レタスを何度か育てたことがありますが、発芽をしてから本葉が3枚目くらいになるまでの成長が遅いです。またこの期間の苗は小さいので、もし体の大きい害虫に目を付けられると短期間で食べられてしまうでしょう。そこで初期成長を早めつつ、なおかつ害虫の被害が出ないような、何か良い方法がないか考えました。そして思い付いたのが、LED育苗器を使うことです。
種をセルトレイに蒔き、自作のLED育苗器で本葉が3〜4枚になるまで室内で育てます。家の中であれば害虫の被害はないですし、光を24時間ずっと当て続けることにより成長も早まりそうです。
1つ問題があるとすれば、苗の時にずっと光を浴びた場合、その後の成長に影響があるのか否かです。そこで今回は「チマサンチュ」と「サラダ菜」を育てて、どのように成長するのかを確かめようと思います。もしかしたら光の影響により、トウ立ちが早まったりするかもしれないですね。それでは2種類のレタスを使った栽培を始めましょう。
- 栽培品種
- LED育苗器
- 栽培装置
- 液体肥料
- 2021年9月19日 種蒔き
- 2021年9月21日 発芽(発芽から0日目)
- 2021年9月23日 1回目の間引き(発芽から2日目)
- 2021年9月29日 2回目の間引き(発芽から8日目)
- 2021年10月3日 定植(発芽から12日目)
- 2021年10月9日 少しのトラブル(発芽から18日目)
- 2021年10月17日 順調な成長(発芽から26日目)
- 2021年10月24日 チマサンチュの収穫(発芽から33日目)
- 2021年10月30日 チマサンチュの再収穫(発芽から39日目)
- 2021年11月3日 サラダ菜の急成長(発芽から43日目)
- 2021年11月6日 サラダ菜の収穫(発芽から46日目)
- 2021年11月13日 サラダ菜の再収穫(発芽から53日目)
- まとめ
- 【追記】2022年3月12日 チマサンチュの収穫は続く(発芽から173日目)
- 【追記】2022年3月21日 栽培終了(発芽から182日目)
栽培品種
今回はサラダ菜とチマサンチュの2品種を育てます。チマサンチュは葉が巻かないリーフレタスであり、サラダ菜は半結球レタスに分類されます。
サラダ菜(品種名:ウエアーヘッド)
草勢旺盛で生育も早く、作りやすい貴重なレタスです。葉は鮮やかな緑色でやわらかく、ビタミンを多く含んでいます。新鮮な味覚はサラダ料理に大人気。プランターなどでも手軽につくれます。
チマサンチュ(品種名:青かきしちゃ)
下葉から順にかき取る為、長期間収穫できるリーフレタス、必要に応じて下葉をかき取り新鮮な味覚が楽しめます。食味、歯切れともに最高でサラダ料理、焼き肉を包んで食べる、コチュジャンをつけて食べるなど、幅広く利用できます。
LED育苗器
育苗器のライト部は、この記事《野菜の室内栽培で使うライトを改良。非防水型のLEDテープと大きなアルミ板を使って問題を解決します》を参考にして組み立てました。
組み立てたライト部は、できるだけ光を反射させるために、内側にアルミ蒸着保温シートを取り付けた発泡スチロール箱(幅39cm×奥行32cm×高さ26cm)に乗せました。これを育苗器として使用します。
栽培装置
栽培装置はこの記事《「黒色ビニール袋」を使って遮光仕様の水耕栽培装置を作製。液温上昇と藻の増殖を防ぎます 》を参考にして組み立てました。
追加した機能としては、お茶パックの底に穴を開けて化学繊維でできた布を通したことです。この布を通してカップ内の培地に液肥を供給します。
液体肥料
液体肥料には、微粉ハイポネックスを水道水で1000倍に希釈したものを使用します。
2021年9月19日 種蒔き
セルトレイにバーミキュライトを入れて、液肥で十分に湿潤させます。ここに種を5個ずつ置いて、厚さ3mm程度となるように覆土を行いました。チマサンチュとサラダ菜の位置は、
(奥)
チマサンチュ・ サラダ菜 ・サラダ菜
チマサンチュ・チマサンチュ・サラダ菜
(手前)
になります。
このセルトレイをLED育苗器に入れて電源をオンにし、発芽するのを待ちます。セルトレイでの栽培中は、光を24時間常に照射している状態にします。
