ネモフィラの水耕栽培に再挑戦。セルトレイ→ポリポット→栽培装置の順で大きくしていきましょう

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 2019年の春、ネモフィラの水耕栽培を試みました。この時には太陽の代わりにピンク色のLED光を使って苗作りを行ったのですが、光量が足りなかったせいか徒長してしまい、最終的には栽培に失敗してしまいました《【失敗】「ネモフィラ」を水耕栽培で育てています。現在、徒長気味ですが大丈夫でしょうか?》。この失敗から2年がたちました。現在では水耕栽培に関する色々な知識や経験が身に付きましたので、再びネモフィラの水耕栽培にチャレンジをしたいと思います。

 予定としては種をセルトレイに蒔き、成長したらポリポットに植え替えし、最終的に水耕栽培装置に定植して大きく育てます。個人的に1番難しいと感じているのは発芽と越冬です。発芽は種を多めに蒔いて確率を上げ、厳寒期には不織布などを用いて防寒をしようと考えています。

 花を楽しむネモフィラをあえて水耕栽培する意味を問われると困ってしまいますが、理由を挙げるならば「研究心」です。水耕栽培で野菜が立派に育つならば、花も立派に育つはずです。果たして本当にその通りになるのか、それではネモフィラの栽培を始めましょう。

 

 

 

 

ネモフィラの種

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 ネモフィラの種は長さ2mm 幅1mmの楕円形をしています。表面には多数の皺があり、まるで干しブドウのようです。

 

液体肥料

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 液体肥料には、微粉ハイポネックスを水道水で1000倍に希釈したものを使用します。

 

2021年11月7日 種蒔き

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 ネモフィラは栽培装置に直接蒔かずに、まずはセルトレイで発芽させます。72区画のセルトレイを3×4区画となるように切り分け、各区画にバーミキュライトを充填して液肥で湿潤させます。それぞれの区画に種を10個程度蒔き、厚さ2mmとなるように覆土を行いました。このセルトレイを南向きの暖かい屋外に出して発芽するのを待ちます。

 

2021年11月13日 発芽(発芽から0日目)

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 ネモフィラの発芽は2週間ほどかかると種袋に書いてあったのですが、1週間で双葉が開きました。気温条件が良かったのかもしれないです。本日を「発芽から0日目」として記録を付けていきます。

 

2021年11月14日 1回目の間引き(発芽から1日目)

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 思っていたよりも発芽率が良かったため、すでに双葉同士が触れ合っている状態となっています。このままでは窮屈なので、1回目の間引きをしてスペースを開けましょう。

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 小さいハサミを使って成長が遅れている株を切り取っていきます。

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 1区画に4〜5株となるように間引きました。引き続き太陽のよく当たる場所に置いて、本葉が出てくるのを待ちます。

 

2021年11月20日 成長中(発芽から7日目)

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 発芽から1週間が経過しました。双葉が大きくなり、中央部分からは小さな本葉が見えてきています。

 

2021年11月27日 2回目の間引き(発芽から14日目)

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 ネモフィラの成長は意外にも早く、発芽から2週間で立派な本葉が出てきました。双葉とは異なり、本葉は深い切れ込みが多数ある葉です。それでは本葉が重なり合っていますので、2回目の間引きをします。

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 1区画に1株として間引きは終了です。今後は本葉が4枚になるまでセルトレイで育てます。

 

2021年12月4日 ポットへ植え替え(発芽から21日目)

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 現在の本葉数は4枚となっています。これ以上の大きさになるとセルトレイでは手狭になるので、本日ポリポットに植え替えたいと思います。

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 小型のフォークを使って、できるだけ根を切らないようにセルから抜き取ります。

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 セルから抜けました。写真では分かりにくいですが、半透明の根が底部を中心に多数伸びています。

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 12株の中から成長の良いものを3株選抜し、これらをポリポットに植え付けます。このように茎がポットの中心となるように置きます。

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 そして回りをバーミキュライトで埋めて、液肥で湿潤させました。

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 さらに今回はひと手間を掛けます。バーミキュライトが剥き出しのままですと、水分の蒸発が早かったり、風でバーミキュライトが飛ばされてしまいます。そこで厚さ0.5mmほどのアルミ蒸着保温シートをドーナツ型に切り、これを取り付けます。

