水耕栽培は土耕栽培と違い、根が液体に浸った状態で育てます。もちろん水道水だけでは育つことはできないので、「液体肥料」と呼ばれる、成長に必要な栄養分が入っている水を使います。液体肥料は様々な商品が売られており、その中で私は『微粉ハイポネックス』を使って野菜を育てています。
微粉ハイポネックスとは、株式会社ハイポネックスジャパンが販売している液体肥料の素です。微粉と名の付く通り、粉末状になっていることが特徴です。これを水に溶かすことで、液体肥料として使えるようになります。
今回の記事ではこの商品について紹介すると共に、使う際のちょっとしたコツを書きたいと思います。
微粉ハイポネックスの成分
野菜が育つためには栄養分が必要です。主な成分としては、
・葉や茎を大きくする「窒素」
・花や実に作用する「リン酸」
・根などを成長させる「カリウム」
があり、これらは《肥料の三要素》と呼ばれています。例えば花付きを良くする液体肥料にはリン酸が多く入っています。微粉ハイポネックスの場合は、窒素:リン酸:カリウムの割合が6.5:6:19なので、根を丈夫にする割合です。
一方で、上記の成分だけでは植物は育てられません。その他に微量栄養素としてマグネシウムやホウ素、マンガンといった金属成分も必須なのです。マンガンは光合成をするのに必要なものですが、不足すると葉が黄色になり枯れ落ちてしまいます。微粉ハイポネックスにはこれらの微量成分も全て含まれているので、元気な野菜を育てることができるのです。
見た目
「微粉」ハイポネックスだけあって微粉かと思いますが、そうでもないです。小麦粉のように細かい均一な粉末ではなく、0.5mmくらいの粒も多く混じっています。舞うか舞わないかと言われたら、舞いにくい程度の粒度です。
【追記】粒度について
今使っている微粉ハイポネックスを使い切ったので、新しいものを開封しました。そうしたところ、前に使ってたよりも粉が細かったです。粒度は製造ロットや充填具合によって変わるようです。
液体肥料の作り方
微粉ハイポネックスは粉なので、水に溶かして液体肥料にします。箱の裏には作り方が書いてありますので、それに従って希釈倍率を決めます。水耕栽培の場合には1000倍にして使用します。つまり、粉1gを1Lの水に溶かせば完成です。
親切なことに、箱の中には1gと2gが量り取れる計量スプーンが同梱されています。これを使えば規定の倍率を簡単に作ることができます。
微粉ハイポネックスはチャック付き袋に入っています。最初は良いのですが、量が少なくなるにつれ、短い計量スプーンでは取り難くなってしまうのです。そこで私は新品を開けたらすぐに、蓋付きの広口容器に中身を移し替えています。こうすればどの量でも楽に取れるようになるので、ぜひ使ってほしいオススメの方法です。
この液肥の素は水とよく混ぜても、溶け残りが出てしまいます。これは単に水に溶けない成分なので、気にする必要はありません。メーカーのサイトでも書かれているように、そのまま植物に与えてしまいましょう。
溶け残りについて
水にうすめた時に出る少量の残留物は、主にリンサン成分とカルシウム成分です。これらの成分は水では溶けませんが、根から出る酸や微生物の働きによって、ゆっくりと効く緩効性の肥料成分です。水と一緒ににごった状態で株元に与えると無駄なくお使いいただけます。
出典:株式会社ハイポネックスジャパン ウェブサイト
https://www.hyponex.co.jp/item/63/
1Lあたりの価格
微粉ハイポネックスの価格は500gで約1000円となっています。1000倍希釈で使うと、コストは1Lあたり2円です。別メーカーが販売している液体肥料の素「ハイポニカ」を同様に計算してみると、1Lあたり4円となります。夏は大量に液体肥料を消費するので、低コストである微粉ハイポネックスの方にメリットがあると言えます。
野菜の成長について
もちろん安いからと言って、野菜の育ちが悪いわけではありません。この赤カブは微粉ハイポネックスを与えて約50日で収穫できましたし、秋には落花生まで採れました。微粉ハイポネックスは、価格と品質のバランスが取れた良い液肥だと思います。
ちなみに以前私が使っていた微粉ハイポネックスは、10年前に購入したものです。最初は「さすがに古いからダメかな…」と思ったのですが、意外と普通に育てることができました。箱の注意書きを読むと、特に有効期限はないそうです。つまりちゃんと保管しておけば、使い切るまでずっと使えるということです。
商品のバリエーション
商品にはない微粉ハイポネックスの良いところは、量を色々選べるところです。商品の充填量を調べたところ、
・100g(5g×20本) スティックタイプ
・120g
・200g
・500g
・1.5kg
・5kg
・25kg
の7種類がありました。
ベランダでの水耕栽培では半年〜数年で使い切れる120~500gがおすすめです。1.5kgや5kgは大量栽培をしないと使い切れない量ですし、22kgに至ってはまず保管場所から作る必要がありそうです。
注意点
最後に気を付けてほしいことがあります。「微粉ハイポネックス」と似たような名前の商品で『ハイポネックス原液』があります。この商品は土で育てている植物に栄養を与えるものなので、水耕栽培には向かないものです。水耕栽培の時は《微粉》ハイポネックスを購入しましょう。
まとめ
今回は水耕栽培の液体肥料として「微粉ハイポネックス」を紹介しました。この液肥で3年間、十数種類の野菜を育てましたが、全て立派なものが収穫できました。他メーカーの液体肥料も売られていますが、100gの少量から買えるのは、私の知る限りこの商品しかありません。
微粉ハイポネックスは、初めて水耕栽培をする方に最も合う液体肥料だと思います。皆様もこの粉を使って、楽しい水耕栽培をしてみませんか?
商品紹介
ハイポネックス 微粉ハイポネックス 120g
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とりあえず水耕栽培をしてみたい!という方には120gが良いでしょう。さらに少ない100gもありますが、5g×20袋の個別包装になってしまいます。そうなると1回に作る量が5Lに固定されてしまうので、できれば一袋に入っている120gをオススメします。
ハイポネックス 微粉ハイポネックス 500g
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微粉ハイポネックスは100gから25kgまでと、様々な充填量で売られています。その中で1番ベストなのが500gです。ベランダで数種類の野菜を水耕栽培していると、半年〜1年でこの量を使い切ります。迷ったらこの量を買えばOKです。
協和 ハイポニカ液体肥料 1L(A・Bセット)
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水耕栽培で使う液体肥料には微粉ハイポネックスだけではなく、協和株式会社の「ハイポニカ」もあります。こちらは粉末ではなく、2種類の液体を水に混ぜて作ります。溶け残りがないので、より扱いやすくなっている商品です。