2021年9月21日 発芽(発芽から0日目)
種を蒔いてから24時間後には発根し、最終的には2日間で双葉が開きました。
こちらがチマサンチュで、
こちらがサラダ菜になります。本日を「発芽から0日目」として記録をしていきましょう。 現時点ではチマサンチュの方が成長が早いようですね。
2021年9月23日 1回目の間引き(発芽から2日目)
24時間常に光を当てていても、特に奇形などは見られません。至って普通です。双葉が大きくなって、株同士が触れ合ってきました。
そのため小さいハサミを使って間引きを行います。
1セルあたり3株となるように間引きました。再びLED光の下に置いて成長をさせます。
2021年9月29日 2回目の間引き(発芽から8日目)
前回の報告より7日間が経過しました。出てきた本葉も大きくなり、それぞれの株で成長差が出てきています。このタイミングで2回目の間引きを行います。
1セル1株にして間引きの終了です。このまま定植できるサイズになるまで育てていきましょう。
2021年10月3日 定植(発芽から12日目)
発芽から2週間を待たずに、本葉が3~4枚となりました。同じ栽培条件だとチマサンチュの方が成長が早いようです。
チマサンチュとサラダ菜の違いは、葉の縁の形です。上の写真はチマサンチュですが、葉の根本の縁が粗くギザギザしています。
一方でサラダ菜は滑らかであり、また少しカールしています。
どちらももう初期成長は十分でしょう。それでは栽培装置に定植をしていきます。
小さめのフォークを使って、セルトレイから抜きました。根は白くて健康そうです。
この苗を栽培装置のプラカップに入れて、周りをバーミキュライトで埋めます。
これにてチマサンチュ(左側)とサラダ菜(右側)の定植の完了です。最後に装置の上から防虫ネットである不織布を掛けて、日当たりの良い場所に置いて成長するのを待ちます。
2021年10月9日 少しのトラブル(発芽から18日目)
定植した苗は順調に大きくなっています。ただ、ちょっとしたトラブルが起きています。
こちらはチマサンチュです。ヨトウムシらしきイモムシに葉を食べられています。どうやら防虫ネットを掛ける前に産卵されてしまったようです。葉の裏に小さな幼虫がたくさんいたため、息を強く吹きかけて飛ばしておきました。
写真では分かりにくいですが、サラダ菜は薄茶色をした直径0.5mmほどの斑点が大量に発生している葉があります。ネットで調べても、このような病気の症状は見当たりません。経過を観察しましょう。
2021年10月17日 順調な成長(発芽から26日目)
イモムシによるチマサンチュへの攻撃は止みました。そして葉の斑点が出ていたサラダ菜も、特に何も起きていません。とりあえずは順調に成長をしています。
2021年10月24日 チマサンチュの収穫(発芽から33日目)
秋らしい涼しい気温になり、最近は手袋がほしい日もあります。レタスにとって適温になってきたお陰か、成長スピードが上がってきました。
サラダ菜は中心部の葉が立ってきています。そろそろ結球が始まるのかもしれないですね。
チマサンチュは葉がツヤツヤで、とても美味しそうな雰囲気を醸し出しています。大きさも程良いので、最初の収穫をしたいと思います。
大きめの葉を中心に、ハサミで切り取っていきます。
これで最初の収穫の完了です。7枚くらいが採れました。防虫ネットを掛けているため、虫食われが少ないのがグッドです。とりあえずは冷蔵庫に入れて、食べる時を待ちます。
収穫後のチマサンチュがこちらです。かき取り収穫をするので、小さい葉を残しておきました。順調に育てば、2週間後には再び収穫ができるでしょう。
2021年10月30日 チマサンチュの再収穫(発芽から39日目)
チマサンチュの成長が思ったよりも早いです。前回の収穫から1週間しかたっていませんが、もう回復して収穫ができるくらいとなりました。
今回も大きくなった葉を切り取ります。片手にこんもりと乗るくらいの量、重さにすると42gが採れました。1~2人で食べるには十分な量ですね。
そして再び収穫できる大きさになるまで待ちます。
