先日、水切りカゴを利用した水耕栽培装置を作りました。組み立てていて気付いたのは、「入る液肥の量が意外と少ない」ということです。見たところ1L入れられるかな?くらいですので、屋外栽培で使った場合には液肥の補充頻度が多くなりそうです。また、もし真夏の日向に出そうものなら、1日持たないかもしれません。
そこでこのカゴ式栽培装置は室内で使うことに決めました。我が家で1番明るい場所は、南向きの窓辺りです。冬の晴れた日に照度を測ると、カーテン越しで5000lx、 カーテンを開けると10000lxでした。この結果から育てられそうな野菜を調べると、レタス系が良さそうです。プラカップの中で育てる関係上、結球する品種は無理ですので、リーフレタス、今回は家に種があった「サラダ菜」を育ててみます。
室内でのリーフレタス栽培は多くのブログでも紹介されているので、成功率は高そうです。特に興味があるのが、本当に窓際の明るさで育つのか?、また発芽直後に日光不足による徒長が起きないのか?です。それではサラダ菜の種を用意して、スポンジの上に蒔きましょう。
- サラダ菜の種
- 栽培装置
- 液体肥料
- 2020年2月2日 種蒔き
- 2020年2月4日 発根
- 2020年2月8日 発芽(発芽から0日目)
- 2020年2月11日 双葉の成長(発芽から3日目)
- 2020年2月16日 1回目の間引き(発芽から8日目)
- 2020年2月22日 2回目の間引き&移植(発芽から14日目)
- 2020年2月29日 成長中?(発芽から21日目)
- 2020年3月7日 カップから葉が出る(発芽から28日目)
- 2020年3月14日 順調に成長(発芽から35日目)
- 2020年3月21日 徒長気味の株あり(発芽から41日目)
- 2020年3月28日 初収穫(発芽から48日目)
- 2020年4月5日 回復中(発芽から56日目)
- 2020年4月11日 2回目の収穫(発芽から62日目)
- 2020年4月25日 3回目の収穫(発芽から76日目)
- 2020年5月5日 4回目で最終収穫(発芽から86日目)
- まとめ
サラダ菜の種
今回は半結球型のレタスであるサラダ菜を育てます。品種は「ウエアーヘッド」です。
栽培装置
栽培装置はこの記事《水切りカゴで水耕栽培装置の作成。材料は全て100均で用意し、300円台でできました》のものを使います。この装置は初めて使うので、もし何かあったら途中で改良するかもしれません。
液体肥料
液体肥料には、微粉ハイポネックスを水道水で1000倍に希釈したものを使用していきます。
2020年2月2日 種蒔き
種は直接栽培装置に蒔くのではなく、一度スポンジの上で育ててから移植します。例としては上の写真の様に、サイコロ状に切ったスポンジを適当な容器に入れて種蒔きをしましす。しかし以前この方法で育てたら、根が隣のスポンジまで行ってしまい、取り出すのが大変でした。
そこで今回は製氷トレーを使って苗作りをします。仕切りがあるので、隣同士が干渉することもないでしょう。
適当な大きさに切ったスポンジをセルに入れて、液肥を吸わせます。
ここに種を4個ずつ乗せます。
そして保湿材として、トイレットペーパーを切ったものを被せれば完成です。
このトレーを室内の温かい場所に置いて、発根するのを待ちます。もし液肥が蒸発して少なくなったら、濃くならないように水道水を足していきます。
2020年2月4日 発根
部屋の温度はサラダ菜の発芽適温である15℃くらいになっています。そのおかげか、たった2日で発根してくれました。あと数日で葉が開くと思うので、製氷トレーを南向きの窓際に移動させておきました。できるだけ光が入るように、日中はカーテンを開けておきます。まずは徒長せずに発芽するか確かめましょう。
2020年2月8日 発芽(発芽から0日目)
双葉が開きましたので、本日を「発芽0日目」として記録をしていきます。運良く晴れの日が続きましたので、日光不足による徒長は起きていなさそうです。
製氷トレーを置いている窓際は、今こんな感じになっています。全体的に明るい場所であり、カーテンを開けていれば6時間程は直射日光が当たります。
2020年2月11日 双葉の成長(発芽から3日目)
双葉も大きくなり、今では指先ほどのサイズとなっています。また中心部には小さな本葉が見えてきました。
根が絡まないように製氷トレーを使って苗を育てるアイデアは、最初非常に良いと思っていました。しかし実際に行ってみると、一つ一つのセル容量が少ないせいで、蒸発した水分を毎日補給しなくてはなりません。意外と面倒なので、次はもっと大きい製氷トレーを使う予定です。
2020年2月16日 1回目の間引き(発芽から8日目)
