聖護院大根の種を買うためにホームセンターに行ったところ(参考記事:聖護院大根を水耕で育てます。丸大根ならば上手く栽培できるかもしれないです)、見た目がほぼ同じ野菜の種を発見しました。それは「聖護院カブ」です。どちらも可食部が太く大きくなる品種であり、種蒔き時期や育て方、そして名前がかなり似ています。
双方の外見に差はあまりないですが、肥大化する部位は全く異なります。大根は『根』が太くなりますが、カブは『茎』が太くなるのです。以前に小カブを水耕で育てたことがあり、上手く収穫まで行けました。この経験から、かなり大型になる聖護院カブも育てられる気がしてきました。
そこで今回の栽培では、聖護院カブを水耕栽培してみます。茎の直径が15〜20cmにもなる品種のため、バケツを利用したビックサイズの装置を使って育てます。はたして1kg超えのカブが採れるかどうか…それでは種蒔きを始めましょう。
- 栽培装置
- 液体肥料
- アオムシ・イモムシ対策薬
- 聖護院カブの種
- 2022年9月4日 種蒔き
- 2022年9月7日 発芽(発芽から0日目)
- 2022年9月11日 1回目の間引き(発芽から4日目)
- 2022年9月21日 2回目の間引き(発芽から14日目)
- 2022年10月2日 成長中(発芽から25日目)
- 2022年10月9日 直径3.3cm(発芽から32日目)
- 2022年10月16日 直径5.0cm(発芽から39日目)
- 2022年10月31日 直径7.0cm(発芽から54日目)
- 2022年11月13日 肥大化中(発芽から67日目)
- 2022年12月6日 アブラムシの襲来(発芽から90日目)
- 2022年12月25日 収穫間近(発芽から109日目)
- 2023年1月8日 収穫(発芽から123日目)
- まとめ
栽培装置
栽培装置はこの記事《「バケツ&収穫コンテナ」を使った大型野菜用の水耕栽培装置の作り方。本体と支柱を分けることで強度を確保しています》を参考にして組み立てました。
液体肥料
液体肥料には、微粉ハイポネックスを水道水で1000倍に希釈したものを使用します。
アオムシ・イモムシ対策薬
葉物野菜の天敵は葉を食害するアオムシ・イモムシです。もし葉を食べられているようでしたら、退治薬である「STゼンターリ顆粒水和剤」を散布します。希釈倍率は1000倍とし、葉に定着しやすいように展着剤(商品名:ダイン)を加えます。
聖護院カブの種
聖護院カブは大きくなるカブですが、種は直径1mmほどしかありません。以前育てた小カブの種とサイズは全く変わらないです。
2022年9月4日 種蒔き
栽培装置の中央に大根の種を5個置き、厚さ5mmほどとなるように覆土を行いました。この装置は日の良く当たる屋外に置き、発芽するのを待ちます。
2022年9月7日 発芽(発芽から0日目)
双葉が開きましたので、本日を「発芽から0日目」として記録をしていきます。5個の種を蒔いて、全ての種から芽が出てきました。非常に良好な結果です。
2022年9月11日 1回目の間引き(発芽から4日目)
発芽から4日が経過し、双葉が大きくなってきました。また中心部からは小さな本葉が出ています。間引きするには少しサイズが小さいですが、次の終末まで待つと大きくなり過ぎそうです。そこで本日、1回目の間引きをしてしまいます。
成長が遅い株をハサミで切り取っていきます。
5株→2株にして、1回目の間引きは終わりです。もう少し成長するのを待ちましょう。
2022年9月21日 2回目の間引き(発芽から14日目)
予想以上に成長が早いです。前回の報告時と比べると10倍は大きくなっていそうです。
カブの葉は暑さに弱いのか、直射日光が当たるとすぐにシナっとしてしまいます。しかし夕方になると元の状態に戻ります。
それでは2回目の間引きをしましょう。同じ様な成長度合いですので、どちらを残すのか悩みました。
これにて間引きは終了です。アオムシやイモムシの食害に注意しつつ、大きく育つのを見守っていきます。
2022年10月2日 成長中(発芽から25日目)
前回の報告から10日間でかなり成長しました。葉は手のひらサイズとなり、茎も太くなっています。
アオムシ・イモムシ退治薬を定期的に撒いているのですが、それでも食べられている葉があります。隣では同じアブラナ科の大根を育てているにも関わらず、被害はカブの方に偏っています。やはり葉が美味しいのでしょうか?
