春のホームセンターは好きです。色々な野菜の苗が並んでおり、見ているだけ飽きないです。例に漏れず今年も屋外の園芸コーナーを歩いていると、初めて見る苗が置いてありました。その名前は「ペピーノ」です。ラベルを読むと実を食べるものらしく、味はメロンと洋梨を足して割ったようなものとのことです。何となく想像できるような感じです。
珍しい品種の苗は一期一会です。今を逃すと次はいつ入荷するのか分かりません。早速レジに持っていき、購入となりました。帰宅してからペピーノに付いて調べると、鉢植えでも十分に育てられるとのことです。私は水耕栽培を趣味としているので、この不思議野菜も水耕で育てたいと思います。
今回の記事では、購入したペピーノの苗を水耕栽培装置に定植をして育てます。始めての野菜(果物?)なので上手く実らせられるか不安ですが、できるところまでは行きたいと思います。それでは栽培のスタートです。
- 栽培装置
- 液体肥料
- 2022年4月11日 定植(定植から0日目)
- 2022年4月16日 1番花の開花間近(定植から5日目)
- 2022年4月23日 開花(定植から12日目)
- 2022年4月30日 整枝(定植から19日目)
- 2022年5月6日 結実(定植から25日目)
- 2022年5月14日 蕾の発見(定植から33日目)
- 2022年5月19日 アブラムシの発生(定植から38日目)
- 2022年5月22日 2段目の開花(定植から41日目)
- 2022年5月28日 枝が折れる(定植から47日目)
- 2022年6月8日 摘果(定植から58日目)
- 2022年6月12日 実の縞模様(定植から62日目)
- 2022年6月26日 実が黄色くなる(定植から76日目)
- 2022年7月17日 ペピーノ収穫(定植から98日目)
- 2022年8月2日 2回目の収穫&切り戻し(定植から114日目)
- まとめ
栽培装置
栽培装置はこの記事《「バケツ&収穫コンテナ」を使った大型野菜用の水耕栽培装置の作り方。本体と支柱を分けることで強度を確保しています》を参考にして組み立てました。改良点としては液肥槽に直接アクセスできるように、塩ビ管を通したことです。
塩ビ管の先端は斜めに切り落とし、液肥が出入りしやすいようにしています。
液肥を交換する際には、塩ビ管に灯油ポンプを挿して古い液肥を吸い出します。そして新しい液肥を塩ビ管を通して入れます。この改良により作業効率が上がると思います。
液体肥料
液体肥料には、微粉ハイポネックスを水道水で1000倍に希釈したものを使用します。栽培期間中は1~2週間に1度を目安に、液肥槽に入っている液体肥料の全交換を行います。
2022年4月11日 定植(定植から0日目)
こちらが今回育てるペピーノの苗です。品種は「ゴールドNo.1」となります。ペピーノに付いて軽く説明すると、
- トマトの仲間(ナス科)のため、育て方はトマトと同じ
- 原産地は南アメリカで、アンデス地方で栽培されている
- 30℃以上の高温には弱く、真夏の直射日光が当たると葉焼けを起こすことがある
- 挿し木で増やすことができる
- 実が熟すと甘いメロンの風味を楽しめる
となります。
ナスやトマトと同じ仲間ですが、葉を見る限りではそのように見えません。濃い緑色が特徴の葉です。
購入した株にはすでに蕾が付いていました。実の収穫は意外と早くできるかもしれないですね。
ポリポットから抜いて、根の状態を確認します。株がまだ十分に大きくないのか、根の量はあまり多くないです。
それでは水耕栽培装置に植え替える準備をしましょう。苗は土で育てられているため、水の中で土を崩して取り除いていきます。できるだけ根を切らないように、指で優しく突くのがコツです。
根の量が少なかったので、比較的きれいに土が取れました。
この株を栽培装置の中心に置き、周りをバーミキュライトで埋めます。そして液肥で十分に湿潤させました。
最後にドーナツ状に切ったアルミ蒸着保温シートを培地上面に置いて、定植作業の完了です。取り付けた保温シートは培地に直射日光が当たるのを防いで、水分の蒸発を抑えるためのものです。また四角いタイルはめくれ防止の重石となります。
定植を終えた株は数日間半日陰の場所に置き、根の回復を待ちます。その後は日向に出して成長するのを待ちます。
2022年4月16日 1番花の開花間近(定植から5日目)
定植してから5日が経過しました。根が定着したのか、少し大きくなったのが分かります。
蕾は膨らみ、花びらが出てきました。今の姿から花を想像すると、ベースカラーは白で、赤紫色のラインが入りそうな感じですね。
2022年4月23日 開花(定植から12日目)
ペピーノはゆっくりとですが、確実に葉の数を増やしています。
脇芽も増えてきており、もう少し混み合ってきたら整枝が必要となりそうです。
購入した当初から付いていた蕾が数日前から咲き始めました。花びらが単色のナスやトマトは異なり、白と紫の色合いがきれいです。はたして結実するでしょうか?