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 ちなみにこちらは固定針金です。アルミ蒸着保温シートの上からにバーミキュライト層に突き刺して、浮き上がりや脱落を防止します。

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 これで植え替え作業は終わりです。暖かくなるまではポットで栽培し、その後に栽培装置へ移植しようと思います。

 

2021年12月30日 寒さに強いネモフィラ(発芽から47日目)

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 早朝に気温が0℃以下になり、霜が降りる日が出てきています。しかし枯れる葉もなく、元気に成長中です。調べると、ネモフィラは寒さに強い植物のようです。当初は不織布を掛けて防寒をしようと思っていましたが、何もせずに放置気味で育てていきます。

 

2022年1月23日 栽培装置に植替え(発芽から68日目)

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 先日に降った雪では、完全にネモフィラが埋まってしまいました。それでも何事もなかったかのように耐えています。

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 中央から伸びている葉が多くなり、またポリポットの縁からはみ出してきました。この成長度合いならば栽培装置へ植替えができそうです。

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 今ある3ポットの中から、根張りが1番良いものを選んで、栽培装置へ植え付けます。多少の差はあれど、どの株もポット全体に根がしっかりと回っていました。

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 栽培装置はこの記事《「バケツ&収穫コンテナ」を使った大型野菜用の水耕栽培装置の作り方。本体と支柱を分けることで強度を確保しています》を参考にして組み立てました。根は崩さずに、ネモフィラの茎がザルの中央となるように置いて、周りをバーミキュライトで埋めます。

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 最後に、水分の蒸発を防ぐためのアルミ蒸発保温シートを取り付けて植替えの完了です。
 今までは容量0.3Lのポリポットで栽培していましたが、これからは8Lのバケツで成長させていきます。根の伸びるスペースが25倍に増えるため、生育がかなり良くなることでしょう。1月も下旬となりました。暖かくなる日まで、もうそろそろです。

 

2022年2月9日 蕾を発見(発芽から84日目)

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 大型の栽培装置に植替えをして2週間が経過しました。株の直径は一回り大きくなり、また全体が鮮やかな緑色となっています。非常に調子が良さそうです。

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 ザルの底からは無数の根が降りてきています。そのためこの根に触れるまで、液肥の液面を上げました。

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 嬉しいことに蕾を発見しました。開花するのが楽しみです。

 

2022年2月12日 脇芽が伸びてくる(発芽から87日目)

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 これまでのネモフィラは中心部から新芽が伸びていました。しかしその先端がなくなり、今はYの字の様な脇芽を横へ横へと広げています。春になるまでもう少しです。

 

2022年2月19日 葉が立ち上がる(発芽から94日目)

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 先週までは低い背丈でしたが、ここ数日で葉が立ち上がってきています。日に日に変化する姿が面白いです。

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 蕾は大きくなり、先端が少し開いてきました。もうすぐで咲くでしょうか?

 

2022年3月5日 1番花の開花(発芽から108日目)

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 とうとう株の直径が栽培装置を超えました。このまま進むと巨大なネモフィラになりそうです。

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 株元は脇芽の成長と分岐を繰り返しています。

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 嬉しいことに1番花がきれいに咲きました。きれいなネモフィラブルーです。蕾の数はまだそれほど多くないので、満開になるのはもう少し先になりそうです。

 

2022年3月12日 1番花の咲き終わり(発芽から115日目)

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 想像以上に成長しているネモフィラです。前回の報告(一週間前)よりも1.5倍は大きくなっています。

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 1番花は咲き終わりました。このままだと種作りに体力を使ってしまうので、切り取っておきます。

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 新しい蕾はたくさん伸びており、中には明日明後日には咲きそうな蕾もあります。乱れ咲となる日も、そう遠くでないでしょう。

 

2022年3月19日 根腐れ発生(発芽から122日目)

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 株が大きくなるのは良いのですが、どうも座りが悪いです。風が吹くたびに右へ左へと傾いてしまいます。これほどグワングワンしていると、いつか株元から取れてしまいそうです。