成長を観察していると、チマサンチュは発芽~栽培初期をLED光源かつ24時間照射で育てても、その後に影響がないと考えられます。以降は成長と収穫を繰り返すことになるので、チマサンチュの栽培記録はここで一旦終わりにします。
2021年11月3日 サラダ菜の急成長(発芽から43日目)
前回サラダ菜を報告した日(10月24日)から10日が経過しました。この期間でとてつもなく成長しています。中心部は葉が重なるように伸びており、結球が始まっています。この具合ならば、次の週末に収穫ができそうです。
2021年11月6日 サラダ菜の収穫(発芽から46日目)
週末がやってきました。サラダ菜は十分に大きくなっており、収穫するにはベストな状態です。
葉には艶があり、そして適度にウェーブが掛かっています。色はライトグリーンで食欲をそそられます。
中心部は緩く結球しています。過去に何度かサラダ菜の栽培に挑戦しましたが、どれも玉になることはなかったです。今回はしっかりと結球したものが育てられたので、とても嬉しいです。
ちなみに、根は真っ白で根腐れは全くしていません。健康な証拠です。
それでは早速、収穫をしていきましょう。株元を切っても良いのですが、長期間楽しみたいので、チマサンチュの時と同じようにかき取り収穫をします。ハサミを使って1枚ずつ切っていきます。
これでサラダ菜の初収穫が完了です。大きめのボウル1杯分、重さは102gもありました。
中心付近の葉は下の方がクリーム色で、上が緑色のグラデーションとなっていました。軽く水洗いをして食べると、苦味が少なくて美味しかったです。色々な料理の付け合せとして活躍すると思います。
収穫後のサラダ菜の姿がこちらになります。周りの葉を採ったため、結球している部分だけが残っています。これが大きくなったら2回目の収穫をしたいと思います。
2021年11月13日 サラダ菜の再収穫(発芽から53日目)
中心部だけになってしまったサラダ菜ですが、問題なく成長して2回目の収穫ができるサイズまで回復しました。
外葉がなくなったせいか結球は解除されて、非結球のリーフレタスみたいな姿に変わっています。
今回も大きくなった葉を収穫します。さすがに1回目よりは少ないですが、それでも数食分が採れました。
あとはサラダ菜もチマサンチュと同じく、かき取り収穫を続けていくだけです。サラダ菜もLED栽培の影響はなかったと考えられるでしょう。
まとめ
今回はチマサンチュとサラダ菜の苗をLED光源かつ24時間照射で作り、その後に屋外で栽培しました。どちらも成長に異常はなく、最終的には美味しい葉が収穫できました。この育苗方法を使うと天候に関係なく2週間で定植苗ができるため、収穫までの期間が短くなるのがメリットです。他のリーフレタスにも応用可能なはずですので、機会があれば別品種を使った栽培をしてみたいと思います。
本記事がリーフレタス栽培のお役に立てれば幸いです。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
【追記】2022年3月12日 チマサンチュの収穫は続く(発芽から173日目)
サラダ菜は冬の始まりに鳥の食害にあったため、栽培を断念しました。一方でチマサンチュの栽培はまだ続いています。朝の寒さで葉が凍る時もありましたが、昼になると回復しています。耐寒性はとても高いようです。
大きくなった葉を順次採っていたら、茎の長さが7cm程になってきました。数えてはいませんが、既にかなりの枚数を収穫したはずです。
そして今回も収穫をします。葉物野菜はたくさんあっても困らなないのが良いですね。
【追記】2022年3月21日 栽培終了(発芽から182日目)
半年間の栽培をしていたチマサンチュですが、とうとう終わりを迎えました。
葉をかき分けると、茎が伸びているのが分かります。
そして頭頂部には小さいながらも蕾が見えています。このまま放置していると花が咲いて葉が固くなるので、全部を収穫してしまいましょう。
最後の収穫は2つかみ分となりました。この葉は味わって楽しみたいと思います。
これにて栽培は本当に終了です。チマサンチュは育てやすく収穫量も多かったので、今春も育てたいと思います。