私が葉物野菜を育てる時に使っているのが「プラカップ式栽培装置」です。これはリーフレタスや水菜などの、地上部が軽い野菜に適しています。以前、この装置で丈が1mになるモロヘイヤの栽培にチャレンジしたのですか、重みで装置が壊れてしまいました。そこで大きく育つ野菜を育てるために、「バケツ式栽培装置」を開発しました。
現在、この装置でズッキーニの試験栽培を行っています。株は順調に成長し、嬉しいことに先日初収穫となりました。地植えと遜色のない実ができたので、次は他の野菜にチャレンジすることにしました。
この文章を書いているのは5月下旬で、実がなる野菜は種蒔きシーズンが終わっています。しかし調べると、ナスはまだギリギリできそうでなことが分かりました。秋ナスのシーズンに合わせるべく、急いで100円ショップに行き、種を購入しました。
種は装置に直蒔きしても良いのですが、これだと移動させるのが少し大変です。そこで最初はポリポットで育苗して、装置に移植します。それではナスの水耕栽培スタートです。
- 長ナスの種
- 栽培装置
- 液体肥料
- 2020年5月31日 種蒔き
- 2020年6月7日 発芽(発芽から0日目)
- 2020年6月13日 1回目の間引き(発芽から6日目)
- 2020年6月20日 定植(発芽から13日目)
- 2020年7月4日 仮液肥槽にセット(発芽から27日目)
- 2020年7月11日〜12日 本装置にセット(発芽から34~35日目)
- 2020年7月23日 蕾の発見(発芽から46日目)
- 2020年7月26日 脇芽取り(発芽から49日目)
- 2020年8月2日 開花(発芽から56日目)
- 2020年8月15日 様子がおかしい(発芽から69日目)
- 2020年9月22日 実らないため撤収(発芽から107日目)
- まとめ
長ナスの種
種は直径3mmほどの扁平型です。色はクリーム色ですが、少し紫掛かっている気がします。
品種は「久留米長なす」です。種袋によると、実の長さは30〜40cmにもなるとのことです。本当は普通サイズの品種が欲しかったのですが、今シーズンの商品ラインナップにはないようです。
栽培装置
栽培装置はこの記事《「バケツ」と「バケツが入る容器」を使って水耕栽培装置を作製。大型の野菜でも栽培できるでしょう》を参考にして組み立てました。
改良点としては、側面の穴の数を増やしたことです。この穴から空気が出入りすることによって、根に酸素が供給されやすくなるはずです。
液体肥料
液体肥料には、微粉ハイポネックスを水道水で1000倍に希釈したものを使用します。
2020年5月31日 種蒔き
ポリポットにバーミキュライトを入れ、液肥で湿潤させます。この上に種を4個置き、厚さ5mmとなるように覆土を行いました。予備として同じものをもう1つ作り、屋外に置いて発芽するのを待ちます。
2020年6月7日 発芽(発芽から0日目)
先行して1株の葉が開きました。他はまだ殻を被っている状態ですが、本日を「発芽から0日目」として記録していきます。
2020年6月13日 1回目の間引き(発芽から6日目)
前回から一週間が経過し、芽が出そろいました。8個の種を蒔いて発芽したのは6個です。発芽率は75%と少し低めですね。
1回目の間引きとして、発芽が遅かったものを切り取ります。
1カップあたり2株を残しました。次の間引きは本葉が2~3枚になった時を予定しています。
2020年6月20日 定植(発芽から13日目)
一番育っている株の本葉は2枚で、3枚目が見えている状態です。
本日は梅雨の間の貴重な晴れです。少々早い気がしますが、栽培装置に定植しましょう。この中から最も成長しているものを選びます。
この株に決めました。
ポットから抜いてみると、まだ株が小さいのか根は回っていませんね。
これで定植の完了です。まだ液肥槽にはセットせずに、このまま側面の穴から根が出てくるのを待ちます。ちなみに選ばなかったポットの方は、もう少し育苗して庭に植えようと思っています。
2020年7月4日 仮液肥槽にセット(発芽から27日目)
定植してから2週間が経過しました。前回の写真と比べると、かなり成長しているのが分かりますね。
ナスを育てて初めて知ったのですが、出たばかりの葉は紫色で、育つと緑色になることです。
先日、側面の穴から根が出てきましたので液肥槽にセットしました。液肥層は外側から発泡スチロール箱→黒ビニール袋→液肥→ナスのバケツ となっています。
液肥に直射日光が当たると藻が生えてしまいます。そのため通常は、写真のようにビニール袋の口を洗濯バサミで閉じています。今の状態は仮の液肥槽です。根の量が多くなったら、より大きい本液肥槽に変える予定です。
2020年7月11日〜12日 本装置にセット(発芽から34~35日目)