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 花の数は多くなり、今は10輪ほどが一緒に咲いています。このまま順調に咲き続けてほしいのですが、重大な問題が起きていることが分かりました。

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 それは根腐れが発生してしまったのです。異臭はないですが白かった根が茶色くなり、そして液肥には濁りが出てきています。

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 傷んだ根を手に取ってみました。複数の根がゼリー状となって束となり、引っ張ると簡単に切れてしまいます。

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 せっかく花も咲いていますので、このまま栽培終了をするには惜しいです。よく観察をすると、葉に萎れなどの異常がないことから、培地(ザル)中の根は生きていると考えられます。そこで朽ちた根を取り除いて、様子を見ることにしました。
 まずはザルから出ている機能していない根を手でむしり取り、水道水できれいに洗い流しました。新しい液肥は給水布の1/3が浸るまで入れておきます。この状態でしばらくの間、半日陰の場所に置いて経過を観察します。

 

2022年3月27日 回復中(発芽から130日目)

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 数日間、半日陰の場所に置いていましたが、特に問題がなさそうなので日向に再度移動させました。花の数が徐々に多くなってきており、これからが開花の最盛期となりそうです。

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 ちなみに倒伏は改善していません。仕方がないので、この状態のまま栽培を続けましょう。

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 前回、ザルから出ている根を全て取り除きました。1週間が経過した現在、白い綿に似た新しい根が出てきました。順調に回復しているようです。

 

2022年4月3日 満開?(発芽から137日目)

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 だんだんと青色の面積が増えてきました。今が満開な状態でしょうか?ぱっと数えたところ、50輪以上はありそうです。

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 花は1週間ほど咲いた後に萎んで、種作りを始めます。そうなると栄養が種の方に行ってしまうため、花がらは手で取って他の蕾に養分を渡します。

 

2022年4月9日 ネモフィラ満開(発芽から143日目)

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 先週で満開かと思っていましたが、明らかに今の方が花の数が多いです。満開宣言をしても良い頃合いです。

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 良い写真が撮れたので掲載します。素晴らしいネモフィラブルーですね。有名な「ひたち海浜公園」はこの様な株が何百万とあるのですから、素晴らしい景色になるのは必然でしょう。

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 まだ蕾はありますので、もう少し満開状態が続きそうです。

 

2022年4月16日 最盛期が過ぎる(発芽から150日目)

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 まだ花は咲いていますが、その数は結構減りました。

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 先週の時よりも花のサイズが小さくなり、また青色も薄くなった気がします。おそらく最盛期は終わったので、次の週末には片付けとなりそうです。

 

2022年4月24日 まだ開花中(発芽から155日目)


 前回よりもさらに花の数が減り、緑色が優勢となってきました。しかしまだ花はあるので、もう少しネモフィラを楽しみます。

 

2022年4月27日 栽培終了(発芽から158日目)


 急激に花が散り、ほぼ葉だけになってしまいました。近頃は気温が25℃前後となる日が多いせいか、高温により茎が間延びして株の形が崩れてきています。さすがにもう咲き終わりですね。


 ちなみに現在の茎は30~40cmの長さとなっています。


 最後に根の状態を確認します。途中で根腐れがあったとは言え、ザルの下側に出ている根はあまりないです。ネモフィラの根はあまり広がらないのでしょうか?


 また気になったのは、根の先端から茶色い液体が滲み出ていることです。もしかしたら、枯れた(朽ちた)根の色素が出ているのかもしれないです。他の野菜では見たことのない現象であり、水耕栽培特有の現象なのか気になるところではあります。
 新しい蕾も付かなくなったので、本日をもってネモフィラの栽培を終了とします。5ヶ月間の栽培は成功したと言えるでしょう。

 

まとめ

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 今回はネモフィラの水耕栽培にチャレンジをしました。ポリポットから栽培装置に移植をした後はかなりの勢いで成長し、4月上旬に満開を迎えました。株がネモフィラブルーで覆い尽くされた姿は非常に美しかったです。水耕栽培は野菜だけではなく、花を楽しむ植物にも応用できることが分かりましたので、今後の栽培に生かしていきたいと思います。

 この記事がネモフィラの水耕栽培のお役に立てれば幸いです。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。