1枚目の本葉が見えてきましたので、最初の間引きを行いましょう。
ハサミを使って発芽不良や成長の遅いものを切り取っていきます。今回は上手く発芽しなかった種が多い印象を受けました。
それぞれのスポンジに2株を残して作業完了です。引き続き成長するのを待ちます。
2020年2月22日 2回目の間引き&移植(発芽から14日目)
前回から一週間が経過しました。最初の本葉も成長し、今は3枚目の葉も見えています。
スポンジをセルから取り出すと、根が数cmほどの長さに伸びています。
水切りカゴ栽培を紹介しているサイトを読むと、このくらいのサイズで移植せよとのことです。それでは早速、移していきましょう。
まずは移植の前の準備として間引きをし、各1株にしておきます。
次にお茶パックに苗を入れて、ビニール結束ワイヤーで緩く固定します。結束ワイヤーを予め輪の状態にしておき、ここに苗を入れ込むと簡単にできました。
あとはプラカップや保温シートなどをセットして、液肥を注ぎ入れて完成です。
しかし、ここでトラブルがありました。保温シートの下にある不織布が水を弾いてしまい、液肥が苗まで届かないのです。そこで不織布を水中で揉んだり握ったりを繰り返して繊維をほぐした結果、どうにか水と馴染むようになりました。
今回の栽培装置は、コストを下げるために園芸用の不織布を選びました。どうもこの布は新品の状態では撥水性らしく、使う前にひと手間掛ける必要がありました。次はもっと水馴染みの良い不織布を用意したいと思います。
ちょっとした想定外もありましたが、何とか移植は完了しました。あとはこの装置を再び窓際に置いて、成長するのを待ちます。不織布に根が張るまでは不安定なので、プラカップが倒れないように気を付けて扱います。
2020年2月29日 成長中?(発芽から21日目)
遠目から見た感じでは先週とほぼ変わっていないサラダ菜です。
この一週間で変化したことは、葉が少し幅広になったくらいでしょうか。レタス系は初期の成長スピードが遅いらしいので、ここは我慢をして見守ります。
はみ出した不織布には藻が繁殖し始めました。藻はかなり厄介で、液肥と光があればすぐに増えてきます。完全に防ぐことは無理ですから、見ないふりをするのが一番です。今までの経験上、藻があっても普通に野菜は育つので大丈夫です。
2020年3月7日 カップから葉が出る(発芽から28日目)
たった1週間でかなり成長しました。写真で見ても、緑色が多くなったのが分かるかと思います。
一番大きな株はプラカップの縁から葉が出ています。
反対に小さな株はもうちょっとかな?という感じです。
根は先週あたりから不織布を抜け始め、今ではカゴの下に出てきています。
発芽から1ヶ月となり、サラダ菜の成長もスピードアップしてきました。来週はどうなっているのか楽しみです。
2020年3月14日 順調に成長(発芽から35日目)
今週は暖かったからか、成長スピードが早かったです。カップから出てくる葉も枚数が多くなってきました。また日当たりの関係でしょうか?両側の4株と比べると、中央の2株の成長が遅い気がします。
スポンジには藻がびっしりと生えて、黒に近い深緑となっています。こんなチョコレートが売っていそうです。
遮光をしているとは言え完璧ではないので、このようにトレーにも藻が繁殖しています。あまりに増えるようでしたら、液肥を捨てて洗おうと思っています。
2020年3月21日 徒長気味の株あり(発芽から41日目)
寒い日が続いた1週間でしたが、一気に成長してきました。このペースならばあと2週間ほどで収穫できそうです。
半日陰状態で育てているためか、葉の厚みが薄くて食べやすそうです。また室内栽培のため虫も付かず、きれいな葉を維持しています。
根はかなり伸びています。やはり成長が早い株は、根の量が多い傾向があります。
成長が遅い中央の株は茎が伸びてきており、徒長しそうな雰囲気です。もしかしたら両側の株によって光が遮られているせいかもしれません。栽培装置の原理上、この場所から動かすことはできないので、このまま成長してもらいましょう。
2020年3月28日 初収穫(発芽から48日目)
ここ数日は春らしい晴れた天気が続いており、暖房を入れることもありませんでした。サラダ菜は一層伸びて、お互いの葉が重なり合う状態となっています。
今までの成長速度を考えると、1週間後に食べ頃サイズになるはずでした。しかし想定よりも早く成長したので、前倒しして本日収穫をしようと思います。
今回のサラダ菜は株を抜いて収穫するのではなく、使う分だけ掻き取ります。下の方に生えている葉や大きい葉を優先して採っていきます。
これで収穫完了です。6株から片手を覆うくらいの量が採れました。
