどあったため、大量のミブナが冷蔵庫を占拠してしまい、消費するのにとても困ってしまいました。家庭菜園では株のサイズが大き過ぎない方が扱いやすいでしょう。

 最後は余談になってしまいましたが、この記事がミブナ栽培のお役に立てれば幸いです。読んで頂き、ありがとうございました。


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