株元の肥大化が始まりました。まだまだ大きくなりそうです。
2022年10月9日 直径3.3cm(発芽から32日目)
記録をしていると、1週間ごとの成長が一目瞭然で見ていて楽しいです。もうそろそろ写真に収まらないサイズとなりそうですね。
今の株元は直径3.3cmです。来週にも測ってみましょう。
2022年10月16日 直径5.0cm(発芽から39日目)
7日後には3.3cm→5.0cmになりました。
2022年10月31日 直径7.0cm(発芽から54日目)
カブの葉は直射日光が当たるとすぐに萎れてしまいます。ただ夕方になると復活するので、特に問題はないでしょう。
株元の直径は7.0cmです。培地で見えない部分がどのような形になっているのか気になるところです。
2022年11月13日 肥大化中(発芽から67日目)
順調に肥大化が進み、私の持っているノギスでは直径を測れなくなってしまいました。まだ大きくなるでしょう。
2022年12月6日 アブラムシの襲来(発芽から90日目)
12月になりました。周りの食べ物が減ったせいか、鳥が葉を突いて食べているようです。先端辺りがなくなっている葉がありますが、大きな被害ではないので様子見です。
株元の成長が遅くなってきた気がします。そろそろ収穫した方が良いかもしれないですね。
もう寒いから大丈夫だろう、と思っていたらアブラムシの大群を発見してしまいました。葉の裏側にある黒っぽい粒々が全てアブラムシです。今日は雨が降りそうな天気なので、明日にアブラムシに効く農薬「ベニカベジフルスプレー」を散布しておきたいと思います。
2022年12月25日 収穫間近(発芽から109日目)
アブラムシは薬のおかげで全滅しました。ただ、株の成長がだんだんと遅くなり、今ではほぼ大きくなっていない状況です。そのためもう少しだけ様子を見て、収穫するタイミングを決めようと思います。
あまり成長が見られない中でも、新しい変化がありました。それは株元が色付いてきたことです。こちらは家の壁側を向けている面です。肌が白っぽいですね。
そして反対側の外を向いている方は、赤みを帯びています。おそらくこの色付きは寒さのためでしょう。凍るのを防ぐために色素を作って耐えているのかもしれないですね。
2023年1月8日 収穫(発芽から123日目)
先日、垂れ下がっていた外葉を整理しました。そのため全体的にかなりスッキリとした感じとなっています。
アブラムシ対策薬の効果が持続しているのか、新たなアブラムシは全く見られません。非常に綺麗な葉をしています。
成長の止まった株元です。写真では分かりにくいですが、部分部分で成長に差があるのか、かなり歪な形となっています。
2週間前からサイズが変わっていないので、収穫をしてしまいましょう。茎を束ねて上に引っ張り上げます。
意外と根張りが良くて抜くのに苦労しました。バーミキュライトが付いているので、流水で落とします。
これで収穫の完了です。なんと地上部よりも地下部の方が形が歪でした。カブと言ったら丸い形を想像すると思いますが、今回のカブは下膨れであり、底は平たく、表面には大きな凹みがいくつもあります。
特に底面が不細工ですね。やはり水耕栽培装置のザルでは深さでは足りなかった様です。
表皮の横方向に走っている細い糸状の跡は成長の痕跡でしょうか?樹木の年輪に見えなくもないです。
株丸ごとの状態では冷蔵庫に入らないため、葉を切り落とします。大きいカブなだけあって、葉の量も多いです。
葉を取ってもずっしりと重いです。重量は961gでした。ただ、本来の聖護院カブは3kgになるそうなので、まだまだ小さめです。おそらく栽培装置のサイズをもっと大きく、または畑や庭での土耕栽培をした方が、より大きなカブが採れると思います。
この大きさでは一回の調理で使い切れないので、1/4カットにして保管しておきます。実を切ったところ、残念なことに中心部にスが入っていました。この周りはスカスカしており、あまり美味しくはなさそうです。
そのためスを避けて一部を切り出し、試食してみます。ちなみに表面がデコボコなので、必然的に皮は厚めに剥かざるを得なかったです。
食感はシャキシャキしており、歯切れが非常に良いです。苦味はなく、ほのかな甘みを感じられました。千切りにすればサラダにも使えそうです。カブ料理はあまり作ったことがないので、レシピを検索して美味しそうなものを見つけたいと思います。
まとめ
今回は聖護院カブの水耕栽培にチャレンジしました。途中でアブラムシの被害があったものの上手く退治ができ、最終的には1kgのカブが収穫できました。しかし栽培装置の深さが浅かった関係なのか、肥大化部が凸凹の多い歪な形となっていました。聖護院カブの栽培には、そのサイズに見合った大きい栽培装置が必要なようです。ちなみにこのカブは醤油と出汁、挽き肉で煮て食べました。火の通りが良く、トロトロとしてとても美味しかったです。
この記事が聖護院カブ栽培のお役に立てると幸いです。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。