2022年4月30日 整枝(定植から19日目)
買ってきた当初と比べると葉の数が多くなりました。順調に成長している証ですね。
先日から咲いている花は、どれも結実せずに落ちてしまっています。気候がまだ適していないのかもしれません。
ペピーノは脇芽が多く出る植物です。しかし放任していると実の付きが悪くなるため、整枝をして3本立てにします。主枝と伸びの良い脇芽を2本選び、残りはハサミで切り取っていきます。
おおよそ葉の数が半分になりました。今後も脇芽は出てくると思うので、その都度取って残した枝の成長を促します。
2022年5月6日 結実(定植から25日目)
この房は受粉しなさそう…と思っていましたが、上手くできたものが1個あるようです。花弁が落ちて、子房が少し膨らんでいます。実が収穫できるまでに1ヶ月ほどがかかりますので、期待して待っていましょう。
2022年5月14日 蕾の発見(定植から33日目)
残した3本の枝は順調に成長しています。これらの枝からは再び脇芽が伸びてきましたので、前回と同じように切り取っておきます。
枝の先端には新しい蕾が出始めています。来週には咲くでしょうか?
実は直径1cmほどの大きさになりました。色は緑がかった白色です。ペピーノはどの様な味なのか気になります。早く食べたいですね。
2022年5月19日 アブラムシの発生(定植から38日目)
ペピーノの丈は30cmほどとなっています。もうそろそろ支柱を立てる頃合いかもしれないです。
実は直径2cmまで成長しました。まだまだ大きくなるでしょう。
最近、葉にアブラムシが付くようになりました。筆を使って払い落としているものの、徐々にその数が増えているように感じます。さらに増えるようでしたら、薬を使って退治をすることにします。
100円ショップに行ったところ、園芸コーナーで「木酢液」を発見したので買ってしまいました。木酢液について調べると、やや疑問点は残りますが、植物の成長を促進させる効果があるそうです。そこで1000倍に希釈したものを、葉や茎にたっぷりと撒いておきました。今後は1週間に1度散布をして様子を見たいと思います。
2022年5月22日 2段目の開花(定植から41日目)
2段目の蕾が開花しました。多くの蕾があるので、この段には期待できそうです。
ペピーノは真夏になると受粉の成功率がかなり下がります。現在のような暑すぎない気候の時に、どのくらい花の数を増やせるかが重要となります。
2022年5月28日 枝が折れる(定植から47日目)
先日、かなり強い風が吹いた影響か、1本の枝が根本から折れてしまいました。左側の水平近くになっている枝がそれです。
枝と本体は皮一枚で辛うじて繋がっており、いつ分かれてもおかしくはないです。
折れた枝の大きな葉は、まだ萎れは見られません。
しかし先端部にある蕾や新葉はぐったりととなっています。明らかに水を吸う能力が下がっています。
折れた枝は回復する見込みはないため、切り取ってしまいます。不幸中の幸いとしては、実の付いている枝ではなかったことです。
切り取った結果、3本立て→2本立てになりました。今後はこのまま2本立てで育てていきます。また後日、支柱を取り付けたいと思います。
実の直径は42mmとなりました。予定ではあと30mm以上大きくなるはずです。
2022年6月8日 摘果(定植から58日目)
先日、この記事《「バケツ&収穫コンテナ」を使った大型野菜用の水耕栽培装置の作り方。本体と支柱を分けることで強度を確保しています》を参考にして支柱を立てました。茎と支柱をビニール紐で縛ったので、強風が吹いても大丈夫だと思います。
2段目の房に付いていた花ですが、ほぼ全てが受粉してしまいました。さすがに多すぎるので摘果を行いましょう。隙間ができるようにハサミで切り取っていきます。
5個を残しました。このまま育て、直径が3cmほどになったら更に摘果する予定です。
実の直径は52mmに達しました。そして表面には薄っすらと紫色の模様が出つつあります。ペピーノの収穫目安は、この模様がはっきりとした頃です。収穫までもう少しかもしれません。
2022年6月12日 実の縞模様(定植から62日目)
写真でも縞模様が映るようになってきました。
2022年6月26日 実が黄色くなる(定植から76日目)
今のところ、順調に成長をしているペピーノです。
実の肥大化は止まったようです。その代わりに模様がしっかりと出て、さらに皮の色が緑→黄色っぽく変化してきました。収穫されたペピーノの写真を検索すると、実がかなり黄色くなっています。そのためまだ収穫はせずに、さらに熟すのを待ちます。
ちなみに、2番目3番目の実も大きくなりつつあります。暑さに負けずに、さらに大きくなってほしいですね。
2022年7月17日 ペピーノ収穫(定植から98日目)
暑さのせいか、ペピーノの成長が鈍ってきたように感じます。
これまで咲いていた花は紫色だったのですが、今は真っ白なものとなっています。やはり高温によるものでしょうか?
