「チンゲンサイ」を水耕栽培。培地の量で成長に差が出るのか実験です

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 野菜の種まきは春と秋が一番適しています。暑くもなく寒くもない温度ですので、多くの野菜がすくすくと育ってくれます。
 この記事を書いているのは10月の中旬です。秋も後半になると朝晩が肌寒くなり、薄手のコートが必要になってきます。そのため種蒔きの最盛期から少し外れてしまい、種類によっては蒔けないものも出てきます。
 しかしながら、種まきの時期が遅くてもOKな野菜はいくつかあります。葉物野菜が中心になりますが、その中で今回は「チンゲンサイ」を水耕栽培で育ててみます。チンゲンサイは炒めてもお浸しにしても食感が残る、使い勝手の良い美味しい野菜です。
 もちろん普通に育てるだけでは面白くないので、培地の量によって成長に差があるのか実験してみようと思います。私の水耕栽培装置では、培地としてバーミキュライトを使っています。この量を最小限または最大にして育ててみます。
 予想では、培地の量が少ない方が液肥層に根が届くのが早くなるため、大きく育つ気がします。本当にそうなるのか、早速種を蒔いて確かめてみましょう。

 

 

 

 

チンゲンサイの種

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 チンゲンサイの種は直径1mm程度で球形をしています。そのため種袋から数個だけ取り出そうとすると、一気に何十個も出てくることがあるので注意しましょう。

 

水耕栽培装置&液体肥料

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 水耕栽培装置はこの記事《底面給水式の水耕栽培装置を改良。水面が低下しても液肥が供給されるようにしました》のものを使用しました。
 今回は培地の量によって成長に差が出るのか実験するために、バーミキュライトを多く入れたカップと少なく入れたカップを3個ずつ用意しました。日当たり具合をできるだけ均一にするため、交互になるように装置にセットします。
 液体肥料は微粉ハイポネックスを水道水で1000倍に希釈したものを使用します。

  

2018年10月21日 種まき

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 1カップにつきひとつまみ分の種を蒔き、薄く覆土をしました。今までの経験から、3日程度で発芽すると思います。

 

2018年10月24日 発芽(発芽から0日目)

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 予想通り3日間で発芽しました。本日を「発芽0日目」として、何日後に収穫できるか確かめましょう。

 

2018年10月28日 双葉が大きくなる(発芽から4日目)

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 爪先ほどの大きさだった双葉はかなり大きくなり、もう少しで本葉が出てきそうな雰囲気です。発芽率が良く、密集して育っているため、1回目の間引きを行います。

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 指でつまんで引っこ抜くと、他の株まで抜けてしまう可能性があります。そこでハサミを使い根本を切って間引きをしました。
 今回の間引きでは成長の遅いものや葉の欠けがあるものを取り除き、元気な3株を残しました。

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 ちなみに培地が少ないカップは株までの距離が遠く、根本を切る作業がやりにくかったです。

 

2018年11月2日 1回目の間引き(発芽から9日目)

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 前回から1週間がたち、双葉の間から本葉が出てきました。株同士の葉が触れ合う程度まで育ってきたので、2回目の間引きを行います。今回は最も成長の良い株を残して、全てを間引きます。

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 方法は前と同じくハサミを使って行いました。1カップにつき1株となったので、栄養を十分に取れるようになったはずです。これからの成長に期待ですね。

 

2018年11月10日 チンゲンサイらしくなる(発芽から17日目)

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 今週は暖かい日が多かったので、一気に大きくなった気がします。小さいながらも葉はチンゲンサイらしいものとなってきてきました。

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 株元の膨らみはまだ見られないです。しかし成長が早いので、きっと来週あたりには今とは違った姿になっていることでしょう。今から楽しみです。

 

2018年11月18日 根本が太くなる(発芽から25日目)

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 ここ最近朝がとても寒く、コートが必要なくらいとなっています。しかしこの気温のおかげで害虫が出ることもなく、きれいな葉を保っています。培地の量で育ち方が違うのではないか?と思いましたが、現時点では特に差はありません。

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 チンゲンサイの特徴である根本の膨らみが、だんだんと見られるようになってきています。この時点で食べられそうな感じもしますが、もう少し大きくなるまで待ちましょう。

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 現在6株を育てていますが、その中の1つが変になっています。新しく葉が出てくるはずの成長点が、何故かなくなってしまったのです。このままでは大きくならないような気がしますが、果たしてどうなってしまうのでしょうか…

 

2018年11月25日 見た目がチンゲンサイ(発芽から32日目)

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 11月も後半になり他の野菜の成長が遅くなるなか、チンゲンサイは順調に大きくなってくれています。前回の写真と比べると、1週間で一回り以上育っている気がします。

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 中心部分からは次々と葉が生えてきています。この気温ですとアオムシもいないので、葉を食べられることなくとてもきれいな状態を保っています。