仮装置にセットしてから1週間が経過しました。使ってみて分かったのですが、この装置は雨が降ると、ビニールと発泡スチロール箱の間に水が貯まってしまうのです。雨のたびに排水するのが手間なので、本装置に移植したいと思います。
本装置の概要が上の図です。今回は蓋があるので、雨水が入るのは最小限になるはずです。
実際に移し変えた写真がこちらです。使った発泡スチロール箱のサイズは横幅42cm 奥行き26cm 高さ15cmです。液肥は満杯までは入れず、バケツの2段目の穴が水没しない程度としました。あとは時折液肥の交換を行いつつ、実ができるのを待ちます。
今のところの成長は順調で、最近は脇芽が伸びてきそうな気配があります。ナスは長期間の栽培となりますので、虫や病気などのトラブルに注意して育てたいと思います。
2020年7月23日 蕾の発見(発芽から46日目)
ナスはかなり成長し、支柱の上端まで達しました。今後さらに枝が伸びると、針金支柱では支えきれない可能性があります。後ほど棒状の支柱を追加しようと思います。
大きくなったのは丈だけではなく、葉もです。何と広げた手よりも大きいです。
先端部分には蕾と思わしきものがあります。調べると、ナスの1番花は取った方が良い、いや取らない方が良い、との意見があります。株が小さければ花を取って、その分の栄養を本体に回すのが良いのでしょう。しかし今育てている株は既に大きいです。そこでこの1番花は取り除かず、実にしたいと思います。
2020年7月26日 脇芽取り(発芽から49日目)
ナスの脇芽が育ってきました。このままでは栄養が分散してしまうので、下の方にあるものは取ってしまいましょう。
株元から1番花の2節下までの脇芽を全てハサミで切っていきます。
これで完了です。今回の栽培では3本立てにしたいと思います。具体的には主枝・1番花が付いている枝・1番花の1節下の脇芽です。もし下の方から新しく脇芽が出てきた場合は、その都度取っていく予定です。
2020年8月2日 開花(発芽から56日目)
葉が大きくて重いのか、少し垂れ気味です。斜め上から見ると「ドレスを着た人」に感じるのは私だけでしょうか?
発芽から約2ヶ月で花が咲きました。もっと濃い紫をイメージしていましたが、思っていたよりも色が薄かったです。
株も大きくなったのでしっかりとした支柱を立てることにしました。しかし実際に取り付けてみるとバケツのサイズが小さく、上に広がった形にできませんでした。仕方ないので今回は三角錐型に組み、枝を吊るす方法にします。上手く誘引できるか分かりませんが、とりあえずはこの状態で様子を見ましょう。
2020年8月15日 様子がおかしい(発芽から69日目)
ナスの調子が変です。見ての通り、半分から上の葉が大きくならないのです。
このように形が歪であり、縮こまったまま成長が止まっています。
また1〜3番花は全て受粉に失敗しました。根の状態は悪くないので、いまいち原因が分かりません。もう少し様子を見ましょう。
2020年9月22日 実らないため撤収(発芽から107日目)
調子が変だった前回から3週間が経過しました。下の方にあった大きな葉は完全に垂れ下がっており、元気がないです。
上部の枝部分は成長していますが、やはり葉が大きくなりません。どれもある程度のサイズになると成長が止まってしまうのです。
花はいくつかが咲きました。しかし全て受粉せず…です。特に病気になっている感じではないので、原因がつかめません。
今、非常に困っているのが、液肥の減るスピードが早いことです。朝に容器一杯まで液肥を入れても、夕方には1/3ほどになっているのです。ナスが水を吸う量を考えても、減る量が多すぎます。もしかしたら容器が破損し、水漏れを起こしているのかもしれません。
ナスの不調と栽培装置の水漏れから、今回の栽培はここで諦めることにしました。残念ですが撤収作業をしましょう。
地上部を片付けた後で、黒ビニールを外し発泡スチロール箱だけにしました。この写真では亀裂などはないように見えます。
しかしよく見ると、底面に直径3mmほどの貫通した穴と、そこを起点とした道?があます。栽培装置は庭に置いていたので、もしかしたらアリが土と勘違いして掘ったのかもしれません。そしてビニール袋もかじって穴を開けてしまい、水漏れが発生したと考えられます。
光に透かすとより分かりやすいですね。合計5ヶ所に穴がありました。虫が多い場所で発泡スチロール箱を使う際には、何らかの対策が必要ですね。
まとめ
発芽から46日目までは上手く成長していましたが、それ以降は花が咲いても実ができなかったり、葉が成長しない状態になってしまいました。はっきりとした原因が分からないので、なんともモヤモヤした気分です。機会があれば再チャレンジをしたいと思います。
この記事がナス栽培のお役に立てれば幸いです。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。