「かつお菜」と呼ばれる野菜をご存知でしょうか?この野菜は高菜の仲間であり、葉に縮みが出る品種となります。名前の由来を調べると、《カツオのような出汁が出るから》とのことです。この話を知ってから、ぜひとも育てて食べてみたいと思っていました。そして先日、念願の種を手に入れました。
他の方の栽培記録を読むと、かつお菜は比較的大きな姿となりそうです。今回は容量が5Lの水耕栽培装置で育てるため、あまり大きくなると困ってしまいます。そこで、こまめにかき取り収穫をすることで、株のサイズをコントロールすることにしました。
現在、夏は終わりを迎え、これから秋に向かって気温は下がっていくでしょう。害虫の被害は少なくなるとは言え、まだまだ油断はできません。もしアオムシなどの食害が出るならば、適切に農薬を使って防除していきたいと思います。それでは、かつお菜の栽培を始めましょう。
- かつお菜の種
- 栽培装置
- 液体肥料
- 2021年9月12日 種蒔き
- 2021年9月15日 発芽(発芽から0日目)
- 2021年9月19日 1回目の間引き(発芽から4日目)
- 2021年9月26日 2回目の間引き(発芽から11日目)
- 2021年10月9日 成長中(発芽から24日目)
- 2021年10月23日 成長の鈍化(発芽から38日目)
- 2021年10月30日 収穫(発芽から45日目)
- 2021年11月13日 回復中(発芽から59日目)
- 2021年11月20日 2回目の収穫(発芽から66日目)
- 2021年12月12日 栽培記録の終わり(発芽から88日目)
- まとめ
- 【追記】2022年3月12日 最終収穫(発芽から178日目)
かつお菜の種
種は直径1〜1.5mmの球形で、色は茶色です。種袋によると、かつお菜は福岡県周辺で多く栽培されている品種とのことです。濃緑色の葉面に縮みがあり、草姿は立性になります。
栽培装置
栽培装置はこの記事《「黒色ビニール袋」を使って遮光仕様の水耕栽培装置を作製。液温上昇と藻の増殖を防ぎます 》を参考にして組み立てました。
追加した機能としては、お茶パックの底に穴を開けて化学繊維でできた布を通したことです。この布を通してカップ内の培地に液肥を供給します。
液体肥料
液体肥料には、微粉ハイポネックスを水道水で1000倍に希釈したものを使用します。栽培期間中は1週間に1度、液肥槽に入っている液体肥料の全交換を行います。
2021年9月12日 種蒔き
種は1カップあたり6個程を置き、厚さ5mmとなるように覆土を行いました。この装置を屋外に出して発芽するのを待ちます。
2021年9月15日 発芽(発芽から0日目)
双葉が開きましたので、本日を「発芽から0日目」として記録をしていきます。発芽直後の姿は、同じアブラナ科の小松菜やチンゲンサイと全く見分けがつかないです。
2021年9月19日 1回目の間引き(発芽から4日目)
双葉が大きくなり、隣の株と触れ合ってきました。それでは間引きを行ってスペースを開けましょう。
成長の遅いものや発芽に失敗しているものを中心に、小さいハサミを使って切り取っていきます。
これで1回目の間引きの終了です。双葉の間からは本葉が見えていますので、あと数日で大きくなってくれるでしょう。
2021年9月26日 2回目の間引き(発芽から11日目)
最も育っている株は3枚目の本葉が見えています。若干ですが、葉に縮れが現れているようです。カップの中が窮屈になっているので、2回目の間引きを行います。
1カップにつき1株にして間引きは終わりです。これからはアブラムシやイモムシなどの害虫被害が起きると思います。その際には適宜、薬を使用して退治をしていきます。
2021年10月9日 成長中(発芽から24日目)
前回の報告から2週間が経過しました。小さかった本葉は大きくなり、そして枚数も増えました。
かつお菜は小松菜と違い、小さなトゲがたくさん生えています。このトゲは固くないので、食べる時には気にならないでしょう。
やはりアブラナ科の宿命なのか、害虫の被害が多いです。特に葉の見た目が悪くなるハモグリバエに困っています。
ハモグリバエの他に、今はいませんがアブラムシの増殖も気になるところです。そこで予防として殺虫剤である「ベニカベジフルスプレー」を散布しておきます。
かつお菜の成長は早く、3日に1枚は新葉が出てきています。このペースで育てば、最初の収穫は1~2週間後にできそうですね。
2021年10月23日 成長の鈍化(発芽から38日目)
前回、2週間前の写真と比べると、あまり成長していないように感じます。肌寒い日が多くなってきたからでしょうか?収穫はもう少し待ちます。
葉の縮れは新芽ほど強いです。これだけの縮れのある野菜は始めて育てたかもしれないです。