1番大きい葉は手の長さと同じです。試しにこの葉を少し切り取って食べてみました。レタス特有の苦味はありますがクセのない味で、どんなサラダに入れても邪魔しない印象です。また他の野菜にはない鮮やかな黄緑色なので、見た目にも映えますね。ちなみに我が家では、炒めた肉の下に敷く野菜として使いました。
こちらが収穫が終わった株です。葉を4〜5枚残してありますので、成長が止まることはないでしょう。収穫前と同じレベルに戻るまで、再び窓際に置いて育てます。
2020年4月5日 回復中(発芽から56日目)
だんだんと葉の面積が多くなってきましたね。暖かい日が続けば、次の週末には再収穫ができそうです。
2020年4月11日 2回目の収穫(発芽から62日目)
前回の収穫から2週間が立ちました。葉の数も多くなり、良い具合に育っています。
葉の大きさは手の平が隠れるくらいです。このタイミングで2回目の収穫をしましょう。
再び大きい葉を取って収穫完了です。心なしか1回目よりも量が多い気がします。この感じですと、サラダ菜は収穫してから2週間で元の状態に戻るようですね。
収穫後の姿がこちらです。8割ほどの葉がなくなってしまいました。新しく液肥を追加し、3回目の収穫に備えます。
ところで、この株は端にあるサラダ菜です。茎間が詰まっているのが分かりますね。
一方で、こちらが中央の株です。端のものと比べると明らかに茎が間延びしています。やはり光の当たりが悪いのでしょう。我が家の栽培環境では、1つのトレーにつき4株が適切なようです。
2020年4月25日 3回目の収穫(発芽から76日目)
2週間で再び収穫できるまで回復しました。それでは3回目の収穫をしましょう。
前回よりも少し多く収穫できた気がします。室内の弱い光で育てているせいか葉が非常に薄く、ちょっと引っ掛けただけで切れるので注意が必要です。
収穫後のトレーはこのような感じです。そろそろ栽培を続けるのが難しくなってきています。
以前から徒長していた中央の株は、もう自立できないほどに伸びています。カップの縁や他の株を支えにして、横方向に成長しています。
また今までは普通に育っていた四角の株も徒長の傾向があります。
この原因は日光不足です。我が家の周りには庇(ひさし)が出ています。太陽の位置が低いと室内に直射日光が入るのですが、今の時期くらいになると庇に日光が遮られてしまうのです。そのため一日中日陰となり徒長したのです。
家の構造上仕方のないことですので、このまま育ててみましょう。あと1回は収穫できると思いますので、それまでは頑張ってほしいです。
2020年5月5日 4回目で最終収穫(発芽から86日目)
日当たりの悪くなったサラダ菜は、私の知っているサラダ菜の姿をしていません。やたら散らかっているように見えますが、果たしてこれは何の野菜なのでしょう?
中央列にある茎は伸びに伸びて、長さが30cmくらいとなっています。完全に這いつくばって成長しています。
日光不足が原因なのか、葉の色は緑ではなく黄色に近いです。また厚みもさらに薄くなり、ふとしたことですぐに破けてしまいます。
さすがにこの辺りが栽培の限界でしょう。4回目の収穫、もとい最後の収穫をします。今回は茎も食べるので、プラカップから出ているところをハサミで切ります。
6株でボウル1杯分となりました。見た目は多いですが、ほぼ空気なので軽いです。
サラダ菜を育て始めた時には、太陽の傾きが変化するのを全く頭に入れていませんでした。今回は4回の収穫しかできませんでしたが、もっと明るいところで育てれば、さらに収穫回数を増やすことができるでしょう。
まとめ
それでは栽培のまとめになります。
- 水切りカゴを使った装置でサラダ菜の栽培を行いました。収穫すると2週間後には以前と同じレベルまで戻り、全部で4回の収穫ができました。
- 栽培前半は株に日光が当たっていたので、成長が早かったです。しかし後半になると太陽の位置が高くなり、完全に日陰になってしまいました。半陰性のレタスと言えども、この日陰では光を求めて徒長しながらの成長となりました。
- 半日陰で育った葉は非常に薄く、何かに引っ掛けるとすぐに破けてしまうほどです。その一方で食べた時には柔らかく、スーパーで売っている肉厚のサラダ菜とは違った食感と風味でした。
私の予定では10回以上収穫できるはずでしたが、日光不足により4回目で栽培を断念しました。室内栽培では部屋に入る光、つまり太陽の傾きを考えて、種蒔き時期を調整しなければなりませんね。我が家の環境では秋~冬~春にかけて太陽光が入るので、次回は秋に種蒔きをしてみようと思います。
この記事が室内水耕栽培をしようと思っている方のお役に立てれば幸いです。繰り返しになりますが、太陽の高さはかなり重要です。私と同じ失敗をしないようにしましょう。