先日、液肥の温度上昇と藻の増殖防止のために、遮光仕様の水耕栽培装置を作製しました《参考記事:「黒色ビニール袋」を使って水耕栽培装置を遮光仕様に改造。液温上昇と藻の増殖を防ぎます》。そこで本当に意図した効果があるのか、この装置を使って実際に野菜を栽培してみようと思います。
引き出しにある種袋を見ると、昨年育てた「紫チンゲンサイ」の種がありました。この野菜は上手く育たず、中途半端なサイズで収穫となったものです。今回の試験栽培ではリベンジも兼ねて、この紫チンゲンサイを栽培します。
栽培期間を1.5ヶ月と仮定すると、8月上旬に収穫です。ちょうど真夏になっている頃なので、晴れた暑い日を狙って液肥温度を測定します。また藻の増殖については、定期的に液肥槽を見て確認すれば良いでしょう。それでは試験栽培のスタートです。
- 栽培装置
- 液体肥料
- 2020年5月23日 種蒔き
- 2020年5月26日 発芽(発芽0日目)
- 2020年5月29日 1回目の間引き(発芽3日目)
- 2020年6月5日 2回目の間引き(発芽10日目)
- 2020年6月20日 徒長気味(発芽25日目)
- 2020年6月27日 完全に徒長(発芽32日目)
- 2020年7月4日 収穫(発芽39日目)
- まとめ
栽培装置
栽培装置はこの記事《「黒色ビニール袋」を使って遮光仕様の水耕栽培装置を作製。液温上昇と藻の増殖を防ぎます 》を参考にして組み立てました。
液体肥料
液体肥料には、微粉ハイポネックスを水道水で1000倍に希釈したものを使用します。
2020年5月23日 種蒔き
種は1つのプラカップに4~5個を置き、厚さ2mmほどとなるように覆土を行いました。
種蒔き後、装置に防虫ネット(不織布)を被せて屋外に出します。なお液肥はプラカップの底面に軽く触れる程度を入れました。
当たり前ですが、まだ液肥は透明で藻は生えていません。これからどのように変化するか見ていきましょう。
2020年5月26日 発芽(発芽0日目)
特に問題なく発芽しました。本日を「発芽0日目」として記録をしていきます。
2020年5月29日 1回目の間引き(発芽3日目)
双葉の展開も終わりましたので、1回目の間引きを行います。この中から成長の良くないものを取り除きつつ、3株を残します。
これで間引きの完了です。紫チンゲンサイは一度育てているので、さくさくと記録を付けていく予定です。
2020年6月5日 2回目の間引き(発芽10日目)
気温が高めなので、成長が早いです。それぞれの株が触れ合っていますので、2回目の間引きを行います。
これで1カップ1株となりました。葉の紫色はあと数日もたてば、もっとしっかり付くと思います。
分かりにくいですが液肥槽の中を撮影しました。10日目でも透明を維持しています。予定通りです。
2020年6月20日 徒長気味(発芽25日目)
紫チンゲンサイは病気などにかかることなく成長です。しかしいつも見るチンゲンサイとは明らかに形が違います。
その理由は茎が徒長気味のせいです。これ以上伸びることなく、どうにかこの位置で留まってほしいです。
2020年6月27日 完全に徒長(発芽32日目)
今の時期にチンゲンサイを育てるのは無理があったのでしょうか?完全に徒長し、丈がかなり高くなってしまいました。
チンゲンサイの特徴である葉の重なりはなく、茎が間延びしているのが分かります。
強い直射日光を避けるために、栽培装置は午前中のみ陽が当たる場所に置いています。しかしそれでも強いのか、葉には日焼けのような縮れが出てきています。
今回の栽培目的である藻の増殖は、30日を超えた現在でも見られません。根も健全な白い状態です。黒ビニール袋と蓋に取り付けた保温シートによる遮光は上手く機能しているようです。
このままチンゲンサイを成長させても、更に茎が伸びていくでしょう。そのため次の週末で収穫してしまおうと思います。
2020年7月4日 収穫(発芽39日目)
前回宣言した通り、収穫日を迎えました。やはりこの時期に育てるのは難しかったのか、さらにひどい姿になってしまいました。また最近はハダニも増えてきており、葉の色素が抜けている部分も見られます。
葉の一部は強すぎる日光によって縮れたり、
めくれてしまったものもあります。
茎の全体写真がこちらです。ここだけを見ると、どのような野菜かの判別ができないですね。ここまで徒長するとは予想外でした。
それでは収穫をしましょう。株元をハサミで切ります。
これで収穫は完了です。ハダニによって傷んでいる葉が多いので、食べられる部分だけを選んで調理する予定です。
今回の目的であった「黒ビニールと保温シートによる遮光」は、非常に効果がありました。39日間の栽培で藻が増えることなく、透明な液肥、そして白い根を維持してくれました。今回、液肥温度の測定はできませんでしたので、今後の課題としておきます。
まとめ
黒ビニールと保温シートを使った遮光で分かったのは、少しくらい隙間があっても大丈夫と言うことです。液肥槽に入り込んだ光は黒ビニールに吸収されて、藻が増殖できるような明るにはならないようです。また副次効果として、プラカップや蓋に藻が付かないので、後片付けが非常に楽になりました。
結果が良好でしたので、今後はこの遮光仕様の栽培装置をメインで使っていきたいと思います。低コストで藻対策ができるので、あなたの栽培装置に応用してはいかがでしょうか?