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 根本の茎は充分に膨らみ、ミニチンゲンサイと言われると納得してしまうくらいです。種袋の説明によると、丈が20~25cmになったら収穫とのことです。今はまだ15cmくらいですので、まだまだ大きくなる余地がありそうですね。

 

2018年12月1日 ミイラのアブラムシを発見(発芽から38日目)

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 先週の姿と比べると葉の量は多くなっていますが、高さはあまり変わっていません。もしかしたら、今の季節ではこの丈までした育たないのかもしれません。

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 根本の茎はかなり太くなっており、市販のものと比べても遜色ありません。今後の成長にもよりますが、来週か来々週には収穫できそうです。

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 ところで成長点が変になってしまったチンゲンサイは、やはりこれ以上の葉が出てくることはありませんでした。残念なことに奇形だったようです。

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 よく観察をしていたら、アブラムシが付いている株を発見しました。画像では分かりにくいのですが、中央の葉が出てくる部分に10匹程度が潜んでいます。しかしその周りには、干からびたミイラアブラムシが何匹も横たわっていました。きっと夜の寒さで死んでしまったのでしょう。今生きているアブラムシも放置していても大丈夫そうです。薬を撒くなどのことはせずに、そっとしておきました。

  

2018年12月9日 収穫(発芽から46日目)

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 チンゲンサイは大きく成長し、今では真ん中の株がかなり窮屈そうになっています。ここ数日は冬とは思えないくらいに暖かかったので、急に育った印象ががあります。

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 横から見ても茎がだいぶ太くなっていることが分かります。スーパーで売っているチンゲンサイと比べると高さが2/3程度しかありませんが、十分に食べられるまで育っています。

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 蓋を開けて液肥を見てみましょう。根に藻が付着していますが液肥自体は透明です。真夏と比べると、藻の繁殖スピードが遅くなっているようですね。

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 培地にはびっちりとまではいきませんが、根が、白い根が縦横無尽にはびこっています。

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 それではお待ちかねの収穫をしたいと思います。秋蒔きをしたチンゲンサイの標準栽培日数は40~50日です。今回はドンピシャの46日での収穫となりました。根本をハサミで切って…

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 収穫完了です。茎の太さの割に葉が小さいので、ずんぐりむっくりした感じを受けますね。 

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 葉は虫にかじられることなく、きれいな状態で育てることができました。まるで、うちわのような形をしています。

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 ところであの成長不良の株はどうなかったかと言うと、葉が3枚だけ出て成長が止まってしまいました。

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 でも一応は成長したかったらしく、茎は太くなっています。しかしやはり、他の株と比べると細いです。

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 今回収穫した全6株を並べてみました。上段が培地量を多くして栽培したもの、下段が少なくして栽培したものです。それでは重量を測定して、どちらの方が成長が良かったのか確かめましょう。

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 成長の悪かった1株を除いたそれぞれの重さは、以下のようになりました。

 培地量 少ない:62g, 62g
 培地量 多い :94g, 62g, 50g

 1つだけ100g近い株がありますが、全体的に培地の量で生育に違いはあまり見られないようです。差が少ないならば、培地の量が少ない方がコスト的にメリットがあります。
 しかし実際に培地量を少なくして装置にセットすると、培地の上面が穴よりも下になってしまいます。この場合、気を付けて液肥を入れないと、培地が完全に水没してしまいます。特に夜は液面の位置が分かりにくく、何回か水没させてしまいました。
 この体験より、植物の成長には培地の量はあまり関係ありませんが、運用面では多すぎず少なすぎずの量が一番やりやすいことが分かりました。

 

まとめ

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 それでは今回のまとめをしましょう。

  • 秋蒔きのチンゲンサイは発芽してから約45日で収穫できました。病気や害虫の被害も特になく、液肥を与えるだけで収穫まで行けました。

  • 収穫したチンゲンサイは思っていたよりも背丈が低かったです。種袋によると20~25cmくらいになるとのことでしたが、今回は20cmに届かないものが多かったです。もう少し早く蒔けば、より大きく育ったのかもしれません。

  • 培地であるバーミキュライトの量を多めまたは少なめにして栽培しましたが、成長速度や大きさに差はないように感じました。培地量が多いとコストがかかり、少ないと気を使って液肥の補充をしなければならないので、多からず少なからずの量が良いということが分かりました。 

 

 最後になりますが、収穫したチンゲンサイは野菜炒めにして食べました。食感がシャキシャキしていてとても美味しかったです。この野菜はアブラナ科なだけあって発芽も早く、簡単に育てられるので初心者向けの野菜でしょう。

 今は12月ですので種を蒔くのは難しいかもしれませんが、暖かくなったらチンゲンサイを栽培してみてはどうでしょうか?自分で育てた野菜を食べるのは美味しくて楽しいですよ。