根は白色であり、張りもあります。液肥の量はプラカップの底以下にして、根腐れが起きないように努めています。
余談ですが、撮影の間、カメムシがずっと葉に陣取っていました。特に葉を食べている感じではなかったので、大目に見てあげましょう。
2021年10月30日 収穫(発芽から45日目)
かつお菜は十分に、と言うにはまだ遠いですが、収穫できる最低限の大きさに成長しました。ハダニか何かの被害を受けたのか、葉の一部の色が抜けている箇所が見受けられます。
葉の縮れ具合を確認しましょう。この葉は栽培前半に出てきたものです。縮れはあまり見られません。
一方で最近出てきた葉は、かなりの縮みがあります。おそらく今後出てくる葉は、しっかりとした縮緬(ちりめん)が入ってくるはずです。
それでは収穫をしましょう。大きくなった外葉を切っていきます。
これにて収穫の完了です。5枚が収穫できました。チンゲンサイや小松菜とは異なり、しっかりとした張りのある葉をしています。
かつお菜の由来は「かつおの様な出汁が出るから」とのことです。本当にそうなのか、この一番縮みの入っている葉を調理して確かめます。
水洗いした葉を適当な大きさに切り、
200mLのお湯の中に入れて、柔らかくなるまで湯がきます。
茹で上がりを食べてみると、葉に厚みがあるためか歯ごたえがしっかりと感じられます。味は特に癖はありません。ただ残念ながら、思っていたようなカツオの旨味は感じられませんでした。しかし醤油を掛けなくても美味しかったので、旨味成分は若干あるのかもしれないです。
収穫後のかつお菜がこちらの写真となります。かき取り収穫をしていくので、成長途中の葉を残しています。この葉が大きくなったら、2回目の収穫をしたいと思います。
2021年11月13日 回復中(発芽から59日目)
最初の収穫から2週間が経ち、かなり復活をしてきました。
葉は大きく、手が隠れてしまう程です。もう少し成長させたいので、2回目の収穫は次の週末に行いましょう。
2021年11月20日 2回目の収穫(発芽から66日目)
そして週末になりました。かつお菜は最初に収穫した時の大きさに戻った気がします。それでは予定通り、2回目の収穫を行います。
前回と同じく、外側の育っている葉をハサミで切り取ります。
今回は4枚を採りました。
その中の1枚を見ると、根本の茎がかなり太くなっていることが分かります。収穫した葉は適当な大きさに切って、中華風卵スープに入れて食べました。味にクセがないのでスープにも良く合います。
収穫作業中に気付いたのは、過去に収穫した葉の付け根部分から新芽が出ていることです。これが大きくなれば収穫量がアップしそうです。本当は今日で栽培記録を終えるつもりでしたが、この芽が成長するまで観察を続けたいと思います。
2021年12月12日 栽培記録の終わり(発芽から88日目)
使いたい時にちょこちょこ収穫をしているかつお菜です。濃い緑なので、彩りがほしい時に重宝しています。
前回見つけた小さな芽ですが、大きくなる気配が全くないです。もしかしたら今ある成長点がなくならないと、伸びてこないのかもしれないです。
最低気温が5℃以下の日が多くなるに従って、茎の色が紫色に変化してきています。
液肥槽で伸びている根は写真のようになっています。3株の根が複雑に絡み合っているため、解きほぐすのは無理でしょう。
本日収穫した葉です。成長に時間がかかっているせいか、茎の太い部分が少し固いです。春になるまでは茎の部分は取り除いて、葉の部分のみを食べた方が良いかもしれないです。
これからのかつお菜は、収穫と成長を繰り返していくことになります。そのためここで一旦、栽培記録を終えようと思います。
まとめ
カツオのような出汁が出る野菜「かつお菜」があるとの話を聞き、本当にそうなのか確かめるべく、種を手に入れて栽培をしてみました。
初回の収穫は発芽から45日目にすることができ、この葉を湯がいて食べました。しかし残念なことに、自分の思っている様なカツオの風味はなかったです。一方で歯ごたえはしっかりとしており、また緑色が濃いので、汁物や炒めものに活躍してくれています。これからも成長した葉から順次収穫して、日々の料理に使っていきたいと思います。
この記事がかつお菜の水耕栽培のお役に立てれば幸いです。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
【追記】2022年3月12日 最終収穫(発芽から178日目)
暖かくなり、ここ一週間でかなり葉が成長しました。そしてトウ立ちも始まったようです。花が咲くと葉が固くなるので、全て収穫してしまいましょう。
参考までに、大半の葉を取った株の姿です。中心の茎が伸びているのが分かりますね。
かつお菜の半年間に渡る栽培は、これにて終了です。採れた大量の葉は、味噌汁に入れたりお浸しなどにして楽しみたいと思います。