ここ数日、雨が降り続いています。そのため水分を求めて節からたくさんの気根が出てきました。この枝を挿し穂にすれば、すぐに根付きそうですね。
現在の実ですが、成長が止まり、また色の変化もなくなりました。これ以上待っても何も起きないと思うので、とりあえず収穫をしてみます。
ヘタの少し上の部分で切ります。
こちらが収穫できたペピーノです。鼻を近付けても特に香りはしなかったです。
紫色の縦じま模様ですが、若干消えかかっています。この模様が薄くなってしまうと、最適な収穫時期から外れているとのことです。今回は長い期間置きすぎてしまったようです。
今育ちつつある実と色の比較をしました。かなり黄色いのが分かりますね。それでは早速試食をしましょう。
包丁で縦半分に切りました。皮と同じく中身も黄色で、種はありません。切り口からはメロンのようなかなり甘い芳香がします。ナスの仲間だとは思えない、良い香りです。
皮は指でツツツと剥けました。口に入れるとみずみずしさがあり、ほんのり甘いです。食感は密度のあるナス…でしょうか?確かにラベルの通り、(メロン+洋梨)/2+αのような風味があります。しかしその風味は薄いので期待しては駄目です。
気になったのは少しだけ苦味を感じた点と、何故か果汁が付いた唇が痒くなったことです。もしかしたら、熟れ過ぎが原因なのかもしれないです。次に収穫する実はもう少し早く採りたいと思います。
2022年8月2日 2回目の収穫&切り戻し(定植から114日目)
今年の夏も気温が高いです。最高気温が35℃を超える日が何日も続いています。特に我が家のベランダは日当たりが良いので、地植えよりも更に高温となっているでしょう。
以前調べた時に知ったのですが、ペピーノは暑さに強くないとのことです。確かにそうかもしれないです。
その理由としては、まず枝の先端の新葉が全て落ち、茎だけとなってしまいました。
また成長している葉も傷んでいたり、完全に枯れているものがあります。
花は咲いたものの、全て受粉しませんでした。これらの事より、ペピーノは暑さに強くないと考えられます。夏場は遮光ネットの下で育てた方が良さそうです。
実は肥大化が収まり、黄色味が強くなってきています。前回の経験から、紫色の縦縞がしっかりと残っている今、収穫します。
このくらいのサイズであれば、食べごたえがありそうですね。
半分に切ったところ、少しだけ種ができていました。食べるとやはり果肉はみずみずしく、甘味が少なめのメロン風味のナスです。そして今回も唇が少し痒くなりました。もしかしたら私の体質のせいかもしれないですね。
ところで、このペピーノは葉や茎の傷みが多いです。そのため切り戻して枝の更新を行います。
枝を下から1/3の場所でバッサリと切り、傷んだ葉を取り除きました。秋になってからの再成長に期待します。
目標であったペピーノの収穫ができ、そして実の味も確かめることができました。今後は特に目新しい事はない思うので、切りの良い本日で栽培記録を一旦終了することにします。
まとめ
今回は珍しい野菜(果物?)であるペピーノを栽培しました。夏になる前までの成長は非常に早く、脇芽を取るのが一苦労したほどです。
収穫した実はみずみずしく、ほんのりと甘味がするメロン風でした。冷やして食べれは、より美味しいと思います。しかし、風味や甘さでは完全にメロンに負けますので、味を求める方は素直にメロンを買うのが良いでしょう。私としては、面白い野菜を育てられて良かった、と思っています。
この記事がペピーノ栽培のお役に立てれば幸いです。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。